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人材紹介業をアップデートする

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私が属する「人材紹介業」の未来について個人的見解をつぶやきます。
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2020年3月の記事一覧

続・35%はいつまで続くのか②

続・35%はいつまで続くのか②

前回の投稿では、企業の人材確保における外部労働市場への依存度が高まることに伴い、大手~中堅企業でインハウスリクルーター(=採用プロフェッショナル)の増強が行なわれていること、また彼(彼女)らによる精力的なダイレクトリクルーティングの活動やテクノロジーの進化によって、かつて人材紹介会社とユーザー企業の間にあった「情報の非対称性」は急速に解消されていること、またその上で人材紹介コンサルタントが今後

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続・“35%”はいつまで続くのか

続・“35%”はいつまで続くのか

4回にわたる投稿に対し、社内外の非常に多くの方からコメントをいただき、誠に有難うございました。

懐かしい方々とも久し振りにコミュニケーションを取ることができ、改めてSNSの楽しさ(?)も実感しました。

先日、たまたま私がファシリテーションを担当した社内のとある組織のビジョンミーティングで内容の一部を引用したところ、参加者の方々のご発言から私自身に更なる学びがあったため、再び投稿させ

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WHYから始める

WHYから始める

サイモン シネック氏によるTEDトーク「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」。

名著「WHYから始めよ!」でも唱えられている「ゴールデンサークル」を用いて、マーケティングやマネジメントで人の心を動かすコミュニケーションとは、「WHY」を基点とするものであると説いています。

企業や組織にとっての「WHY」は目的、すなわち組織が存在する理由です。利益は理由ではなく結果です。

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『人材業界の未来シナリオ』

『人材業界の未来シナリオ』

「採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ」黒田真行氏・佐藤雄佑氏 共著

人生100年時代と少子高齢化、急速なテクノロジーの進化によって企業にとっての人材採用はどのように変化するか。
その視点から、IndeedやSNSなどの新ビジネスの可能性に触れつつ、その脅威に挑むべく旧来の2大チャネルであった「人材紹介業」と「求人広告」の大手各社がいかなる勝ち残り戦略を描いているかを通して人材

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『自社は「どのような会社ではないか」を決めることの価値』

『自社は「どのような会社ではないか」を決めることの価値』

『自社は「どのような会社ではないか」を決めることの価値 〜変化に柔軟なアイデンティティをつくる』(マデレン・ローチ、ザラ・シュタンスケ)

ハーバードビジネスレビュー(HBR) オンラインからの引用です。

「自分たちは何を目指す会社なのか」すなわちパーパスを社内外に周知することの効力が「パーパス経営」として注目されています。

しかし本稿では、「我が社は◯◯ではない」という正反対の方向性

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「謙虚なコンサルティング」

「謙虚なコンサルティング」

エドガー・E・シャイン著(金井壽宏 訳) 『謙虚なコンサルティング 〜クライアントにとって「本当の支援」とは何か』

マサチューセッツ工科大学(MIT)の名誉教授であり組織心理学、組織開発の第一人者であるエドガー・シャイン教授の著作を、組織論やリーダーシップ論において日本を代表する研究者である金井壽宏先生が訳した贅沢な一冊です。

本書は、「自分が話す」スタイルのコンサルティングを否定

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“35%”はいつまで続くのか /第4回(最終回)

“35%”はいつまで続くのか /第4回(最終回)

 第3回は、「人材紹介会社を利用しなければ実現できない採用とは何か」について今後よりシビアに問われることになるであろうとの予測とともに、一方で現状においては、業界の成長期において人材紹介各社が行なってきた努力(①仕事の効率化、②増員と早期戦力化、③大きなデータベース)が皮肉にもその「介在価値」を希薄化させてしまっているということを述べました。

 問題として挙げたのは、
1)本来「人」が介在するこ

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「マーケティング近視眼」

「マーケティング近視眼」

「マーケティングの教科書」
第3章 セオドア・レビット氏著「マーケティング近視眼」

かつて成長産業と呼ばれた産業が衰退したり成長が鈍化する原因は市場の飽和ではなく経営の問題である、とりわけマーケティングを軽視したことに因るものだという指摘を、19世紀の石油、鉄道等の産業の実例をもとに行なう古典ともいうべき論文です。

筆者は、急激な成長の後に思いがけない衰退が訪れるというサイクルが繰り返

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“35%”はいつまで続くのか /第3回

“35%”はいつまで続くのか /第3回

前回は、世の中の変化に伴い日本の労働市場がどのように変化するのかを予測してみましたが、今回はそれに伴い人材紹介会社や人材紹介コンサルタントがどんな変革を余儀なくされるかについて考えてみます。

<第1回> 世界的に見て高額なわが国の人材紹介手数料(35%)

<第2回> わが国において予想される労働市場の変化

前回私が挙げた変化(予想)は以下のようなことです。
変化-1)年功型賃金カーブ

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”35%”はいつまで続くのか /第2回

”35%”はいつまで続くのか /第2回

前回、わが国における人材紹介手数料(率)が他国に比べて高いということを、労働市場の流動性を背景に述べました。

ではそれ以外で、人材ビジネスを取り巻く環境は今後どのように変わるのでしょうか。

▼変化-1)年功型賃金カーブは変形し、年齢と収入との相関関係は弱まる
今予測されている通り、各社の人事制度が職務型(ジョブ型)ポリシーへと移行するならば、そのマッチングを行なう人材紹介コンサルタ

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”35%”はいつまで続くのか /第1回

”35%”はいつまで続くのか /第1回

 人材紹介会社にとっての売上とは、取引先企業に推薦した登録人材が選考を通過し、実際に入社した際に成功報酬として受領する「紹介手数料」です。
今日の相場では、入社した人材が入社初年度に受領するであろう想定年収(残業や通勤を除く諸手当と賞与)に35%を乗じた金額で、例えば想定年収1,000万円の人材を媒介した際の成功報酬は350万円ということになります。

 この「35%」が高いのか安いのか、それ

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「日本企業復活の戦略」

「日本企業復活の戦略」

ベイン・アンド・カンパニー著『日本企業復活の戦略』(日本経済新聞出版社)

国際市場での存在感を失った日本企業が先が見え難い時代にいかに立ち向かうかについて、独自の調査結果とナレッジから強烈な示唆を行なう新著。(2月19日発売)

第3章1節「“不況こそ好機”とする勝者の戦い」では、グローバル企業3,500社に対する調査の結果から、リーマンショック前後で成長を続けられた企業と停滞した企業が

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