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「部下に任せる」に悩んでいる人に読んでほしい、仕事の任せ方と心得について

 こんにちは、ナンバーナインの後藤です。
 先週はナンバーナインの経営合宿でした。事業だけでなく組織の成長戦略についても議論になったのですが、そんな中で出てきたのが、マネージャーをどう育てていくかという課題です。

 この点について私見を述べると、テクニカルスキル的な話はいろいろあるかもしれませんが、マネージャーの仕事の本質は物事を「決める」事であり、権限移譲の成否を判断する際に評価の対象となるのが、マネージャーが意思決定できているかどうか、その判断は妥当なのかという、選択の質に関わる問題が大きいのではないかと感じています。

 こういった理由で、マネージャーを育てると考えたときに、必要なのはマネージャーの判断の質を上げていくことなのかなぁと思っています。でもひょっとしたら、仕事を覚えるかどうかはその人次第なので、育てるという発想自体が無理ゲーなのかもしれません。なので、どちらかというと仕事をリードする意思がある人をどう増やすか、そしてどう業務を渡していくか、そう考えたほうがいいのかもしれませんね。

 組織的なチームマネジメントやマネージャーのマインドセットの話は別の機会にすることにして、今日はどうマネージャーに判断を任せていくか、そしてマネージャーとどう関わるべきかという話を、私の経験ベースでお話します。取締役→部長だけでなく、部長→マネージャー、マネージャー→メンバーへの権限移譲でも同じ考え方があてはまると思うので、いろいろなレイヤーでチームをマネジメントしていらっしゃる方にも参考になればと思います。

マネージャーが判断しなければいけない仕事を定義してみる

 まずマネージャーがどういう業務に日々向き合っているのかを、解像度を上げて考えるべきかと思います。仕事の領域について、少しだけ細分化して考えてみます。

答えがコントロールできる仕事と、そうでない仕事

 仕事のカテゴリーは、大きく分けると2つに分かれると思います。一つ目のカテゴリーは着地地点のコントロールが比較的効きやすい仕事です。例えば、プロジェクトの納品をいつまでにする、この機能をいつまでに開発する、報告書を所定の期日までに提出する、助成金の申請をする、などといった業務です。

 これらの仕事は、何をやればその仕事が終わるのかが明確な仕事です。(もっとも、開発とかで仕様がグダグダの案件を引き継ぐと、全然明確でないこともありますが・・笑)言い換えると、仕事のゴール地点について悩むことはないので、マネージャーが提供すべき付加価値は、いかに最短距離で進められるタスクを各メンバーに設定するかと、決めた通りに現場を動かし切れるかという話になってきます。

 もう一つの仕事カテゴリーは、答えを求めようとしても結果のコントロールが効かない仕事です。例えば、今期の部署数値目標をどう設定しよう、それを実現するために、どういった施策をやっていこうか、重要クライアントの売上目標をどう実現するか、などがこの領域の仕事です。

 この類の仕事は、業務の成功のために考慮しなければいけない変数が多くあるため、たとえ完璧にタスク設定したと思っても、100%ゴールが実現するわけではない領域です。また、特にベンチャー企業であれば、目指す目標が途中で変わり、施策もガラっと変えなければいけないことも多く発生するでしょう。

仕事のカテゴリーによって接し方は違う

 このように、規定演技とフリースタイルというか、ゴールだけでなく手法論も含めてそれなりに見えている仕事領域と、そうでない仕事領域の2つがあることはまず認識すべきだと思います。なぜならば、それぞれの領域においてマネージャーに対する健全な権限の移譲の方法が異なるからです。

答えが決まっている仕事については、判断の仕方をやって見せ、がいいと思う

 答えがコントロールできる仕事については、やって見せ、をするのが一番効率的だと思います。この領域の仕事は再現性が高いので、判断のパターンを覚えていけば仕事を回せるようになります。なので、まずはマネージャーに自分がどう仕事をこなしているかを見せて覚えてもらうことが効率良いのではないでしょうか。

