阪本健吾

Kengo Sakamoto 兵庫県出身、福島県双葉郡葛尾村在住 関心領域:ツーリズム…

阪本健吾

Kengo Sakamoto 兵庫県出身、福島県双葉郡葛尾村在住 関心領域:ツーリズム、エネルギー、地域アートなど 個人の発信であり、所属組織の意見を代表するものではありません。 好きな顔文字 (〃д〃)

最近の記事

アートだからいいとか悪いとかではない

映画『ラジオ下神白』を観た。 ”ちょっと変わった被災地支援活動”でありながら、”「支援する/される」と言い切ることのできない”取り組み。 人間と人間が、組織や世間的な肩書きを外して思い出話をする。語りを聴き、歌をうたうことで、グッとその人の人生の深いところに入り込んでしまう。コミュニケーションの贅沢な部分を凝縮したような時間が流れる。 アフタートークで、さらりと「このアートプロジェクトのような取り組みに……」と語られているのを聴いて、ああ、これも「アートプロジェクト」の

    • 分裂しそうなこころとあたま 人口減少、サーキュラーエコノミー、現代アート

      少子高齢社会における高齢者への所得移転 圧倒的に現役世代は割を食っている。物価は上がり続けているのに、給与水準は低いまま。社会保険の実態は「保険」でもなんでもなく、現役世代が得る額面の2割ほどが引き剝がされて、その多くが高齢者に所得移転されている。どれだけ資産があろうとも高齢者というだけで現役世代からの所得移転(=年金の受給)の対象となる。個人資産の過半を高齢者がホールドし、現役世代が自由に使えるお金は減り続けている。 結婚・出産・育児にはお金も時間も体力も必要だ。少子化

      • 弱さを抱えながら強くあることは可能かー第25回福島ダイアログ所感

        第25回福島ダイアログ 原子力災害後に「共に生きる」に参加してきた。 多くの分断線が重なり乱れている被災後の福島において、それでも「共に生きる」ためには・・・というざっくりとしたテーマのもと、登壇者のみなさんがじっくり語る。結論めいたものとしては「他者の声に耳を傾けること」が必要だというところに落ち着いたと思う。 いろいろな価値観の人がいる。避難者と帰還者、帰還者と移住者、ジェンダー、世代のギャップ。誰も好き好んで苦しんではいない。他者とともに生きるために、他者の苦しみに

        • WOLVEs GROOVYという希望

          今年いちばん聴いているバンド、WOLVEs GROOVYのこと。 2023年結成で、まだEP2つ、8曲しか世に放たれていないのだけど、Spotifyがランダム再生で「BUG」を流してきて、一瞬で心を掴まれた。ワードセンスと抜け感がドンピシャ! ちょっとディグってみると、ベースボーカルのアヤコノさんとギターボーカルのましのみさんが喋っているポッドキャストを発見した。バンドを結成する前の時期から配信しているので、初対面のエピソードから意気投合してバンドを組むところまでのワクワ

        アートだからいいとか悪いとかではない

          おれなりの common scenery <川について考える>

          noteにたまに日記みたいなものを書くのがルーティンになっていたのに、首が痛くなってからどうも書く気が起きなくなっていた。最近少しずつよくなってきたので、また何か書こうかな…と思っていた頃に、大学の先輩が出しているZINEを読んだ。おお、こんなふうに川についてなら書けるかも、と思った。 生まれ育った兵庫県西宮市と尼崎市との間を流れる、武庫川というまあまあデカい川がある。その武庫川の河川敷が、私にとっていちばん思い出深い川の風景だ。中学、高校と陸上競技部で長距離ランナーだった

          おれなりの common scenery <川について考える>

          脱炭素むずすぎ問題と、それでも生き続けるための思索のあれこれ

          年明けから学びの多い日々だった。 原子力災害の被災地で太陽光と蓄電池でマイクログリッドを組んでいる地域新電力の会社に勤めてもうすぐ1年。いわゆるエネルギー問題について、いろんな人がいて、いろんなことを言う。でも全体を捉え切れずに、わかるような、わかんないような感じで過ごしてきた。 食糧とエネルギー 食料安全保障をテーマに書かれた、篠原信さんの『そのとき、日本は何人養える?』を読んで、なんとなく全体像が掴めてきたように思う。食料安全保障とエネルギーって別物じゃないの?と最

