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会社員を辞め、二人はうつわ屋を始めた。【KIGOCOCHIさんと対談①】

褻mono店主が気になる方々にお話を伺う「店主対談」。
第1弾は当ショップと同じうつわ屋さんの「KIGOCOCHI」さんです。

KIGOCOCHIさんプロフィール

「UTSUWA MAKES YOU/日々使うものが、他の誰でもない自分を形作っていく」をショップコンセプトに、日本各地の作家や窯元のうつわを取り扱うネットショップ。商品のセレクトからショップ運営に至るまでを、店主の松田陽太さん、副店主の松田茉奈美さんのお二人で行っています。

ご夫婦で運営されているKIGOCOCHIさんは、2021年にうつわの移動販売を行うお店として営業をスタート、2021年11月からは営業体制を一新し、現在はオンラインでのうつわの販売を行っています。

褻mono店主は、KIGOCOCHIさんの「うつわの移動販売」といううつわ屋としての新鮮なアプローチや活動に以前からとても興味を持っていました。

まだ若いショップながら、サイトのデザインや作品のセレクトに至るまで、こだわりが端々から感じられるKIGOCOCHIさん。
今回対談相手としてお声がけさせて頂き、zoomでの対談が実現しました。

というわけで、
KIGOCOCHIのお二方にざっくばらんにお話を伺った様子を
全3回の記事に分けてご紹介します!

①会社員を辞め、二人はうつわ屋を始めた。←イマココ!
②うつわオンライン販売の中のハナシ。
③「職業:うつわ屋」を選んだ二人のこれから。

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対談日:2022年1月18日

褻mono店主(以下、褻mono):今回はお忙しい中ありがとうございます。

松田陽太さん(以下、陽太さん):KIGOCOCHIの店主の松田陽太です。こちらが妻で副店主兼デザイナーをやってくれている…

松田茉奈美さん(以下、茉奈美さん):松田茉奈美です。よろしくお願いします。

褻mono:本当にお話をお伺いしたいなとずっと思っていて。こういう機会を頂けて嬉しいです。

茉奈美さん:私達もいろいろ質問とさせてください。

会社員だった二人が、
うつわ屋という生き方に出会うまで

副店主の松田茉奈美さん(左)と店主の松田陽太さん(右)

褻mono:まずお聞きしたかったのが、お二人がどういうきっかけでうつわ屋さんを始めることになったのかというのをすごく知りたくて。

陽太さん:元々前職が二人とも同じ職場で。それが通信会社の中でも携帯販売のコンサルなどを行う企業に勤めていました。その会社が自分達にはすごく合わなくって、それこそ業務内容だったり、将来のことだったりが全然自分たちの思っているものと違うなぁっていう時期があって。

それまで、社会人になるまでは二人ともうつわに興味があったわけではなかったんです。僕は手仕事みたいなものに憧れはあったんですけど、それがうつわにフォーカスが向いているかというと全然そうではなくて。うつわに興味が向きだしたのはここ一年ちょっとぐらい、一年前ぐらいかな。

茉奈美さん:うんうん。

陽太さん:で、きっかけとしては妻が引っ越すタイミングで「新しくうつわを揃えよう」という機会があって。

「アリタセラ」という有田焼のショップが沢山集まっている施設の中で「2016/(ニーマルイチロク)」という海外のデザイナーさんとコラボなどもしているようなショップへ行ったときに、自分たちが思っていたうつわの印象と今のうつわが全然違うことに驚いて。

それこそ有田焼とかだと、染付のお花が描かれているようなものなのかなと思っていたら、もっとモダンで若い人にセンスが合致するようなものが沢山置かれていて、「今うつわってこんなに進化しているんだ」ということに気付いて、そこからどんどんどっぷりと…。

褻mono:足を運ぶようになったり?

陽太さん:はい、産地に伺うようになって。
「うつわって楽しいね」ってところから、前の仕事が自分達に合っていないという想いと、好きなことを仕事にできたら楽しいんだろうなという気持ちがあったので、二人で話し合いをして「どうせだったら若いうちにやってみよう」と、会社員を辞めて二人で開業するという事に至りました。

褻mono:それって、かなり思い切った決断じゃないですか。お仕事を一旦辞めて、まったくやったことのない別の仕事をするっていう。不安はなかったですか?

陽太さん:なんか二人ともちょっと飛んでるんで(笑)。
茉奈美さん:ちょっとおかしいから(笑)。

褻mono:ははは(笑)。期待の方が大きかった?

茉奈美さん:結構楽観的に「とりあえずがむしゃらに半年間やってみて、立ち行かなくなったらまた正社員で二人とも仕事しよう」とか、そんな風に一回チャレンジしようという感じだったので。今のうちしかできないなと。

KIGOCOCHIのはじまり

褻mono:お仕事を辞めてからすぐにお店を始められたんですか?それともお店のコンセプトを二人で話し合おうみたいな段階があったんですか?

