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夫婦って面倒臭くてややこしくて面白い

私の両親の話をしよう。


私の知らない時代の両親については、両親から聞いた話でしかわからないので正直定かではない。

サザンオールスターズ好き同士ということで意気投合したらしい。

社内恋愛で結婚、いわゆる「授かり婚」だったそうだ。

そうして生まれたのが私である。


私が実家で生活していたのは20歳までの20年間。

その間、父と一緒に夕食を食べた記憶がほとんどない。それほど、父は働き詰めで家にいなかった。

ということは、私と弟の子育ては母のワンオペということになる。


小学生高学年になると、母の愚痴を聞く機会が増えた。

  • 肝心な時にいつもパパは家にいない!

  • 受験のこと何にも決めてくれない!

  • 給与明細見せてくれない!

小学生の私に言われても笑  と困るような愚痴だったと今になって思うが、当時は「母っていつも父の文句言ってるな〜」と思っていた。


中学生に上がった頃から、父と母の様子が少し変化した。

おそらく父の帰宅時刻が少し早くなって、夜ご飯の終わりかけくらいに家にいるようになって、父と母の会話が多くなった分、あからさまに喧嘩が増えたようだった。


私が高校生になる頃には、怒鳴り合いの喧嘩がしょっちゅうで。

母は日々のストレスからお酒に逃げて、酔って暴言を吐く。

父は父で、プライドが高く頑固親父なので、そんな母に対して「くだらない」「酔った人間の言うことなんて信用ならん」と蔑ろに扱って。

酷い時は、母が父に向かって皿を投げつけたり、お風呂のシャワーを引っ張って水をかけたり。(廊下は水浸しだった)


そんな母の当時の口癖は、「あんな奴と離婚してやる!」
毎日のように聞いていて、弟と私は真面目に「2人が離婚したらどっちについてく?」なんて話していた。



そんな二人の関係がさらに変わったのは、2011年4月。

父が、東日本大震災の関連の仕事をすることになり、単身赴任で福島に引っ越したのだ。

母は東京に残り、月に1回、父に会いに福島に行くという生活スタイルになった。


月に1回しか会えない、という物理的な距離ができたおかげで、お互い冷静に会話をして会える時間を大切にするようになったからなのか、奇跡的に離婚危機は回避された。

父が単身赴任していなかったら、私と弟の独立を待って、確実に離婚していたはずだった。

あんなに「絶対離婚してやる!」と豪語していた母は、月に1回父に会いに行く時にはちょっとオシャレして、「日帰りで◯◯温泉に行ってくるんだ〜」と、父と出かける予定を私に連絡してきたりして。


こんなことってあるのか、と当時の私は心底驚いたものだ。

絶対に離婚すると思ってたのに。覚悟してたのに。

夫婦ってよく分かんないなぁ…笑


父の単身赴任は、福島から仙台、盛岡と場所が変わりつつも2021年まで続き、その10年間で父と母の関係性はかなり良好になったように見える。

娘と息子が独立したという精神的負担から解放されたこともあったのだろう。

毎年数回、2人だけで旅行に行くようにもなった。




そんな両親を見て育った私は、「夫婦ってめんどくせっ!」と思っている。


なぜ結婚して、夫婦になるのか?

一生を添い遂げると誓って一緒に生活すると決めたのに、なぜ言い争って喧嘩して、挙げ句の果てに離婚するのか?

まだ結婚したことがない私にとって、夫婦というものは、たいそう面倒臭くてややこしいもののように感じられる。


その一方で、両親のように、離婚危機を回避して、とても楽しそうに老後を送っている姿を見て「ちょっと楽しそうだな」とも思う。


夫婦の数だけ夫婦の形があるのだろう。

面倒臭くてややこしくて、ちょっと面白そうな夫婦が身近にいるせいで、結婚に踏み出すには少し勇気が必要だけど。


でも、そんな両親みたいに、困難を乗り越えて落ち着くところに落ち着く「戦友」みたいな相手を得る人生も悪くないのかな、なんて。


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