 ゴールが決まっている仕事であればまず、ゴールを実現するためにどういうタスクを、どの順番でこなしていく必要があるかを可視化する必要があります。プロジェクト進行管理表、例えばガントチャートやタスクリストをどう作っていくかを見せてあげるのが良いかと思います。その上で、それぞれの工程で発生しうるエラーやリスクの影響度合いについて可視化し、判断のプライオリティを共有してリカバリー施策についてイメージをしておく、といった具合です。

 マネージャーがしっかり仕事を回せているかの判断は、プロジェクト進行表をいかに綿密にアップデートできているか、関係者と共有できているかで見るとよいでしょう。もちろん、当初定めたとおりに動けば全く問題はないのですが、大体の物事は決めた通りには動かないもの。当初想定から外れたところを把握・可視化し、リカバリー策を決め、メンバーに周知できているかにマネージャーの質が出ると思います。

答えが決まっていない仕事については、目的を共有して任せるしかない

 答えが決まっていない、実現の仕方も明確ではない領域の仕事を任せることは、非常に厄介なタスクです。正直、私も最適と思う解決策に未だたどり着いていないかもしれません。ただ、一つNGとして分かっているのは、本人の自発性や自己承認力を削いでしまうことです。

 答えの出し方がある程度決まっている仕事のように、やって見せをやりすぎてしまうと、答えの導き方の方法論まで強制することになりかねません。ゴールと手法がある程度定まっている状況であれば、定まった方程式を解くようなものなので手法論を教えるのが圧倒的に効率がいいです。一方で、この領域におけるやって見せ、のやりすぎは、特定の方程式の解き方ありき(手法論ありき)で仕事をフレーミングしていく癖につながってしまいます。手法論が状況に合致していない場合でも、手法論をベースに判断がなされてしまうことから、判断の質が低下することが良くあります。

 そう考えると、本人の自発性に任せることを考えれば、目的についてはとことん議論し、認識を共有した上で、その実現方法については基本任せるスタンスしかないのかなと思っています。権限移譲がうまく進んでいるかは、目的実現からずれた判断となっていないか、マネージャーが判断の理由を説明できるかどうかで見るようにしています。

 その上で、判断の手伝いはしても、(ギブアップが出るまでは)現場の仕事には介入しないようにしています。マネージャーの上長が仕事に介入をし始め、マネージャーに権限がないと思うと、メンバーがマネージャーの頭を飛び越して上長に相談する状況が増えていきます。

 そのタイミングでの判断の速さからすると間違いなく効率は良いのですが、決める人が増えていかないので上長の負荷は下がりません。また、マネージャーの自信を失わせてしまうこともあるため、自発性を持った人材も育たないこととなり中長期的には悪手だと思います。

 どうしても介入しなければいけないときには、マネージャーの業務領域を分割し、介入するところと、そうでないところを明確にした上で介入していきます。例えば、規定演技をしっかり回すことが得意なマネージャーであれば、そっちの領域を任せる、とか、事業展開の中で新規の取り組みだけ巻き取って、通常業務は引き続き任せる、とかです。

 体系的にマネジメントについて学んだのではなく、仕事をこなす中で自身を追い込み、切り開く中で覚えてきた、というマネジメントの方は多いのではないでしょうか。私もそうでした。どういう学びがあったかは人それぞれだと思いますが、共通点があるとすれば自身の判断を信じる力と、それを実現していく意思を持っていることなのではないかと思います。「当時尊敬していた上長の○○さんが、全てやり方を教えてくれたので成長しました」という方はベンチャー企業にはそんなにいないのではないでしょうか。

 成長の過程で重要なのは、自己承認能力も含めた広い意味での自発性です。だとすると、マネジメントがやるべきことは、可能性のある人材を配置する人選眼を持つこと、選んだマネージャーを信頼すること、そして抜擢した人が自発性を発揮できる環境を整えるという事になるのではないでしょうか。

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