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WOLVEs GROOVYという希望

今年いちばん聴いているバンド、WOLVEs GROOVYのこと。

2023年結成で、まだEP2つ、8曲しか世に放たれていないのだけど、Spotifyがランダム再生で「BUG」を流してきて、一瞬で心を掴まれた。ワードセンスと抜け感がドンピシャ!

ちょっとディグってみると、ベースボーカルのアヤコノさんとギターボーカルのましのみさんが喋っているポッドキャストを発見した。バンドを結成する前の時期から配信しているので、初対面のエピソードから意気投合してバンドを組むところまでのワクワク感というか、青春な感じが真空パックされているようで、それがめちゃくちゃいい。人ってこうやって通じ合うんだな、みたいな。

ましのみさんがめちゃくちゃ早口でフジロックに行ってきた興奮を語る回がお気に入り。アヤコノさんがドライな感じで反応しているのがクスッと笑えてまたよい。

ふたりの会話もWOLVEs GROOVYとして出している曲も(Mashinomiさんのソロ曲も)、どこかに現代社会の生きづらさとか、どこにも行けなさとか、でもせっかく生きてるんだから楽しくやっていきたいし表現を打ち付けていきたいよね、みたいなマインドが滲み出ている。べつに社会派って括るようなバンドではないけれど、クールにそんなスタンスを打ち出しているところがかっこいいなと思う。

WOLVEs GROOVY というバンド名、一匹狼も集えばそこに最高のグルーヴがあるはずだ、という意味だそう。

音楽をやって生きていくというのはいわゆる「普通」の選択ではないわけで、ポッドキャストでは「NO CHIME HERE」という学校に行けない/行かない人やその家族・友人からの声を取り上げるコーナーもあって、周りに馴染めないこと、その中で自分を貫いて生きていくことにひとつの主題があるように思う。どうしても自分と重ねてしまう。

クラスにもサークルにも馴染めず、みんなと同じように就活して入った会社にも違和感ばかりを覚え、何を思ったか縁もゆかりもない福島県の山の中の村に来てしまった。原子力災害の被災地でもあるし、どこにでもある過疎地ともいえるこの場所で、人が生きることとか、人同士が交わってできている社会ってなんなのかとか、そういうことと対峙するのが大切なのであって、そういうのをすっ飛ばして都心で体調崩すほどゴリゴリ働いたり無邪気にエンタメを摂取したりして過ごしても意味ないじゃん、みたいなマインドが根底にある。それは、自分の頭のなかではどう考えても当然のことなんだけれども、「普通」の人たちにとっては全く突飛で意味不明なことらしい。

仲間はずれありがとう
切り捨てられ気づくと
自由を手にしてる
出会う 掛け替えない個

星野源「仲間はずれ」

NETFLIXの「LIGHTHOUSE」で披露された星野源さんの「仲間はずれ」のこのフレーズを聴いて、あぁ、WOLVEs GROOVYのことだなぁと思った。

資本主義下で順調そうだね
社交場で髑髏踏むやつら
はらぺこのまま一体ぼくらは
どこまで愛を優先できるか

WOLVEs GROOVY「左右盲」

「左右盲」という曲のこの部分、資本主義リアリズムの現代日本で正気を保って生きていたいよなぁ、でも大変だよなぁ、みたいな感覚が最高な音楽に乗ってサラッと歌われているのがたまらない。福島県の山の中で、今日もWOLVEs GROOVYが鳴っていて、元気を貰っている。

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