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100年前の卒業アルバムの写真が、真顔な理由

このnoteは、『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』という本を読んだ感想です。

昨日は『「ビッグデータ」って、なんで注目されてるの?』かについて書いて、今日は本のなかで消化されていた、具体的な事例を取り上げていきます。


写真に映るとき、ぼくたちが笑う理由

見出しだけみたら、「当たり前だろ!」と思うかもしれません。

でも、当たり前じゃなかったんです、100年前までは。

本中では、4人の研究者が、インターネット上に公開されている949冊の卒業アルバムの写真を分析しました。

そして、それぞれのひとの鼻、目、唇、髪の平均的な位置や配置を割り出し、10年ごとの「平均的な」写真を選び出しました。

男女別の計32枚の写真は、こちらです。

(本中より引用)


どうでしょうか。

左上から右下に向かって時代は進んでるんですが、少しづつ「笑う」ようになっていませんか?

逆に、1900年代って、めちゃくちゃ「真顔」じゃないですか???

そして、この理由がさらに面白くて、これは決して、現代のほうが「幸せだから」、ではないんです。

本中で話されている理由について、そのまま引用します。

写真術が発明された当初、人々はそれを絵画のようなものと思っていた。
他になぞらえるものがなかった。
だから写真の被写体も、絵画のモデルに倣った。
そして肖像画のモデルは長時間笑みを浮かべていられなかったので、真剣な表情になった。
写真の被写体はその表情を引き継いだのだ。

どうですか?めっちゃ面白くないですか!?!?!?

ちなみに本中では、このあとにさらに写真の笑顔化を促進した要因として、「フィルム会社のマーケティング」を挙げます。

彼らは、人々にもっと写真を撮らせようとして、幸せな雰囲気を醸しだしている広告を打ちます。

つまり、「楽しんでいでいる自分」を見せるために、写真を撮らせようとしたのです。

広告戦略によってムーブメントをつくっていく様は、日本のバレンタインデーにおけるチョコ会社などを彷彿とさせますね。

あと、「楽しんでいる自分」という人間の自己顕示欲に訴えかける点は、昨今のSNS、特に「インスタ映え」なんかを思わせますね。

とまあ、ビッグデータで100年分の写真を分析することによって、こんなに面白い人間の変化や本性が見えてくるわけです。

どんどんいきましょう。


ビッグデータをマーケティングに活かす

かつて、ネットフリックス(月額制動画配信サービス)では、ユーザーが今は時間がないけど、いずれ見たいなと思う映画のリストを登録できました。

その機能があれば、あとで時間ができたときにリマインド通知をすることができるからです。

しかしいま、その機能は存在しません。

後日リストに入っている映画をリマインドしても、ぜんぜん見られなかったからです。

こういうリストがあると、たいてい、ユーザーは第二次世界大戦時の白黒の記録映画や、堅い内容の外国映画など、高尚で向学心あふれる映画を登録します。

「いまは時間がなくてゆっくり見られないけど、あとでじっくり堪能しよう」というふうに。

しかし、ネットフリックス上のデータでは、数日後にユーザーが実際に見たのは、いつも見ているような卑近なコメディや恋愛映画などだったそうです。

この乖離に気づいたネットフリックスは、見たい映画を登録できる機能を外しました。

その代わり、似たような好みのユーザーが実際に見た映画に基づいたレコメンド機能を搭載しました。

そしてその結果、サイトへのアクセス数も視聴映画数も伸びたんだそうです。

本中では、ネットフリックスのデータサイエンティストだったサビエ・アマトリエインというひとの、このような言葉が記されています。

「アルゴリズムは本人よりもよくその人をわかっているんだ」と。

あと最後にもう一個、この章に書かれたいたメッセージを載せておきます。

「人の言葉を信じるな、行動を信じろ」。


※追伸 2018/11/19 21:03

これに関するツイートをしたところ、ゼミの担当教授から下記のようなコメントをもらいました。

たしかに、様々な解釈があるので、決めつけは危険ですね。



★こっちは「じぶんの頭で考えろ」案件


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