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卒論を書こう!

 卒論を書きたい! という人は少ない。それは当然、1年弱にも渡って学術研究に取り組む事への忌避感と面倒くささがあるからだ。しかし入念に準備をし、強大で巨大な壁を毎日少しずつ崩してゆけば、マホメド・アライJr.をアッサリと下した範馬刃牙のように、あっという間に執筆を終える事が出来る。  何もかもが忙しく、忙しなく、一年なんてすぐに過ぎてしまうからこそ、将来の事と卒論を両立させるには困難が伴う。筆者も一人ではそれを乗り越える事は不可能だっただろう。そういう経験をしたからこそ、ささ

    • 何でもない日記―2023.8.16―

      「パスワード何だったかなあ~」  そう思っている時にはもう、新しいパスワードの事を考えている。新しいパスワードは往々にして、覚えていたはずのパスワードと同じようなものにする。今の記憶を、未来に向かって定着させるためだ。でもこういう時、前のパスワードは完全に思い出せなくなっている。思い出す必要が無くなったから。何だか悲しい事だね。  そんな事を思いながら、今日の四分の一くらいを過ごしていたけれど、今はPassCodeのライブ映像を見ながら漢文を読んでいる最中なので、全く引きずっ

      • 何でもない日記―2023.8.15―

        「大体ね、どうして縁もゆかりも無いような土地を好きになるんだ」  と言うのは、俺に良く投げかけられる疑問だ。あ、ちなみに、「えん」も「ゆかり」も、漢字にすると「縁」となる。  何故だろうか。自分でもあまり言語化した事がない。その必要も感じなかった。そもそも好きな気持ちをあれやこれやと、理由を並べ立てて言語化出来るのって、それ自体が一つの能力であるようにすら思うし、そう言ってしまうとその言語化が得意じゃない自分は「無能力者(レベル0)」って事!? ……いやいや。では古典的な問答

        • 何でもない日記―2023.8.14―

          「なんでもう3時?」  なんでだろうね。今こうして日記を書いている傍らにはやはり漢文がある。勿論、これを書き終わったら、再び視神経たちに無理を言って、漢文を読むことになるだろう。 「そういえば夜更かしっていけない事じゃなかったっけ」  どうだろう。確かにいけない事だったような気がする。あれだ、成長ホルモンとかだ。あと睡眠時間を確保していないと、何より授業中に困る。大体、(今からすれば信じられない事に!)小中高と、殆ど我々の時間割に隙間なんてなかっただろう。高校の時はあった。高

        卒論を書こう!

          何でもない日記―2023.8.9―

          「しかしだね、ガッキー」 動画投稿サイトのタブを、ワンクリックで閉じる。普段俺が飲まないお茶のCM視聴を勧める超有名女優も、消える。 「スキップを押すだけが、広告回避の方法とは限らないのさ」 そう言って、動画配信サイトを開く。視聴履歴には、特撮作品が2つある。直近に見た方をクリックして、視聴画面が開いた。イヤホンから流れてくる音楽が語りかける。 この街には、涙は似合わない、と。  最近は随分、肩と腰、そして何より視神経、おまけに右手にも負担をかけている。申し訳ないとは思う

          何でもない日記―2023.8.9―

          なんでもない日記―2023.5.28―

            かつて、(正確には2年と3ヵ月と5日前)、私は人生で初めてPassCodeのライブに行ったわけだが、当時はコロナ禍の真っ只中。  今読み返すと、随分若く、やはり勢いと気力だけで書いていたように思う。正直今読まれると、気恥ずかしさを強く覚える。  それはともかく、あの時、メンバーの南菜生さんはこのように話していた。 "不要不急と呼ばれるものを追いかけている中で、私だけ取り残されている気がしてた。でも、今日ライブをして、止まっていた時間が動き出していくような、そんな気がして