陽太さん:そうですね。元々はネットショップであれ実店舗であれ、個人商店のようなうつわのお店をオープンするというよりは、最初はもっとスタートアップ寄りなことを考えていて。

それが何かと言うと、飲食店に作家さんのうつわを使ってもらって、飲食店のお客様が飲食店を利用した際に「このうつわいい!」と思ったら買ってもらえるみたいな事業をできないかな、ということから最初始まって。

でもいろんな人に話を聞いたり、検証したりする中で、どうやらそれは難しいということがわかり、一度壁にぶつかりましたね。

そんなときに太宰府天満宮で蚤の市的なイベントに行く機会があって。そこではアパレルとか古道具とか、うつわとか雑貨とかいろんな方が好きなものを出品されていて、それを見たときに「こういう自由な生き方もあるんだな」と感銘を受けて。

そんなラフな考え方で、うつわも移動販売してみてもいいんじゃないかと思いついて、「うつわの移動販売」という方向性でスタートしましたね。

褻mono:なるほど。「KIGOCOCHI」という店名は、当初の飲食店に作家さんのうつわを取り扱ってもらって――という事業形態を想定していたときに思いついたんですか?

茉奈美さん:前職を退職する前からそんな構想を二人話し合っていて、Kigocochiという名前が一番最初に生まれました。退職した後に今話したような蚤の市での出会いなんかが色々あって。

陽太さん:"うつわの使い心地"という意味で、うつわを音読みしてKIGOCOCHIという名前で。今もその想い自体は変わっていないので、名前をずっと継いでやっているという形ですね。

移動販売を通して、見えてきたこと

褻mono:私、最初にKIGOCOCHIさんを最初お見掛けしたのって、noteかInstagramだったと思うんですけど。
そのときに"移動販売で各地を回るうつわ屋"というのを拝見して、衝撃を受けたんですよ。「この手があったか!」と。

実際に移動販売の方法っていうのは、マルシェやクラフトフェアに出店される形なんですか?

陽太さん:そうですね。ただ僕達がより重視していたのは、そういったマルシェとかクラフトフェアよりも、皆さんがよく行くカフェの中だったりとか、それこそ路上みたいな場所でやらせてもらうのを重視していて。カフェの一角をお借りしてやったり、路上のときはキッチンカ―みたいな形で車自体を移動販売車として、うつわを販売するという形でしたね。

カフェスペースを間借りしての出店の様子
移動販売車での出店の様子

褻mono:移動販売を始めてからの手応えというか、感触はどうでしたか?

陽太さん:良かった面としては、友達が話題を広めてくれたりとか、人気のカフェとご縁があって、そこでやらせて頂いたりして、お客様にも来て頂けて。

ただ、やってみて初めてわかった点もあって。
自分たちが思ったよりも、リピーターになって頂くということが難しいんですよね。いつもそこに店舗がないっていうのはお客様も来づらかったりするので。

どんなお店もそうですがやっぱりうつわ屋さんも例外じゃなく、リピーターの方の存在ってすごく大事で、新しいお客様への認知とリピーターの方に来て頂くという両方を実現させるというのが、移動販売の難しいところでもありましたね。

褻mono:なるほど。実際に動き出してみたからこそ色々な面が見えてきたんですね。そしてその移動販売の経験も踏まえながら、2021年11月に満を持してオンラインショップのリニューアルスタートということで。

茉奈美さん:今反省点として思うのは、どう売るかは考えていたけど誰にどうなってほしいかっていうのを考えられてなかったなと。なので、移動販売を休止した後に一ヶ月ぐらいがーっと休んで、誰に何を届けたいを明確にして、「じゃあそれってオンラインが一番合っているよね」という結論になったので、オンラインとして新しくスタートすることにしました。

褻mono:そこも決断力とスピードが凄いですよね。休止の際に「移動販売をやっててほしかった」という声もあったのでは?

陽太さん:有難いことに「もう移動で出られないんですか?」という質問も頂きましたね。

褻mono:そうですよね。うちのお店もネットオンリーですけど、ネットに特化するとその分だけ実際に手に取って見て頂くという機会は減ってしまうじゃないですか。そこのバランスはやっぱり難しいなと、お話をお伺いしてて思ったんですけど。

茉奈美さん:そうですね。ただ、ネットだからこそのメリットとして思うのは、実店舗では実物に触ることはできても、すべてのうつわについて説明を受けたりとか、作家さんがそこに在廊していたとしても、根掘り葉掘り全部を聞くというのは難しいと思うんですけど、ネットショップであれば自分が取りたい情報を取れたり、ゆっくりお買い物もできたりするから、本当一長一短だなというのは思います。

褻mono:うんうん。確かにそこがオンラインならではの魅力ですよね。

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パート①はここまで。
パート②では、お店の運営事情についてあれこれお聞きします!
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