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DXは、建設業界の“できる人”を裏切れない!

できる人が正当に評価されない現状

どんな仕事でも、いい仕事をすれば評価され、高い評価に見合った収入が得られる。それが本来あるべき姿。でも残念ながら建設現場では、その当たり前のことが実現していません。

同じ現場で5人が作業したとします。当然レベルには差があるでしょう。

たとえば1人は、キャリアを積んで知識も腕もある“できる人”。2人は3~5年ほどの“経験者”。あとの2人はキャリアが浅く、簡単な作業しかできない“未熟な人”。

生産性の観点から考えると、“できる人”は未熟な人の3倍ほどの仕事ができてしまいます。

それなら、できる1人は「5万円」、未熟な2人は「1万8千円」と、生産性に見当った単価の差があってしかるべきです。そうなると、標準的な技能者は、今なら3万円前後になるでしょうか。

ところが現状では「1人あたり2万5千円」という、全員同じ単価での見積もりになってしまうのです。

なぜなら仕事の“質”よりも、

「職人が何人必要な作業?」
「職人一人当たりの単価は?」

といった観点で捉えられてしまうから。

仕事の“質”を見ず、全員に同じ単価を当てはめると、どうなるでしょうか?作業に必要な職人の人数が増えるほどに、“できる人”の価値が下がっていくわけです。


“できる人”は、トラブル解決力もすごい! 

“できる人”は、トラブルが発生した際のカバーに積極的に関与しています。知恵を絞り、培ってきた技術や経験を生かし、簡単にはできない“質が重い業務”をしているはずです。

たとえば、どこかで夜中に配管から水漏れが発生すれば、“できる人”が対応することが求められます。

夜中の水漏れは緊急性を伴う上に、確実な対応が求められるトラブルです。今、そこにあるものだけで解決するような、裏技的な高い技術を駆使することもあるでしょう。

“できる人”だからこそ時間をかけず、中身のある作業ができるのです。

ところが残念なことに「どれほどすごいことをしたのか?」は、施主には伝わることはなく、直接的な評価はされ難い状況が否めません。

“できる人”だから気付くプラスアルファの作業も、やっても簡単には評価されません。その“質”を分かってくれるお客様(施主)や取引先の担当者でなければ、その努力が適正に評価されることはないのです。

だから、“できる人”がきっちり儲からない。

むしろ、分かってもらえないことをやればやるほど、“できない人”が困り、結果として儲からない。これは、とてももったいないことだと感じています。

“できる人”の仕事がお客様(施主)に評価されると、“できる人”の単価は上がります。すると、その“できる人”を目指している職人の単価も上がっていきます。

そうすることができれば、建設業界がもっと良い業界になると思いませんか?

建設業界には100を超える専門職種

そもそも、なぜ“できる人”が正当に評価されないのでしょうか?

問題の根っこにあるのが、“建設業界は専門職種が多すぎる”という点です。

たとえば大型施設を一棟建てるだけでも、100を超える専門職種が関わります。しかもそれぞれ専門性が高いので、一つの専門職種に30年ぐらい関わって、ようやく一人前になれるわけです。

たった一つの専門職種でも理解に30年かかるのに、100種類集まったら?お互いに分かり合うのは難しいでしょう。だから、

「どれだけすごい技術なのか?」
「その作業は、市場でどれほどの価値があるのか?」

ということを正しく把握しようにも、そして理解したくても、できないのです。

仕事に関わった作業員の人数は数えられる。でも、常にオーダーメイドの作業になる品質の良し悪しは分からない。だから、誰から見ても正しい価値をつけることができない。

言い方を変えれば“仕事の本当の価値を可視化できない”から、仕事の内容に見合った評価ができないのです。

でも大丈夫、建設業界は変われます

「建設業界の現状を何とかしたい」「変えたい」という想いが強く、業界団体の集りにも積極的に参加して発言してきたし、行動してきた。でも報われなかった、だから諦めてしまった……そんな、“できる人”の話をたくさん聞いてきました。

でも「建設業界を変えること」、そして「建設業界が変わること」を諦めないでほしいのです。

なぜなら、近年社会でコンプライアンス(法令遵守)強化が進み、そして “DX”があるから。“DX”は裏切りません、裏切れないのです。

業務の効率化という視点で単一業務のIT化から始め、目的に合わせた客観的なデータを収集できるようにする。集めたデータ同士をつなぎ、関連付ける。こうしたものを増やし、長年にわたって蓄積していく。

そして蓄積したデータを振り返り、分析して、活用する。そうすることで、想像を超える答えが見つかり、社員が成長し、多岐にわたって生産性が向上する。

これが本当の“DX”です。

建設業界で“DX”が実現すれば、仕事の価値が可視化できるし、価値に見合った適正単価が分かります。

あなたが決して「2万5千円」の人ではなく、本当は「3万円や5万円」をもらってしかるべき人だということが、ちゃんと分かる。過去に蓄積されたデータが証明してくれるようになることが期待されています。

そして、3万円や5万円以上の力を出して仕事をすれば、その結果もちゃんと“DX”が証明してくれます。改ざんできない状態で記録してくれるから、やればやるほど評価が上がっていくというわけです。


“DX”環境で仕事することがポイント

“DX”のポイントは、まず始めること。始めなければ何も変わりません。

はじめの一歩は、一つの業務の効率化で十分です。日報や経理、原価管理などを「IT化」することから始まります。

次は、ツールをつなげて効率化していく「ICT化」です。日報ソフトを入れたなら給与計算ソフトにつながるべきだし、それが会計ソフトにつながるといったように、簡単かつ効率的に業務ができる仕組みをつくらなければいけません。

これを増やしていけば、ようやく“DX”が近づいてきます。“できる人”が、ちゃんと正当に評価されるための準備が整います。

建設業界における“DX”は、住宅向けの現場管理プロセスや、土木によるドローン活用、現場の単純作業におけるロボット化などの“DX”は急速に進んでいます。

ただ残念なことに、専門の職人を抱える下請け事業者の“DX”が全く進んでいません。

なぜなら毎日が多忙で、日々の作業が多すぎるから。そしてブラックな会社であるほど、いまのブラックな体制のおかげによる恩恵を受けており、ブラックが可視化される“DX”を敬遠するから。

だから、ブラックの会社は絶対に“DX”には取り組みません。どんなに熱心に「うちの会社も“DX”に取り組みましょう!」と働きかけても、状況は変わらないでしょう。

“できる人”が、より正しい価値を求めるなら、正しい価値を見出してくれるところで働くしかないのです。

業界を良くするコミュニティの場「建設タウン」

「“できる人”が、なぜ正当に評価されないのか?」
「どうして“DX”が求められているのか?」
「本当の“DX”とはどういうものか? 」

社内にいると、こんな話をする機会はほとんどないはず。でも仕事に対する満足度を上げるためにも、そして自分が働きたいと思える業界に変えていくためにも、とても大切な話です。

そんな話ができる“つながり”をつくる仕組み、そんなコミュニティの場が「建設タウン」です。

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