きよらさん

モノ書く人々が大好きです。日記や短編・長編小説を書いています。月刊短編小説冊子『野狐の…

きよらさん

モノ書く人々が大好きです。日記や短編・長編小説を書いています。月刊短編小説冊子『野狐の戯言』の中のヒトです。

マガジン

  • きよらさんの日常

    昔、知人に、ズレていると言われた事がありました。あの時は嫌味に聞こえてしまって、ついムッとしてしまったのですが、それを面白いと言ってくれる人も後にちらほら現れて、今ではそんなに嫌じゃないって思えるようになりました。  周りの人の日常って面白いですよね、友達のメガネを掛けて景色を見ると、全然違って見える感じがします。よかったら皆さんも、私のメガネ、少し試してみてください!

  • 白服の手帳

    国分町で白服の仕事をしています。夜職初めて、ラウンジ初めて、飲食業初めて。。。 3種のハジメテに飛び込んだ新米の目線で、この仕事のお話を綴ります。

  • 三途の川急便

    世に出す事をはばかるレベルの暗い想い、抱えきれないなら宅急便で送ってしまえ!届け先が三途の川の麓なら、誰にも迷惑はかかるまい。そのうち浄化されてくれたなら本望。  ここはそんなお話が集まる「はきだめ」です。そっと川に流したいものがあれば、ぜひご自由に置いていってください。

  • 気まぐれな短編小説

    ショートショートと中編の間くらいな小説をまとめています。実話だったり、創作だったり、色々混ぜています。暇つぶしにどうぞ!

  • [長編小説] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

    note創作大賞2024 ファンタジー小説部門の応募作品です。 第1話から順に、お楽しみください! 全20話。完結しました。

記事一覧

お疲れなので全てサボって手紙を書く

どこかの次元の彩果さんへ お元気ですか? ごはん、ちゃんと食べてますか? ちゃんと寝てますか? 最近の私は、まぁまぁ色んな事をしています。 店の大きなイベントで、…

6

毒味のつもりで味見するドリンクは、飲み込んではいけません。連休明けは特に!!
当たった。お腹痛い…気持ち悪い…。
by白服

きよらさん
13日前
4

『ありがとう』がお金に乗って帰ってきた日

 私は国分町のとあるラウンジで、白服の仕事をしている。契約形態はアルバイト、いわゆるフリーターというヤツだ。  先日、待ちに待った給料日がやってきた。そして同時…

きよらさん
2週間前
9

虚無から始まるリズムに合わせて

 昨日、一つの時代が終わった。 10年店を盛り上げてきたベテランのキャストさんが引退したのだ。  最後の2週間はたくさんのお客様が押し寄せて、普段より特別なシャンパ…

きよらさん
1か月前
9

行ってみないと分からない

 体調最悪、昼夜のリズムも絶妙に戻りきれていない今日、仕事に行くのが嫌だった。  不思議な事に、メンタルが落ち切っている時は働ける状態じゃないのだが、身体が不調…

きよらさん
1か月前
9

希死念慮に喰われるタイミングがなんとなく分かってきたお話

 この世界には、『無理をして突っ走っている間は、自分が無理をしている事に気がつかない』っていう現象がある。  また、キャパを超えている自覚はあるのだけれど、『無…

きよらさん
1か月前
13

愉快な日常

 その日の私は仕事場へ遅刻をした。 職場へ向かう途中の謎の道路渋滞、よくある事だ。それでも喰らうと少しだけ、テンションが下がる。来店予定の少ない日でよかった。 …

きよらさん
1か月前
6

無題

 私の身の周りには、人の皮を被った『バケモノ』が、いっぱい生息しています。 一周回った人間はヒトを超えている話  2日間の浴衣イベントを乗り切った猛者達。彼らの中…

きよらさん
1か月前
5

歪んでるのが正なんだ

 ー 私にとっての『正しい』は、誰かにとっての『間違い』なんだ。ー  最近、いろんな場面で、そんな事を考える。  夜8時に店の朝礼をして営業を開始するスケジュール…

きよらさん
2か月前
8

終わりの夏

ー 金魚 舞う 昊(そら)の元 私はこの世界に さよならをした ー  夏祭りで掬った3匹の金魚のうち、1匹が水槽に浮いていた。  それはお祭りの翌朝の出来事で、あまりにも…

きよらさん
2か月前
8

人生で初めて長編小説を書き切った話

 note創作大賞2024に応募したくて、ノリと勢いだけで長編小説を書き始めた。  そして、結果、書き切った。  自分が一番驚いている。あぁ私って、長編書けるんだ・・・?…

きよらさん
2か月前
10

長編小説[最終話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

はじまり  「こうして会員ランクが上がっていくと、どんどん月会費が安くなって、活動が続けやすくなっていくんですよ。」 歳増しのリーダーらしき『導さん』と呼ばれてい…

