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1年のはじまり/所信表明

2020年4月3日【2限目】

所信表明

 今年3月で23年間務めてきた小学校を退職。22歳の時この道を志してから50年。72歳までひとつの道を歩ませて頂いたなあと感謝をしています。中学校、高校の体育の教師。結婚、子育てを経て小学校へ勤務。(33年)あっという間の50年でした。

 仕事が終わった私に長男は、今までやってきたことを思い出して書き留めるように。ほぼ命令に近い言い方で私に要求してきました。そこで、思い出したことをぽつぽつと書いてみようと思いました。 

 今年は、コロナウイルスの流行で、世の中が大変なことになっています。きっと、何年も経ったら歴史に残る大きな出来事になっていると思います。

新学期に向けて

 昨年度の3月よりコロナウイルスの流行により小学校は閉鎖され、4月になって新学期を迎え、先生方は新しいクラスの名簿を見ながら、どんなクラス、学年にしたい等。まだ会っていない子供たちを思いながら準備をされていると思います。

 ピカピカの一年生はランドセルを背おったり入学式に出会う先生はどんな先生かな、お友達はどんな子たちかなと、うれしい気持ちと、ちょっぴりの不安で学校へ行く日を待っているでしょう。

 それぞれに育った環境も、育てられ方も違った一人ひとりが学校という場で一緒に過ごします。ですから、新しい発見や、トラブル等が日常に起こります。トラブルが起こった時が、その子の学ぶ時だと思います。

 子供たちにとって、そのことが次への成長に繋がるように、寄り添い話を聞きます。日々、そんな繰り返しの中でクラスはだんだん成長し、安心できる場所になっていきます。安心できる場所にいると、少しずつですが自分を出せる子がでてきます。

 学校では沢山の教科を学びますが、その中で得意なこと、不得意なこと、好きなこと、興味のあることなどが分かってくると思います。学年が上がってくる毎にいろいろな経験をし、自分の進みたい方向が見えてくる子もいます。

 やりたいことを見つけ、それを深く追求し、それが仕事になったり、人の役に立ったり、人により添えたりして、学んだことが社会に役に立ったら、教師としては嬉しいです。

 実際には、どんな時に子供が感じ、受け止め、どんな時にヒントを出しているのかは分かりませんが・・・。

チップをうめる

 50年前に初めて教師をしたときは、滋賀県の中学校で3年生の担任からのスタートでした。8歳年下の生徒達でした。10年ぐらい前になりますが、同窓会で私がゴルフをすると言いましたら、自分もするから是非一緒にということになりラウンドをしたことがありました。

 その子は銀行の支店長になっていました。「先生、僕な、なんで支店長にまでなったと思う?それはな、先生が中学校を卒業するときに『会った人を大切にしいや!』と、言ってくれて、それをしてたらここまで来たんや。」と、言ってくれました。たぶん、私を喜ばせようと思って言ってくれたんだと思いますが・・・

 私はいつも卒業アルバムに「出会った人を大切に!」と、書くので、それもあるかなと思いました。教師は、こどもたちがいつ何を受け取ったのか分からないし、こどもたちも何を受け取ったのかもわかりませんが、一人ひとりの受け止め方は違います。

 人生を送る中で、私から受け取ったという自覚もありませんが、影響を及ぼしていることがあるんだなあと思いました。

 ですから、日々、受け取ってるかどうか分かりませんが、教師の発した言葉や行動が、チップのように子供たちの心に埋め込まれて、それが何かのきっかけで、その子の考えや行動を決めるものになっているのかなあ、それは受け取った子供も発信した側にも分からないままに・・・。

 そんなことを考えていたら、教師という職業は責任はありますがそれに関わらせてもらっていることが嬉しくもあります。

 今も、どこかでだれかの心の中で、私が発したチップが作動しているかもしれないと思うと、元気が出て、それが私に力をくれます。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」ってね。

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