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歪んでるのが正なんだ

 ー 私にとっての『正しい』は、誰かにとっての『間違い』なんだ。ー

 最近、いろんな場面で、そんな事を考える。

 夜8時に店の朝礼をして営業を開始するスケジュールで動いているのに、Googleの営業案内には夜7時半に営業開始で案内が載っている。店長を経由して、社長から「もう7時半なのに卓のセットが終わっていなかったり、看板に灯りがついていなかったりして、黒服がのんびりしすぎている。」と指摘を受けた。

 私視点の『正しさフィルター』でものを見ると、「キャストの準備完了を8時に設定して動いているなら、7時半にお客さんを入れてもしょうがなくない?30分ただ待たせるの?それならGoogleの営業案内をとっとと8時営業開始に修正すればいいのに。それができないならキャストの準備もろとも開店準備を7時半完了の見込みで動いて、朝礼も30分前倒しにすればいいのに。」となる。なので、営業開始早々にこの指摘を受けた時、心の狭い私は正直、「なんて理不尽な!」って思った。

 店長視点の『正しさフィルター』でものを見ると、答えはこうだ。
「一応7時半開始で案内してるから、こっちの事情がどうあろうと7時半にはお客さんを入れられる状態にしておかないといけない。お客さんの目の前でやるとまずい仕事(おしぼり巻いたり、店内のBGMや明るさ調整したり、同伴や予約の卓準備をしたり・・・)は7時半までに間に合わせておいて。細かい所(キャストの準備を待つとか、カウンター裏の仕事とか)は後でもいいから。」となる。
 すぐに小言を言い出す社長を黙らせたい気持ちはわかる。その為に体裁を整えたいって気持ちも、分からないけど理解はできる。そして納得はいかない。Googleの営業案内とっとと直せよ。。。

 営業時間中、その日は使っていなかった部屋のトイレのペーパーがなくなっていた時の、社長からの指摘も理不尽だった。
 その日は朝に自分が一度そこのトイレを使っていたから、ペーパーがセットされている事も確認をしていた。その後営業時間が経過していき、中盤に差し掛かったあたりで「ペーパーがないぞ。こういう所、営業前に全部確認してもらわないと困る。黒服全員で共有してくれ。」と指摘を受けた。
 『アルコール摂取の限界を迎えたキャストの誰かが、その日使っていなかったその部屋のトイレに駆け込んだ。その時に大量にペーパーを使った。』って考察が私的にはしっくりくる。「吐いてペーパー使い切っちゃった」なんて恥を捨てて声を掛けられるキャストさんがどれだけいるだろうか?ましてやその日は使う予定がない部屋の備品なのに。少なくとも私がキャストの立場だったら、そんな事できないと思う。

 経営って、店のスタッフからは見えない様な裏の仕事がいっぱいあるんだと思う。その上で、これは下の者のワガママなのかもしれないけれど、『自分の店だから』って思って細かく現場に指摘を入れてくる前に、まず現場の状況を把握して欲しい。普段現場に立たないのに「最近どうですか?」のたった一言の質問だけで現場を探ろうとされると、心の狭い私は、なんかこう、とっても不快だ。

 私の視点、店長の視点、社長の視点、先輩の視点、おそらくモノの見え方は全員違う。たとえ同じ店のスタッフであっても、全員にとって「正解」の形は全部違う。マニュアルなんてない小さな店だ。良くも悪くも全員が、自分の頭で動いてる。

 もし他の誰かの指摘が自分にとって『気に食わないな』と思うようなモノだったなら、それはきっと『私』とその『誰か』の『正しさ』がずれていただけ。
 理不尽だなとか、ゆがんでるな、とか思うけれど、歪んでいるのが正なんだろうなと、もう無理やりにでも納得するしかない。
 この世界で生きていきたいのなら、ね。
 

 

 

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