きよらさん
2か月前
7

長編小説[第19話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

檻の中の道化師  スマホの時計はすでに午後14時12分を指している。開会予定時刻は14時、完全に遅刻だった。  この日は私、星光が所属する、ネクプロの成果報告会が開催…

きよらさん
2か月前
4

長編小説[第18話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

旧友の語便り  「寒いですね・・・。」 「そりゃそうでしょう。もう秋だよ、その格好は舐めてると思う。」 「アハハ。」 薄手の七分袖Tシャツに夏仕様のロングスカートを…

きよらさん
2か月前
7

長編小説[第17話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

 渚さんの目に、じわじわと涙が溜まっていく。 しばらくすると、落とすまいと必死に溜めていたそれは、決壊して、彼女の頬を伝っていった。  そんな渚さんの背中に覆い被…

きよらさん
2か月前
5

長編小説[第16話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

少しの効果  渚さんの告発から数日後、ネクプロ本部より、『勧誘についての注意事項』と書かれた、約10ページに渡る長文のPDFが送られてきた。  それを受け、ネクプロ青…

きよらさん
2か月前
4
お疲れなので全てサボって手紙を書く

お疲れなので全てサボって手紙を書く

どこかの次元の彩果さんへ

お元気ですか?
ごはん、ちゃんと食べてますか?
ちゃんと寝てますか?

最近の私は、まぁまぁ色んな事をしています。
店の大きなイベントで、派手に呑むお客様2組が隣どうしの卓になり、
映画『億男』の冒頭シーンかな?と思いながら卓のお世話をしておりました。
高価なお酒、派手なシャンパン、ヌーブラで遊び始める叔父様方、良い子には聞かせられない替え歌カラオケ・・・、カオスです。

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毒味のつもりで味見するドリンクは、飲み込んではいけません。連休明けは特に!!
当たった。お腹痛い…気持ち悪い…。
by白服

『ありがとう』がお金に乗って帰ってきた日

『ありがとう』がお金に乗って帰ってきた日

 私は国分町のとあるラウンジで、白服の仕事をしている。契約形態はアルバイト、いわゆるフリーターというヤツだ。
 先日、待ちに待った給料日がやってきた。そして同時に、予想外のニュースが待ち受けていた。『時給が50円、上がっている…!!』

 その日が給料日だという事を、私はすっかり忘れていた。
 朝?いつも通りに出勤してオープン準備を進めていると、ウキウキの店長から「今日は給料日だね♪」と告げられる

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虚無から始まるリズムに合わせて

虚無から始まるリズムに合わせて

 昨日、一つの時代が終わった。
10年店を盛り上げてきたベテランのキャストさんが引退したのだ。
 最後の2週間はたくさんのお客様が押し寄せて、普段より特別なシャンパンを開けていく。

 白服はシャンパンを開ける時、『おめでとうございます!』と言ってコルク栓を抜く。夜のラウンジにとってシャンパンは、祝う心の象徴なのだ。
 けれど彼女は、祝われるのを拒否していた。
「おめでとう、じゃないな。お疲れ様だ

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行ってみないと分からない

行ってみないと分からない

 体調最悪、昼夜のリズムも絶妙に戻りきれていない今日、仕事に行くのが嫌だった。
 不思議な事に、メンタルが落ち切っている時は働ける状態じゃないのだが、身体が不調の時は、頑張れば割と働ける。今日は残念ながら頑張れば働ける日だったので、出勤した。

 遅刻ギリギリの時間で家を出発すると、道路渋滞に捕まった。
 出勤予定時間の5分前、間に合わない事を悟る。LINEで「遅刻します」とメッセージを投げた。

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希死念慮に喰われるタイミングがなんとなく分かってきたお話

希死念慮に喰われるタイミングがなんとなく分かってきたお話

 この世界には、『無理をして突っ走っている間は、自分が無理をしている事に気がつかない』っていう現象がある。
 また、キャパを超えている自覚はあるのだけれど、『無理にでもやらないとどうにもならない』とか、『自分がやらないと示しがつかない』みたいな、終わった・・・って思うようなシチュエーションもあると思う。

 自分一人で片付く仕事ならいいんだけれど、はなから協力プレイ前提の仕事だと、そう簡単には放棄

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愉快な日常

愉快な日常

 その日の私は仕事場へ遅刻をした。
職場へ向かう途中の謎の道路渋滞、よくある事だ。それでも喰らうと少しだけ、テンションが下がる。来店予定の少ない日でよかった。

 その日の私は忘れ物をした。
いつも仕事用に使っているポーチ、その中にはメモ帳とボールペンが入っている。スマホの収納ポーチとしても機能していたので、これにはだいぶ焦った。
忘れたのが仕事着じゃなくてよかった。

