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フルリモートワークのスタートアップCOOとして、0→10を実現するためにやってきたこと

こんにちは。株式会社アドレスの取締役COO、岡田です。
これまでヤフオクの立ち上げ責任者や上場ITベンチャーの役員を経験した後、ADDressに参加しました。
普段は自宅でフルリモートワークをしていて、週末は愛犬2頭と妻と一緒にトレッキングや散策を楽しんでいます。
さて、ベンチャー企業の5年後生存率が15%だと言われている中、お陰様で弊社も昨年11月に創業5周年を迎えることができました。この節目に、事業の0→10まで振り、その経験をみなさんとシェアしたいと思います。


ADDress(アドレス)って何?

全国に数百か所ある生活拠点を手軽に利用できる住まいのサブスクで、滞在中の地域と会員を繋ぐ橋渡し役の「家守(やもり)」が特徴の一つです。年2泊のエントリープランから、月2泊〜30泊できる滞在プランまで、幅広く利用できる多拠点生活サービスです。

https://address.love/

昨年メディアに取り上げていただいた記事をいくつか紹介します。

ADDressにおける私の役割

今から4年ほど前、正社員がまだ数名の頃に、取締役COOとしてチームADDressに加わりました。ADDressに飛び込んだ理由は、ADDressが描く「いつもの場所が、いくつもある、という生き方」という世界観に深く共感したからです。この話はWantedlyのインタビュー記事で詳しく話していますので、興味があればぜひご一読ください。

ADDressで私は、プロダクト開発、マーケティング、採用、組織作り、資金調達といった、その時々で注力すべきだけどリソースが足りない部分に特にフォーカスしてきました。今回は、これまでの経験を振り返り、どんなことを考えて取り組んできたかをお伝えしようと思います。

スタートアップではリソースが限られているため、どんな業務領域であっても、プロジェクトの優先順位付けやスコープの絞り込みがとても重要です。また、スタートアップだからと言って、社内で意見が簡単に一致するとは限らず、部署間で異なる考え方があることも珍しくありません。そうした状況では、私が投資対効果や結果の速度などを基準に複数の選択肢を整理し、社内のステークホルダーと共に検討を進めてきました。そこで最終的な調整が難しい場合には、私かCEOが最終的な意思決定を行っています。

プロダクト開発

私たちがプロダクトの提供価値で特に力を入れている点は、「行ってみたくなるような家を増やすこと」と「滞在中の体験を充実させること」の2つです。
前者に関しては、サブスク契約をされているユーザーと契約前のユーザーの両方に魅力を感じてもらえるようなプロダクト開発に注力しています。
私が企画したもので一例を挙げると、ユーザーが趣味や嗜好に合わせて複数の家を紹介できる「テーマリスト機能」を導入しました。
以前は運営スタッフが選定する「○○特集」として家を紹介していましたが、熱量の高いユーザーが増えてきたことから、ユーザー自身がテーマに沿って家を紹介するCGM(Consumer Generated Media)手法に切り替えました。
これは、Spotifyのプレイリストのように、例えば「一生に一度は入りたい!近くに凄い温泉がある家」といったテーマで、興味や関心に基づいてさまざまな家を紹介するものです。この仕組みによって、以前よりも多様な切り口で家を紹介することができるようになりました。
そして、特定の家に興味を持った方には、その家を利用した会員レビューを通じて、その家の魅力をさらに伝えるユーザージャーニーを設計しています。

マーケティング

サービス開始当時、私たちの料金モデルは「月額4.4万円で利用し放題」のみというシンプルなものでした。このプランは、自宅を解約して利用されるアドレスホッパーや、経営者やフリーランスのような生活の自由度が高いアーリーアダプター層には受け入れられました。しかし、より多くの人々に利用してもらうためには、このプランでは不十分でした。
そこで、メールマガジン購読者へのアンケートやインタビューを通じて、「少ない利用日数で低価格帯の料金あれば使ってみたい」というニーズが高いことに気づきました。これを受けて、私たちは使い放題型のサービスから、利用日数に応じた料金プランに変更しました。結果として、定期的にリモートワークを行う会社員層にもアプローチでき、ユーザー数と売上を拡大することができました。なお料金設定にあたっては、PSM分析も用いて慎重に検討しました。

マーケティング施策では、リードナーチャリングを重視し、SalesforceとAccount Engagement(旧 Pardot)を中心にマーケティングオートメーションツールを積極的に活用しました。
特に、ステップメールで好反応を得たのは「経営者の想い」「お客様インタビュー」「第三者による評価」「不安解消ガイド」などのコンテンツでした。
さらに、サイト閲覧履歴をもとにパーソナライズされたレコメンドメールの送信や、メールマガジンの閲覧やサイト内の動きをスコアリングし、上位の方々には個別相談会を実施するなど、テックタッチとハイタッチの両方のアプローチを採用しました。

