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プロ野球の運営ルール

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NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題②:現在明らかになっているスキームと野球協約の関係

NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題②:現在明らかになっているスキームと野球協約の関係

ファームリーグ拡大の枠組みについて、報道で色々と明らかになって参りました。その内容をまとめた上で、それぞれの内容が野球協約の関係条文とどのようなつながりがあるか、整理してみますね。おかしなところがあれば教えてください。

新規参入団体数

新規参加球団数は「2球団以上」
現在ウエスタンリーグは5球団・イースタンリーグは7球団で構成。球団数を偶数にすることが目標(NPB井原事務局長)としており、審査

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NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題①:野球協約の建付けのお話

NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題①:野球協約の建付けのお話

NPBはファームの球団数を拡張することを正式に表明し、2024年または2025年からの参入を希望する事業者の募集を開始した。現在ウエスタンは5球団・イースタンは7球団と、いずれも奇数となっている状況を是正し偶数にすることを目指すという。

この動きに対し、本稿執筆段階において、BCリーグ所属のアルビレックス新潟、九州アジアリーグ所属の火の国サラマンダーズ、東京の投資会社・ハヤテインベストメント社が

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日ハム「ノンテンダー」案件:これまで経過と少しの所感

日ハム「ノンテンダー」案件:これまで経過と少しの所感

日本ハム球団から3選手が「ノンテンダー」となった件について、これからの論考と議論の参考資料にすることを目的に、これまでの経過と一次資料・関係者の証言と発言のまとめます。あとちょっとだけ所感を。

日本ハム球団「ノンテンダー」発表

2021年11月16日、日本ハム球団は当時同球団に所属していた西川・大田・秋吉の3選手について、「ノンテンダー」とし、保留手続きを行わないことを発表した。

「ファイタ

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中田翔出場停止の後始末

中田翔出場停止の後始末

中田翔は同僚選手に暴行を加えた咎で、日本ハム球団によって2021年8月11日に出場停止の処分を受けた。その後の動向が注目されたが、8月20日に讀賣巨人に無償トレードによって移籍することが発表された。

この顛末にまつわる野球協約・統一契約書に基づく扱いについて見てみたい。

出場停止期間は不当に短いか8月11日に出場停止選手と公示され、移籍に伴い8月20日に出場停止の処分が解除されることを公示され

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NPBにおける「出場停止処分」の境界

NPBにおける「出場停止処分」の境界

2021年8月11日、日本ハム球団は同球団所属の中田翔選手が、同球団の選手1名に対し暴力行為を行ったことを公表した。日本ハム球団は「統一契約書第17条に違反し、野球協約第60条(1)の規定に該当するものと認定した」とし、出場停止の処分を下した。同日、NPBからも同選手を出場停止選手とすることを公示した。

出場停止選手として公示されるケースはどのようなケースなのかを考察する。

野球協約における出

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NPBは藤田倭選手を選手として採用できるか?

NPBは藤田倭選手を選手として採用できるか?

東京五輪のソフトボールで金メダルを獲得したソフトボール日本代表。
活躍した選手を、応援しているプロ野球チームに獲得してほしい、といった声がTwitterで多数見られた。特に二刀流選手であり3本塁打を放った藤田倭選手の獲得を熱望するプロ野球ファンが多かったように思われた。もちろん冗談で仰っていたのだろうが、ソフトボールの女子選手をNPB球団が選手として契約することは不可能なのだろうか?

NPBの諸

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プロ野球オールスター:出場辞退と欠場

プロ野球オールスター:出場辞退と欠場

2021年のオールスター試合では、田中将大・浅村栄人・近藤健介の3名が欠場することが、NPBによって試合当日に発表された。(NPB発表文)

オールスターへの出場を辞退すると、オールスター明けの試合から10試合に出場できなくなることはよく知られているが、この3選手の場合はどうなるだろうか。

野球協約のオールスター辞退に関する規定オールスター試合への出場を辞退した場合、オールスター明けの試合から1

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育成選手を制限選手にすることは可能か

育成選手を制限選手にすることは可能か

コラスに次いで、アンディ・ロドリゲス亡命かソフトバンクの育成選手でキューバ出身のアンディ・ロドリゲスが亡命した可能性がESPNの記者Daniel de Malas氏によって報じられた。

本当に亡命したか否かは2021年6月6日時点では明らかではないものの、五輪予選のために訪れた米フロリダ州において失踪したことは事実の模様である。ソフトバンク球団は状況を確認している。

ソフトバンク所属のキューバ

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NPB「リクエスト制度(リプレイ検証)」のルール

NPB「リクエスト制度(リプレイ検証)」のルール

※2023年5月4日「リクエストから検証までの手順」を加筆し、検証時に多数決で判断することになったこと、「確証のない映像」についての基準を追記。

日本のプロ野球では、審判の判定に対してチームが疑義を抱いた場合、審判に映像による判定の見直しを求めることができる「リクエスト」という制度が2018年から導入されています。
映像による判定の検証=「リプレイ検証」は以前から導入されており、審判団が必要と判

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野球協約:2018年度以降の改訂

野球協約:2018年度以降の改訂

野球協約とは?
 「日本プロフェッショナル野球協約(通称:野球協約)」は日本のプロ野球であるNPB:日本野球機構という運営組織のルールを定めたものです。野球機構の組織の構成、選手との契約に関するルール、リーグ運営についてのルールなどが定められています。

なぜこの記事を書いたか?
 この協約は、なぜかNPBは公開していません。私のような一般人がこの協約を参照するには、日本プロ野球選手会という選手の

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順位決定方式「TQB」とは?

順位決定方式「TQB」とは?

 2020年のプロ野球が開幕して早1か月。開幕時には新型コロナウイルスの感染拡大も一時に比べて落ち着いてきた印象でしたが、ここに来てまた安心はできない状況になってまいりました。このままプロ野球シーズンも平穏に終わることができるのか、心配ですね。

 そんな中、プロ野球のコロナウイルスの感染拡大への対応策として、7月6日の西日本スポーツの記事にこんな内容が出ていました

新型コロナウイルス感染拡大の

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2020年のプロ野球特例まとめ

2020年のプロ野球特例まとめ

 7/10から観客を入れての試合が始まった2020年のプロ野球ですが、例年とは異なる形式で運営されることになっています。わかりやすいところでは試合数が120試合とか、延長が10回までとか。ところが、NPBのWebには「主な特例事項」しか掲載してくれていません。細部や背景は、各種媒体にバラバラと記事になっているだけで、網羅的にまとめてくれていない。ならば私がまとめてあげましょう、というのがこの記事で

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プロ野球2020年特例:外国人枠拡大

プロ野球2020年特例:外国人枠拡大

 2020年のNPBでは、さまざまな特例ルールが適用されています。その全貌については、以前に記事に書きました。

 この記事の中では、特例の1つ「外国人枠拡大」は詳細を飛ばしました。この記事に詳細を書くと、ただでさえ長ったらしい記事が更に長くなりそうだったので(断じて面倒だったからではない)。
 この拡大措置は、4名の枠が5名になる、という単純なものではありません。ところが例によってNPBのサイト

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