 その日の私は手を切った。

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無題

無題

 私の身の周りには、人の皮を被った『バケモノ』が、いっぱい生息しています。

一周回った人間はヒトを超えている話
 2日間の浴衣イベントを乗り切った猛者達。彼らの中には家庭を持つものがいる。
 それはつまり、着付け・ヘアメ・慣れない衣服のまま8時間越の仕事x2に加え、
子供の世話・旦那の世話・家事・家の雑務その他諸々、をこなしているということ。

 それでも接客中はカラッとしたハイテンションを保ち

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歪んでるのが正なんだ

歪んでるのが正なんだ

 ー 私にとっての『正しい』は、誰かにとっての『間違い』なんだ。ー

 最近、いろんな場面で、そんな事を考える。

 夜8時に店の朝礼をして営業を開始するスケジュールで動いているのに、Googleの営業案内には夜7時半に営業開始で案内が載っている。店長を経由して、社長から「もう7時半なのに卓のセットが終わっていなかったり、看板に灯りがついていなかったりして、黒服がのんびりしすぎている。」と指摘を受

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終わりの夏

終わりの夏

ー 金魚 舞う 昊(そら)の元
私はこの世界に さよならをした ー

 夏祭りで掬った3匹の金魚のうち、1匹が水槽に浮いていた。
 それはお祭りの翌朝の出来事で、あまりにも早すぎる死に、私は不安になった。
「元々弱っていたんじゃないのか?」
悲しむ私に父親がそんな声を掛けてきた。多分それは正論。だけど、今聞きたいのはそういう話じゃない。もっとこう、希望のある話が聞きたかった。こんな切ない現実で楽し

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人生で初めて長編小説を書き切った話

人生で初めて長編小説を書き切った話

 note創作大賞2024に応募したくて、ノリと勢いだけで長編小説を書き始めた。
 そして、結果、書き切った。
 自分が一番驚いている。あぁ私って、長編書けるんだ・・・?!

 長編といえど3万字前後。1000 ~ 2000字の文章を、✖️20話の構成。
 おそらく書店に並ぶ文庫本達には程遠い字数なんだと思う。それでも、『大きな物語を最後まで書き切れた』っていう事実は、私にとっては、なんというか、

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長編小説[最終話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

はじまり
 「こうして会員ランクが上がっていくと、どんどん月会費が安くなって、活動が続けやすくなっていくんですよ。」
歳増しのリーダーらしき『導さん』と呼ばれている男性が話す。その横で30代と思わしき『小春ちゃん』と呼ばれている女性が、資料を指差しながら顧客の視線を誘導している。
 小春と『琴葉ちゃん』と呼ばれている顧客は、友達の関係だったらしい。琴葉は自分磨きのセミナーで出会った『友人だったはず

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長編小説[第19話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

檻の中の道化師
 スマホの時計はすでに午後14時12分を指している。開会予定時刻は14時、完全に遅刻だった。

 この日は私、星光が所属する、ネクプロの成果報告会が開催されていた。市民センター内にある大ホール。入り口に設置された受付スペースには、古い長机と椅子だけが置かれている。
 受付用の参加者名簿は撤収され、担当者はすでに会場の中へと入っていたようだ。
 後で声を掛ければいいかと諦め、私は静か

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長編小説[第18話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

旧友の語便り
 「寒いですね・・・。」
「そりゃそうでしょう。もう秋だよ、その格好は舐めてると思う。」
「アハハ。」
薄手の七分袖Tシャツに夏仕様のロングスカートを身に纏(まと)っていた私、星光に、渚さんは呆れた顔で突っ込んだ。
 私達は秋晴れの空の下、ゆっくりと河川敷を歩いていた。
 穏やかな空気の中に、時折り思い出したかのような木枯らしが通り過ぎていく。その度に私は渚さんに抱きついて「寒い」と

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長編小説[第17話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

 渚さんの目に、じわじわと涙が溜まっていく。
しばらくすると、落とすまいと必死に溜めていたそれは、決壊して、彼女の頬を伝っていった。
 そんな渚さんの背中に覆い被さるようにして、クロちゃんは彼女を強く、愛おしそうに、抱きしめていた。

 渚さんが同封されているイヤホンを手に取った。
「確かに、受け取りました。」
彼女がそう呟くと、クロちゃんは渚さんを抱きしめたまま、静かに頷いた。

 斜めになった

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長編小説[第16話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン

少しの効果
 渚さんの告発から数日後、ネクプロ本部より、『勧誘についての注意事項』と書かれた、約10ページに渡る長文のPDFが送られてきた。
 それを受け、ネクプロ青葉チームでは全体ミーティングが開かれた。

 ミーティングに出席した渚さんと私、星光は、一切の口を開かずに、ポーカーフェイスで導さんの話を聞いていた。余計な事を言ってしまわないか、内心冷や汗をかきながら。きっと渚さんも、同じ心境だった

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