          脱炭素むずすぎ問題と、それでも生き続けるための思索のあれこれ

          ゆる日記 2022.11~12

          2022年11月8日 宮古島からゲストをお迎えして、葛尾村で再エネのシンポジウムを開催。 にっちもさっちも詰んでしまっているように思える日本経済だけれども、地域脱炭素はポジティブに取り組める数少ない領域なので、沖縄でも福島でも前向きにがんばっていきましょうという結論に至った。 ビジネスや制度の話はもちろん大事なのだけれども、個人的にはもう少し深く「地域脱炭素とは地域のビジョンのことだ」という話ができればよかったかなと思った。地域の中でエネルギーを調達し、エネルギー事業で

          ゆる日記 2022.11~12

          ヒトトナリ選書

          2023年4月3日から14日にかけて、葛尾村復興交流館あぜりあ横トレーラーハウスにオープンした期間限定のセレクトブックカフェ企画「ヒトトナリ」に寄せた選書です。私からは、これから本記事で紹介する15冊を、他にも村内在住者のセレクトを置いていただきました。手に取ってくださったみなさん、オーナーのうえのさん、ありがとうございました! ①重松清『その日のまえに』 高校生の頃までは、本を読むといえば、もっぱら重松清さんでした。ドラマチックでもなければキラキラもしていない、誰かの日

          ヒトトナリ選書

          外部からローカルに関わるということ、その欲望について

          ※2021年9月11日にFacebookに投稿した文章をnoteに持ってきました。 2021年9月5日。『関係人口の社会学』や『みんなでつくる中国山地』で(ぼくのなかではすっかり)おなじみのローカル・ジャーナリスト田中輝美さんと、学生のころに夢中で読んだ『新復興論』の増補版を上梓した福島県いわき市のローカル・アクティビストの小松理虔さん、大阪・釜ヶ崎をフィールドとして地域と貧困の研究をされている白波瀬達也さんのオンライントークイベントがあり。かなーーり、ドストライクな人選だ

          外部からローカルに関わるということ、その欲望について

          コミュ障、まちづくり、コロナ

          ※下書きに眠っていた記事。2020年5月7日に執筆していた。当時、旅行代理店に勤めていたけど、感染症拡大の影響でゴールデンウィークが16連休になっていた。 リアルで人と話すことが極端に減って、コミュニケーションってなんだろうな、と考えていた。 元々、知らない人と二人きりになったり、自分の居場所じゃないところにポンと放り込まれたとき、何を話せばいいかわからないタイプではある。 バイトの初日とか緊張する。バイトならまだ、仕事についてわからないことを聞くことからはじめればよい

          コミュ障、まちづくり、コロナ

          ゆる日記 2022.9~10

          2022年9月10日(土) 宮城県で開催されているアートフェス・Reborn-Art Festival'21のオンラインアーカイブ「鹿のゆくえ」を観ていた。猟に出る、鹿の血で絵を描く、鹿を調理する、鹿を食べる、ビオトープをつくる、渡り鳥を撮る、など。牡鹿半島の猟師・小野寺さんによると、「そもそも肉はハレの日に食うもの。手ごろなたんぱく源ではない」。 スーパーにはプラパックに入った肉が、コンビニには真空パックされたサラダチキンが陳列され、手ごろな値段で手に入る。当たり前のこ

          ゆる日記 2022.9~10

          ゆる日記 2022.6~8

          2022年7月5日 春から夏にかけて、いろんな人が福島にいるおれを訪ねて来てくれていて嬉しい。この日は大学の先輩が東京から。おれ自身が、毎回同じところに行っていても飽きちゃうので、毎回ちょっとずつコースを変えている。大学生の頃に浜通りの観光研究をしていたので、その延長で拙いガイディングをしながら巡る。語ることで、自分がいかになんにもわかっていないかがわかる。多様で複雑化した課題、そのひとつひとつを確実に捕捉することは難しい。ましてひとりひとりの思いに「寄り添う」など傲慢で、

          ゆる日記 2022.6~8

          ゆる日記 2022.4~5

          2022年4月1日 福島県民・葛尾村民になった日。口内炎が痛い。3月後半の有給消化中、不摂生をしすぎた。観光からエネルギーへ、業界も大きく変わって、ほんとうになにもわからない。でも、ほんとうになにもわからないところから、ひとつひとつわかっていく過程そのものに価値がある(と信じてやっていくしかない)。 2022年4月9日 納車日。富岡・夜の森の桜まつりへ。前来たときにはバリケードで遮られていたけれど、今年からは端から端まで歩けるようになった。けっこう賑わっていて感慨深かった。

          ゆる日記 2022.4~5