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不登校からの卒業(5)

ご家族が元気になる過程を考える2


お子さんが不登校になった時、ご家族が先に元気になっていってほしいと思い、前回、ご家族が元気になる過程をお話しました。

そこで、それぞれの段階のことをお伝えしようと思って、ふと、それだけでは足りないような気がして、追加でお話することにいたしました。

ですので、各段階のことは次回からお話させていただきます。


何か足りないと思った時に、前回のことは、誰に向けて書いたのかが気になりました。

そうなんです。前回の「ご家族」は私の中では「お母様」と置き換えてもいいくらい、お母様が元気になっていかれる過程だと思ったのです。

じゃあ、お父様はどうなのか、ということです。そのお父様は少し違うように思ったので、お父様のことをお話したいと思います。

いつもお伝えしていますが、必ずそうなる、ということではありません。あくまで、私が出会ってきたご家族や子ども達から学んだことなのです。その点はご理解ください。


1)不満期
この時は、お父様は、
「行きたくないって言ってるんだったら、無理させなくてもいいんじゃないか?」「ちょっと疲れてるのかもしれないから、休ませて様子を見たらどうだ?」
などと、表面的にはそれほど重く受け取っていないようなことを、お母様にお話することがあります。

ところが、この時に実はかなり気にしているのですが、それを見せなかったり、自分が気にしたりしていることにすら、わかっていないこともあります。

この時点でお母様は「もうちょっと真剣に心配してやってよ」とお父様に対しても不満が出てくることもあります。


2)不安期
不安期に入ると、お父様は自分の「心の中の不安」と「解決しないといけない」という気持ちから、不登校になったお子さんに対して無理に学校に行かそうとしてみたり、お子さん自身に強く言ってみたりすることが出てきます。

それと同時にお母様に対して「何であいつは行かないんだ!」「お前がもっと行かせるようにしないからだ」とお母様に対しても強く言われることがあります。中には「お前の育て方が悪い!!」とまで言う方も出てきます。

これに対して、お子さんは「何もわかってくれない」とお父様が帰ってくると部屋に入ってしまうようになってしまいます。お母様はご自身も不安なのに、お父様からも「当たられる」ように強く言われてしまい、余計にどうしたらいいのかわからず、不安を募らせてしまいます。


3)混乱期
この頃になると、お母様は「本当に無理して学校に行かなくてもいい」「でも、このまま行かないのは絶対に良くない」とお子さんと同様に激しく悩むようになるのですが、お父様はここに来て、少し静かになります。

どう言っても動けないお子さんに対して、お母様と同様に「何でこんなことになったのか?」「このままあの子はずっと動けないのか?」混乱してしまいます。

まるで、お子さんに自分を否定されているかのように感じて、どうしていいかわからなくなります。

この頃になると、お子さんは、ほとんどお父様と話さなくなります。男の子であれば、顔もあわさないことが1ヶ月どころか2・3ヶ月におよぶこともあります。

この時に、お父様の中にはまるで腫れものに触るかのように、お子さんに対して接する方も出てきます。それが余計にお子さんとの距離をあけてしまう感じになります。

この時期が最も家の中が暗い感じになってしまいます。ここがお母様の踏ん張りどころ、でもあります。


4)充実期
お子さんの不登校になってからかなり時間が経ち、お母様の努力もあり、お子さんが心のエネルギーを溜めてくる頃です。

気持ちも少し前向きになって、お子さんにもお母様にも笑顔が出てくる頃です。

それでも、お子さんは、お父様が帰ってくると、自分の部屋に入ってしまい、お父様と会話することがないことがほとんどです。

フリースクールや次の進路のことを考え出すようになり、お母様とお子さんの間では外に向かっていく話が出てくると、俄然張り切るお父様もいます。

お父様自身でもいろいろ調べ、あそこはどうだ、こうしたらどうだ、とお母様に言い出すお父様に対して、少し冷めた目で「まだすぐにはそこまでできないと思うよ」と言われて、ムッとしたり、凹んだりするお父様もいます。

お父様は、何となく自分が除け者にされたように感じて、寂しくなったり疎外感を感じたりされる頃でもあります。

そのため、お父様の気持ちがアップダウンすることにお母様が振り回されてしまい、お子さんが、せっかく外に向いた気持ちが、また、不安になって少しの間、動けなくなることもあります。

お父様が最も自分を見つめ、悩み、内省するのもこの時期です。

お父様もお母様も、お子さんの不登校をきっかけに最も精神的に考える時です。そのために名前も精神的に「充実期」であるとしています。


5)解放期
お子さんが自分から動くことを決めて動きはじめたことに、お父様も喜びを隠せずにいることが多いです。

ここまでのことで、お父様はかなりお子さんに寄り添うことができるようになっています。

お子さんが動くことに対して、自分は少しでもお子さんを支えたいと思う気持ちになり、お子さんのことを考えられるようになっていることが多いです。

ここまでお母様にも冷たかったり、自分の不安をぶつけたりしてこられたお父様でも、ようやくお母様のご苦労がわかるようになり、お母様にも寄り添えるようになるお父様も出てきます。

ところが、この時にまだ、お母様には寄り添えず、当たるところまではいかなくても、ブツブツ言われるお父様もいらっしゃいます。

お父様がどのような状態かを見分けたいときは、この頃はお子さんが頑張りすぎて、少しの間、動けなくなることがありますから、その時のお父様の様子を見ていただけるとわかります。

「ちょっと頑張ったから疲れただろうから休ませてやらないとな」と言えたら大丈夫ですが、「せっかく動き出したのに、またか」と不満そうな態度になる場合は、まだまだ、お子さんにもお母様にも寄り添えない状態です。


どちらにしても、お父様がお母様と全く同じように、お子さんに接することができるようになるわけではありません。そこはお父様とお母様では違うのです。


そのことは、お母様も十分にわかってあげていただきたいと思うのです。

良い悪いということではなく、同じように感じることはできないものだという理解をしていただけると、お互いに「わかってもらえない」と思わなくてすみます。


ご両親が不登校になったお子さんのことで、ケンカをしたり、もめたりすることが、最も子どもの心を傷つけることになることは、絶対に理解しておいてほしいことです。

このことで離婚までになってしまうご夫婦が増えています。離婚は、不登校になった子どもの心に大きな傷跡を残していると思います。

ですので、ご両親がお互いのことを十分に理解するためには、お互いの気持ちを尊重し、しっかりと相手の「言葉ではなく気持ちを聞く」ということをしてほしいと思います。


次回から、一つひとつの時期を、もう少し深くお話していきたいと思います。

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