          なんでもない日記―2023.5.28―

          太平記を読まないか? Vol.14~巻2-②「為明卿歌の事」~

          [はじめに] こんにちは。今回は、前回に引き続き、鎌倉幕府の命令で捕縛された人々の動向を描く。本文は比較的短いので、サクサク読んでいこう。 『太平記』巻二「為明卿歌の事」[原文①]  また、二条三位為明は、歌道の達(者)にて、月の様、雪の朝、褒貶の歌合の御会に召すされて、宴に侍る事隙なかしかば、「叡慮の趣、知らぬ事あらじ。尋ね聞くべし」とて、先づ召し取つて、斎藤に仰せ付け、「嗷問して白状あらば、関東へ注進すべし。自余の僧達は、関東にて尋ねらるべければ、ここにては差し置くべ

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          太平記を読まないか? Vol.14~巻2-②「為明卿歌の事」~

          太平記を読まないか? Vol.13~巻2-①「南都北嶺行幸の事」~

          [はじめに] こんにちは。今回から、『太平記』も巻二に入っていく。巻一に続いて、鎌倉幕府の瓦解に向けて動く後醍醐天皇や、その関係者に注目しながら読んでいこう。 『太平記』巻二「南都北嶺行幸の事」[原文①]  元徳二年二月四日、別当万里小路中納言藤房卿を召し、来月八日、東大興福両寺に行幸あるべしと、仰せ出ださる。則ち古へを尋ね、例を考えて、供奉の行粧、路次の行列を定めらる。三公九卿相随ひ、百司千官列を引く。言語同断の厳儀なり。  東大寺と申すは、聖武天皇の御願、閻浮第一の盧

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          太平記を読まないか? Vol.12~巻1-⑫「主上御告文関東に下さるる事」~

          [はじめに] こんにちは。今回は、一連の謀叛計画が、一応の終焉を見る。と同時に、この先にも繋がる終焉である。日野資朝、日野俊基はこの先どうなっていくのか、そして後醍醐天皇の思いは。巻一、最終節を読んでいこう。 『太平記』巻1「主上御告文関東に下さるる事」[原文①]  七月七日の夜は、牽牛、織女の二星、烏鵲の橋を渡つて、一年の懐抱を解く夜なれば、宮人の風俗、竹竿に願糸を懸け、庭前に嘉菓を列ねて、乞巧奠を修せらるる夜なれども、世上騒がしき折節なれば、詩歌を奉る騒人もなく、絃管

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          太平記を読まないか? Vol.12~巻1-⑫「主上御告文関東に…

          太平記を読まないか? Vol.11~巻1-⑪「俊基資朝朝臣召し取られ関東下向の事」~

          [はじめに] こんにちは。今回は、前回と打って変わって比較的短い節を読んでいく。簡単にまとめてしまえば、土岐・多治見討伐の事後処理①、のような記事である。前節と合わせて読んでいこう。 『太平記』巻1「俊基資朝朝臣召し取られ関東下向の事」[原文]  土岐、多治見討たれ、資朝、俊基の隠謀、次第に露顕したりければ、東使長崎孫四郎左衛門尉泰光、南条次郎左衛門尉宗直、二人上洛して、正中二年五月十日、資朝、俊基両人を召し取り奉る。土岐が討たれし時、生取に一人もなかりしかば、白状はよも

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          太平記を読まないか? Vol.10~巻1-⑩「土岐多治見討たるる事」~

          [はじめに] どうもこんにちは。今節では、遂に土岐と多治見が討たれてしまう。どのように攻められ、そして死んでゆくのか。その死に様に注目しながら、読み進めていこう。分量がやや長めであるので、適宜休憩を入れながら読んで頂きたい。 『太平記』巻1「土岐多治見討たるる事」[原文①]  さる程に、明くれば元亨四年九月十九日の卯刻に、軍勢雲霞の如く六波羅へ馳せ集まるを、小串三郎左衛門範行、山本九郎時綱、御紋の旗を給はつて、六条河原へ打ち出で、三千余騎を二手に分けて、多治見が宿所、錦小

