プロ野球2020年特例:外国人枠拡大
2020年のNPBでは、さまざまな特例ルールが適用されています。その全貌については、以前に記事に書きました。
この記事の中では、特例の1つ「外国人枠拡大」は詳細を飛ばしました。この記事に詳細を書くと、ただでさえ長ったらしい記事が更に長くなりそうだったので(断じて面倒だったからではない)。
この拡大措置は、4名の枠が5名になる、という単純なものではありません。ところが例によってNPBのサイトには細かい制限までは書かれていない。報道されている記事も網羅的でないものが多くて全貌がつかみにくい。
この特例まとめ、誰にとって役に立つのかまったくもって不明ですが、コロナ禍の影響の覚書として残すべきだという妙な義務感から、外国人枠拡大特例の内容と背景を探る無駄に長い旅に皆さんをお連れします。
例年の外国人枠のおさらい
いわゆる外国人枠は、野球協約において下記のように定められており、例年は出場登録できる人数は「4名」に制限されています。
第82条の2 (外国人選手数)
球団は、任意の数の外国人選手を支配下選手として保有することができる。ただし、出場選手登録は4名以内に限られ、野手又は投手として同時に登録申請できるのは、それぞれ3名以内とする。
支配下登録する外国人の人数に制限はありませんが、いわゆる1軍登録できるのは4名が最大です。さらに、但し書きにあるように、4名すべてを野手もしくは4名すべてを投手とすることはできません。従って、4名の外国人選手を同時に登録しようとする場合、野手・投手の人数組み合わせは下記の3通りに制限されます。
① 投手3名・野手1名
② 投手2名・野手2名
③ 投手1名・野手3名
上記の枠内であれば、各球団の事情に応じて最大4名の外国人の出場登録数を自由に運用することが可能です。
2020年の外国人登録枠特例
2020年は同時に出場選手登録できる外国人選手の人数を「5名」まで拡大しています。
ところがこれが一筋縄ではありません。5名に拡大されたのなら、前の段落に書いた組み合わせが増えるだけだろ、としか思っていなかったのですが、運用に2つの縛りがついているんです。
1つ目の縛りは、「ベンチ入り人数」です。こちらはシンプル。例年は外国人のベンチ入り人数に制限はありません。しかし登録枠が5名に拡大した今年は、「ベンチ入りは4名まで」と制限されています。
問題は2つ目の縛りです。5名の枠内での、投手・野手の人数の組み合わせの変更に制限があります。
まずですね、外国人枠5名ですが、5名の枠すべてを野手、もしくはすべてを投手に充てることはできません。これは例年の4名枠と同等な縛りですね。5名の枠の野手・投手の組み合わせは、下記の4通りに制限されています。
① 投手4名・野手1名
② 投手1名・野手4名
③ 投手3名・野手2名
④ 投手2名・野手3名
ここまではシンプル。
ところが、この4つの組み合わせを変更する場合に制限がかかります。
①投4・野1または②投1・野4を1度でも選択すると、外国人を5名登録する場合には、①投4・野1または②投1・野4の組み合わせ以外は認められません。③投3・野2を選びたくても、認められません。投4・野1から投1・野4に変更することもできません。ダメです。例えば、投4・野1を選んだら、(5名を同時に登録する場合に限り)その組み合わせの縛りから逃れられません。
一方、③投3・野2もしくは④投2・野3の組み合わせを選んだ場合は、③・④の間で配分を自由に変更できます。また①投4・野1、もしくは②投1・野4にも移行はできます。ただ、前の段落に書いたように、一度①・②の組み合わせを選ぶと、③・④の組み合わせには戻れません。
この内容をまとめたのが、下記の図の左側です。
例えば①投4・野1を選択した球団が、外国人野手をもう1名登録したい場合、外国人5名の同時登録をあきらめるしかありません。例年のルールである、同時に登録できる外国人選手は4名まで、という制限の中で運用することになります(上図の右側)。
外国人5名制で、「一度でも」①投4・野1もしくは②投1・野4を採用すると、外国人5名を同時に登録する場合は、その組み合わせ以外は認められません。
なぜこんな縛りができたのか?については、下記の報知の記事が球団事情を例にとりながら説明しています。
私の読解力では一読しただけでは理解できなかったです、、、
要は、このような特例ができる前に「外国人枠は4名、同時登録は投手・野手はそれぞれ3名以内」という前提で編成している球団にとっては、無制限な5人枠の内訳変更の運用を許すことは不公平、ということだと理解しています。(あってるのかな??)
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以下、無力な一やきうファンでしかない私の推測とピスタチオナッツ並みの想像力に基づいて、この記事内容を理解しようとしたメモ書きのようなものです。読まなくても大丈夫です。もし間違っていたり、よりよい整理の仕方があればぜひ、コメントで教えてください。
2020年開幕時の各球団の支配下の外国人選手のリストを見てみましょう。
(ソフトバンクの野手、ここちょっと消えかかってますね。46番という選手がいたんですけど。)
西武・日本ハムは、投手3名・野手2名の編成です。これは、例年の外国人枠の運用制限(「野手又は投手として同時に登録申請できるのは、それぞれ3名以内とする。」)に抵触しないように3名以内の保有に限ったものと考えられます。3名以上を保有したところで、同時に登録はできないので宝の持ち腐れになってしまう。例年のルールに基づいて、2020年3月20日の開幕に備えたわけです。
ところが、6月になって制定された2020年の特例によって、外国人枠が拡大し、野手もしくは投手を4名保有していても同時に登録できるようになったわけです。投手・野手をそれぞれ3名以内に絞っていた球団にとってみると、急に枠が拡大されたとしてもその恩恵を十分に受けられない。では、外国人5人枠の配分を「投3・野2」「投2・野3」に絞ると、ヤクルト(投4・野1)が、外国人枠拡大の恩恵を受け入れられないことになってしまいます。
そこで「投4・野1」「投1・野4」の恩恵を受けられる球団には、その配分を変更できないように縛りをかけてしまおう、ということのようです。
と、長々書いたのですが、何コレ??
理解に努めたのですが、納得できません。5人になれば全球団が5人枠を活用できるので、何が不公平なのでしょうか?5人枠内の配分が自由に変更できないことが公平性を保つことになる理屈が見えません。。。
例年の外国人枠4人の中で、投手と野手の配分割合を固定するのはなぜか?、そもそも外国人枠の制限をかけるのはなぜかを掘り下げていかないといけない気がしてきました。それはまた別の機会に。。。
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