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お疲れなので全てサボって手紙を書く
どこかの次元の彩果さんへ
お元気ですか?
ごはん、ちゃんと食べてますか?
ちゃんと寝てますか?
最近の私は、まぁまぁ色んな事をしています。
店の大きなイベントで、派手に呑むお客様2組が隣どうしの卓になり、
映画『億男』の冒頭シーンかな?と思いながら卓のお世話をしておりました。
高価なお酒、派手なシャンパン、ヌーブラで遊び始める叔父様方、良い子には聞かせられない替え歌カラオケ・・・、カオスです。
毒味のつもりで味見するドリンクは、飲み込んではいけません。連休明けは特に!!
当たった。お腹痛い…気持ち悪い…。
by白服
『ありがとう』がお金に乗って帰ってきた日
私は国分町のとあるラウンジで、白服の仕事をしている。契約形態はアルバイト、いわゆるフリーターというヤツだ。
先日、待ちに待った給料日がやってきた。そして同時に、予想外のニュースが待ち受けていた。『時給が50円、上がっている…!!』
その日が給料日だという事を、私はすっかり忘れていた。
朝?いつも通りに出勤してオープン準備を進めていると、ウキウキの店長から「今日は給料日だね♪」と告げられる
虚無から始まるリズムに合わせて
昨日、一つの時代が終わった。
10年店を盛り上げてきたベテランのキャストさんが引退したのだ。
最後の2週間はたくさんのお客様が押し寄せて、普段より特別なシャンパンを開けていく。
白服はシャンパンを開ける時、『おめでとうございます!』と言ってコルク栓を抜く。夜のラウンジにとってシャンパンは、祝う心の象徴なのだ。
けれど彼女は、祝われるのを拒否していた。
「おめでとう、じゃないな。お疲れ様だ
行ってみないと分からない
体調最悪、昼夜のリズムも絶妙に戻りきれていない今日、仕事に行くのが嫌だった。
不思議な事に、メンタルが落ち切っている時は働ける状態じゃないのだが、身体が不調の時は、頑張れば割と働ける。今日は残念ながら頑張れば働ける日だったので、出勤した。
遅刻ギリギリの時間で家を出発すると、道路渋滞に捕まった。
出勤予定時間の5分前、間に合わない事を悟る。LINEで「遅刻します」とメッセージを投げた。
希死念慮に喰われるタイミングがなんとなく分かってきたお話
この世界には、『無理をして突っ走っている間は、自分が無理をしている事に気がつかない』っていう現象がある。
また、キャパを超えている自覚はあるのだけれど、『無理にでもやらないとどうにもならない』とか、『自分がやらないと示しがつかない』みたいな、終わった・・・って思うようなシチュエーションもあると思う。
自分一人で片付く仕事ならいいんだけれど、はなから協力プレイ前提の仕事だと、そう簡単には放棄
歪んでるのが正なんだ
ー 私にとっての『正しい』は、誰かにとっての『間違い』なんだ。ー
最近、いろんな場面で、そんな事を考える。
夜8時に店の朝礼をして営業を開始するスケジュールで動いているのに、Googleの営業案内には夜7時半に営業開始で案内が載っている。店長を経由して、社長から「もう7時半なのに卓のセットが終わっていなかったり、看板に灯りがついていなかったりして、黒服がのんびりしすぎている。」と指摘を受
人生で初めて長編小説を書き切った話
note創作大賞2024に応募したくて、ノリと勢いだけで長編小説を書き始めた。
そして、結果、書き切った。
自分が一番驚いている。あぁ私って、長編書けるんだ・・・?!
長編といえど3万字前後。1000 ~ 2000字の文章を、✖️20話の構成。
おそらく書店に並ぶ文庫本達には程遠い字数なんだと思う。それでも、『大きな物語を最後まで書き切れた』っていう事実は、私にとっては、なんというか、
長編小説[最終話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン
はじまり
「こうして会員ランクが上がっていくと、どんどん月会費が安くなって、活動が続けやすくなっていくんですよ。」
歳増しのリーダーらしき『導さん』と呼ばれている男性が話す。その横で30代と思わしき『小春ちゃん』と呼ばれている女性が、資料を指差しながら顧客の視線を誘導している。
小春と『琴葉ちゃん』と呼ばれている顧客は、友達の関係だったらしい。琴葉は自分磨きのセミナーで出会った『友人だったはず
長編小説[第19話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン
檻の中の道化師
スマホの時計はすでに午後14時12分を指している。開会予定時刻は14時、完全に遅刻だった。
この日は私、星光が所属する、ネクプロの成果報告会が開催されていた。市民センター内にある大ホール。入り口に設置された受付スペースには、古い長机と椅子だけが置かれている。
受付用の参加者名簿は撤収され、担当者はすでに会場の中へと入っていたようだ。
後で声を掛ければいいかと諦め、私は静か
長編小説[第18話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン
旧友の語便り
「寒いですね・・・。」
「そりゃそうでしょう。もう秋だよ、その格好は舐めてると思う。」
「アハハ。」
薄手の七分袖Tシャツに夏仕様のロングスカートを身に纏(まと)っていた私、星光に、渚さんは呆れた顔で突っ込んだ。
私達は秋晴れの空の下、ゆっくりと河川敷を歩いていた。
穏やかな空気の中に、時折り思い出したかのような木枯らしが通り過ぎていく。その度に私は渚さんに抱きついて「寒い」と
長編小説[第17話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン
渚さんの目に、じわじわと涙が溜まっていく。
しばらくすると、落とすまいと必死に溜めていたそれは、決壊して、彼女の頬を伝っていった。
そんな渚さんの背中に覆い被さるようにして、クロちゃんは彼女を強く、愛おしそうに、抱きしめていた。
渚さんが同封されているイヤホンを手に取った。
「確かに、受け取りました。」
彼女がそう呟くと、クロちゃんは渚さんを抱きしめたまま、静かに頷いた。
斜めになった
長編小説[第16話] ネクスト リビング プロダクツ ジャパン
少しの効果
渚さんの告発から数日後、ネクプロ本部より、『勧誘についての注意事項』と書かれた、約10ページに渡る長文のPDFが送られてきた。
それを受け、ネクプロ青葉チームでは全体ミーティングが開かれた。
ミーティングに出席した渚さんと私、星光は、一切の口を開かずに、ポーカーフェイスで導さんの話を聞いていた。余計な事を言ってしまわないか、内心冷や汗をかきながら。きっと渚さんも、同じ心境だった