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素敵なクリエーターさん達をお勧めしたいコーナー

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私の心が素直に動いた、他の方の素敵なお勧めしたい作品の掲載。 最近は、作者の方にきちんと許可を得て掲載してます。
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2023年10月の記事一覧

10文字ホラー「笑み」

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終演

心で喜んでみては その分だけ 苦く 苦しい思いをする かけ引きとかは 昔から嫌い まるで盤上のゲームみたいに 敗者は頭を項垂れるだけ ブレーキの故障で 先走り過ぎて そっと 追いかけていた背中を 追い越してしまったみたい 手を伸ばしても 手を伸ばしても あなたを掴まえる事は 私には難しかった 哀しいのに 苦しいのに 涙の流し方もわからない 無慈悲で曖昧な言葉だけが 脳裏でフラッシュバックする どうせ 無関心な対象物ならば 切って捨てれば良かったのに 優

題名 「旅立ちの時」

朝焼けを見つめながら 少しざわつきを覚える。 あらゆる場面が思い浮かび 過去からの記憶が ゆっくりと今へ届き 胸を熱くする。 大切にしてきた儚い日々が 目の前に映ると 心が弱くなり後ろを向く。 でもこれからは お互いの道を それぞれに歩む時。 前を向けと心が急かし 重くなる背を 秋風はそっと押していく。 溢れる涙の濡れたまつ毛は 微笑みが乾かす。 約束は出来ないけど またいつの日か… そんな思いが心を駆けめぐる。 さよならは告げず 永遠へ向かう姿を 見つめるように 大きく手を

sketch 「bubble」

彼女は、年より随分と幼くみえ まだ子供のようだった 数か月前から 同僚の男の子と付き合っていた その頃から、顔を腫らすようになった 顔が腫れあがり もう誰かわからないほどだった 近頃は、ニタニタしながら 独りごとをいうようになっていた 何度か、声をかけてみたが 別れるという選択肢はないようだった これまで生きてきた 孤独の方がよっぽど辛かったんだろう

【詩】ため息

進まぬ歩の戸惑いに こぼれそうなため息を 慌てて飲み込み上を向く 浮かぶ白い雲さえも 見上げるほどの高い空 真っ新の青色が 秋の朝を照らし出す ため息は 心の色を消していく つくたびに 私の色が消えていく 私を失くしてしまわぬように あの青さを吸い込んで せめて今日一日が色付くように

【詩】異なるもの(過去作)

憎しみと排斥の霊が世界を徘徊している 大通りでは高ぶる敵意が靴音を立て行進し  街角からは結集する不安の吹き溜まりが 唾を吐き、斬りかかり、火をつけている 異なるものに 異教徒の家と服には 卑しい印がつけられ 異なるものは 敵なるもの 逆なるもの 善に対する悪と化す その抹殺は正義と化す 隠れる子供たちは怯え 膝を抱えて守るその胸には 深く、熱く、真っ黒に 傷が焼き付いていく 救いの神を求め懇願しても 手は差し伸べられず 人間に都合よく呼び出された 操られる偽りの神だけ

【詩】ないという希望

起こらなければと 広い大地に火の玉と プロペラのついた 火薬を持った目だけ持つ飛行物 キャタピラのついた 黒い四角の前方には棒がある 敵陣に向けお互いが 火球に飲み込まれていく 札束を掲げたものだけがもらえる 片道切符 遥か遠く海と山を越えた画面の向こう側の 天気予報のように聞く情報 あるはずのないことに慣れた日々 火種のないところに 火種を作るたった一人の指名手配犯 火種のあるところに ガソリンを降らす愚か これも海と山を越えた先の話 不可思議な火種に降らす

【詩】インターネット

インターネット・ユーザーと云ふ現象は 仮定された有機交流電燈の あらゆる透明なゴーストの複製体です 0と1とを せはしく せはしく明滅しながら いかにも たしかに ともりつづける 因果交流電灯の 解離された魂の照明です

【140字/空想】僕の愛ときみの愛

たっぷりと重い湿気をまとって 雨の匂いが僕を包み込む。 白き花の気配はいつしか薄れ、 伸ばした腕が虚しく空を切った。 ねえ、どこにいるの? 流れ始めた霧の中に僕は問いかける。 失われていく温もりは何よりも饒舌だ。 永遠などどこにもない。 だからこそ、すべてが永遠で 幻だからこそ、愛は愛になるんだ。

【詩】あなた(過去作)

私、あなたに会いまして 変わりました あなたに会いまして 人を好きになりました あなたに会いまして 愛をおぼえました ですから、会いまして 不安もおぼえました あなたがいなければ 私はもうおしまいです どうか長生きしてください 私も長生きしたくなりました でもあなたがいるのなら 傷ついてもいいと思っています あなたがいるのなら あなたを守って 自分を差し出してもいいと思っています あなたに会いまして、私、 私ではなくなりました *** 2017年頃に書いたものです。 not

【詩】前髪

少し伸びた前髪を切る 前が見えにくいから ついでに遠くの明日も 見えるようにならないかなぁ #詩 #自由詩 #詩歌 #創作 #短編 #スキしてみて #眠れない夜に

【詩】朝のうた

いつも 朝はやく せわしなくでていく わたしの妹よ ふくろうではないから よふかしは いけません すずむしではないから さわがしくては いけません にわとりより はやく あさがおより はやく あさやけより はやく たいようより はやく すっきりと 人間の心のままに めざめなさい