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          太平記を読まないか? Vol.9~巻1-⑨「謀反露顕の事」

          [はじめに] どうもこんにちは。今回は数回に渡る謀反計画の、一つの終結について述べられている節を読んでいく。結論から言えばこれだけでは終わらず、「終わりの始まり」の様相を呈していくのだが、それはそれとしてしっかりと読んでいこう。 『太平記』巻1「謀反露顕の事」[原文①]  謀反人の与党、土岐左近蔵人頼員は、六波羅の奉行、斎藤太郎左衛門尉利行が息女に嫁して最愛したりけるが、世の中すでに乱れて、合戦出で来たらば、千に一つも討死せずと云ふ事あるまじと思ひける間、かねて名残や惜し

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          太平記を読まないか? Vol.8~巻1-⑧「昌黎文集談義の事」~

          [はじめに] このシリーズが最後に更新されたのはなんと9月である。あまりにも前の事で、本当に申し訳ないという気持ちと、なぜここまで遅くなったのか自分でも分からない気持ちがないまぜになっている。ともかく、年も明けた事だし(もう2月だが)、また細々と更新してゆきたいと思う。どうぞよろしく。 『太平記』巻1「昌黎文集談義の事」[原文①]  かの僧都、謀反の企てとは夢にも知らず、会合の日ごとにその席に臨んで、玄を談じ理を分かつ。かの文集に、「昌黎潮州に赴く」と云ふ長篇あり。この所

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          随分と遠い道

           と書いて「隧道」、なのかもしれない。今はもう使われない隧道たちに思いを馳せながら日々を過ごしている。  私のnoteを読んでくれる方々には、まず『太平記』の現代語訳が進んでいない事を詫びなければならない。本当に申し訳ない。作業は進行中で、「最大限の努力」をしているという事しか言えないのだが、ともかく出来る限り読んでいこうと考えている。    しかし、本当に随分と遠い道を歩いてきた気がする。個人的な事が沢山あった。サークルを2つも引退して、卒論に向けて重すぎる腰を上げて、住所

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          太平記を読まないか? Vol.7~巻1-⑦「土岐十郎と多治見四郎と謀反の事、 付 無礼講の事」~

          [はじめに]  こんにちは。随分と時間が空き申し訳ない限りである。筆者は9月の初めに、この『太平記』より以前に書かれた軍記物語『平家物語』ゆかりの地である壇之浦や、元寇防塁の跡、そして近世の史跡巡りで浜松へと足を運んでいた。下関、浜松それぞれで2泊3日のゼミ合宿である。読者諸君には、一つの時代のみを専門的に学ぶ姿勢だけでなく、近接する他の時代にも目を向ける積極的な姿勢を持っていただきたいと思う。元寇防塁については、いずれNoteで別に記事を作成しようと思っているので、楽しみ

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          太平記を読まないか? Vol.7~巻1-⑦「土岐十郎と多治見…

          太平記を読まないか? Vol.6~巻1-⑥「俊基資朝朝臣の事」~

          はじめに こんにちは。今日は「帝」=後醍醐天皇が計画した倒幕計画に大いに協力したいわゆる「忠臣」について読んでいこう。 『太平記』巻1「俊基資朝朝臣の事」[原文①]  これ程の重事を思し召し立たれけれども、事多聞に及ばば、漏れ聞こゆる事もこそあれと思し召されける間、深慮智化の老臣、近侍の人にも、仰せ合はせらるる事もなし。ただ日野中納言資朝、蔵人右小弁俊基、四条中納言隆資、尹大納言師賢、平宰相成輔ばかりに、ひそかに仰せ合はせられて、さりぬべき兵を召されけるに、錦織判官代、足

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          太平記を読まないか? Vol.6~巻1-⑥「俊基資朝朝臣の事…