何でもない日記―2023.8.16―

「パスワード何だったかなあ~」
 そう思っている時にはもう、新しいパスワードの事を考えている。新しいパスワードは往々にして、覚えていたはずのパスワードと同じようなものにする。今の記憶を、未来に向かって定着させるためだ。でもこういう時、前のパスワードは完全に思い出せなくなっている。思い出す必要が無くなったから。何だか悲しい事だね。
 そんな事を思いながら、今日の四分の一くらいを過ごしていたけれど、今はPassCodeのライブ映像を見ながら漢文を読んでいる最中なので、全く引きずっていない。但し、日記の冒頭に書くにはちょうどよく嵌るような出来事だった。
 この前から言ってる、『玉葉』という貴族の日記を、二月分まで読み終えた。今日からもう三月に突入して七日間分が経つ。一年分を読み終える気がしないが、読み終える気概だけ持っている。どうやら先輩達は、院試を受ける四人と、先輩と、恐らく時に先生も交えて漢文を読んでいたらしい。しかし今年の受験生は(どうしてだか!)俺一人で、今も一人で漢文を読んでいる。傍らにある『玉葉精読』という解説書と、書く用のボードに装填(実際は隙間にキャップ部分をさしこんでいるだけだが、どう見てもアマゾンズドライバーを意識している風味なので、装填と言う言葉を使う!)されている2本の万年筆が今の仲間だ。万年筆は、ボードの右側に装填されている1号『日本海』がメインで、左側に装填されている2号『アマゾンネオ』を赤ペン代わりに使っている。『日本海』は日本海というインクを使っているから、『アマゾンネオ』は本体の色と、使っているオレンジのインクのコントラストが明らかに仮面ライダーアマゾンネオだからだ。


 一人でいる事はそんなに悪くない。それは一人でない事を知っているからなのかもしれないし、疑似的な孤独だからかもしれない。それに今、漢文を一人で読むのは、他に受験生がいないのだから仕方ない。まあ他に受験生がいたからと言って、一緒に読みたいかと言われれば微妙な気持ちだ。誰かの発表とか、それに対する批評とかに集中するくらいだったら、自分で読んで、書いて、現代語訳して、チェックして、間違いを顧みる方が良い気がしているし、それが自分にとって最適だと確信している。
 ……もしかして、言葉を尽くせば尽くすだけ、「とか言って実は一人なの嫌なんでしょう!」とか言われそう! 困った! しかしそういう意見は封殺します。いや封殺しなくてもいいけれど、一応。
 別にいいんです。俺にとっては、「停止」を「ちょうじ」と読んだり、「且」を「かつうは」と読んだりする事を受け入れてくれればそれで良くて、あんまりそれ以上は求めてないんですね。
 院試が終わったら、きっちりと『太平記』に時間を割きたい。『太平記』の記事作成作業も、今やっている事と大差ない。違いと言えば、それが院試の合格に繋がるか否か、というくらいだ。皆読んでくれているかな? お世辞にも100%万人受けする記事とは呼べないけれど、それでも全身全霊で読んでいるから、どうぞよしなに頼むよ。
 おっと! 日記なのに皆に呼びかけてしまったね。これ以上日記が日記でなくなってしまう前に(しかし一日の総括さえしていれば、もう日記なのである。)記事を閉じる事にしよう。

「先例の何たるかを、貴族の日記を読むことによって学べ!」





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