Web広告施策ではリスティング広告とSNS広告をメインに行っています。前者では、サービスと親和性の高い「二拠点生活」や「シェアハウス」といったキーワードがCAC(顧客獲得コスト)は低く、契約リードタイムも短かったものの、リード獲得数は多くはありませんでした。それを補填する形で後者を運用し、相対的にリードタイムが長いもののリード獲得数は多く得られました。特に、訪問ユーザーへのリターゲティングや、顧客リストを基にした類似ターゲティングで良い成果を出すことができています。

採用

採用活動においては、人事専任のメンバーが加わるまでの間、私自身がスカウトや一次面接の対応を行っていました。主にWantedlyを活用し、気になる方々のレジュメを一つ一つ丁寧に確認し、その方のプロフィールに合ったメッセージを添えてスカウトしていました。特に、私たちのサービスに共感を持ちそうな方々、例えばプロフィールに「地方創生」のキーワードがある方々を積極的にスカウトしていました。このアプローチのおかげで、平均返信率が20%程度と言われるところ、約30%という返信率を達成することができました。

面接に関しては、構造化面接を実施しても、実際の業務とのギャップが発生することもありましたので、できればまずは業務委託の副業として加わっていただくよう提案していました。これは、応募者にとっても、当社とのカルチャーフィットを確認する機会になると考えています。
このような取り組みにより、幸いにも今も当社で活躍してくれている優秀なメンバーを多数採用することができました。

資金調達

シリーズBの資金調達から私も加わり、CEOと共に二人三脚で取り組みました。このプロセスでの役割分担は、プレゼンはCEOが担当し、私は事業計画の作成や投資家候補への初期アプローチ、デューデリジェンス(DD)開始後のQ&A対応を中心に担当しました。また、プレゼン資料のブラッシュアップはCEOと一緒に行いました。
特に印象深かったのは、投資家側の担当者や弁護士との長時間にわたるQ&A会議でした。調達スケジュール上、私たちの回答が持ち帰りの宿題にすることが難しく迅速な回答がその場で求められ、プレッシャーを感じつつも、非常に貴重な経験を得ることができました。
このシリーズBの結果として、多拠点生活に欠かせない交通移動に関連して、JR東日本やJR西日本など複数の事業会社からの出資を得ることができました。また、後にはJR西日本と新幹線サブスクの実証実験など、事業提携のプロジェクトマネジメントも行いました。
その後のシリーズCでも同様の役割を担い、Bonds Investment Groupや静岡銀行からの出資を受けることができました。

組織運営

コロナ禍をきっかけに、当社では社員全員をフルリモートワーク体制に移行しました。これにより、北海道から九州に至るまで、様々なスキルと経験のある優秀な人材が集まってくれています。また、フルフレックスタイムを採用しているため、子育て中の社員にとっても働きやすい環境を提供できていると自負しています。
一方でフルリモートワークならではの組織課題もあります。例えば、非同期コミュニケーションツールとしてslackを利用していますが、合意形成がスムーズにいかないケースが散見されたため、次のような社内ルールを設けました。
・議論が分かりやすいように、継続するやり取りは、1つのスレッドにつき1つにする(複数の議論に分かれたらスレッドを移動)
・3回以上のやりとりがあった場合は、ショートミーティングの開催を検討する
(フルリモートのGitlab社もこれを推奨しています

また、ミーティングに関しては以下のルールを設けました。
・ファシリテーターが議論のポイントを記載したドキュメントを事前に準備する。
・議論が噛み合わない原因として、「言葉の定義が異なる」「前提条件の認識が異なる」ことが多いので、これを意識してコミュニケーションを取る(特に部署間のやり取りでは、この点が重要)。
・ミーティングに参加しなかったメンバーも意思決定の背景を理解できるよ
うに、議論内容のサマリーはドキュメントに残す。
・ドキュメントは可能な限り発言者自身がその場で入力する(他の人が入力すると誤解や漏れが生じやすいため)。

まとめ

このようにADDressのCOOとして、プロダクト開発からマーケティング、採用、資金調達、そして組織運営に至るまで、多岐にわたる業務領域に取り組んできました。また、フルリモートワークという新しい働き方を取り入れ、多様な才能を持つチームと共に新しい挑戦を続けてこられたことに、とても感謝しています。これからも、より多くの方に快適な多拠点生活サービスを提供するために、私たちは努力をし続けていきます。
さらに今年は、個人的な新しいチャレンジとして、社外にも活動の幅を広げていこうと思っています。もし私の経験がお役に立てそうな場がありましたら、ぜひ一緒に新しい価値を創造していきましょう。

おまけ

トップの画像は、このブログの内容を元にChat GPT Plus経由でDALL-E 3でd生成したものです。

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