空き家リノベーション、デザインの前にやるべき3つのこと
地方のまちづくりで、必ず課題で挙げられる空き家。
都農町に移住して3件、空き家・空き店舗のリノベーションをしてみて感じたことをまとめました。
空き家リノベーションは、ともすると、(自分も出してるけど)ビフォーアフター写真やインテリアなどデザイン面が話題になりがち。
実際、デザインはすごく大事なんですが、実務としてはデザインに行き着くまでがもっと大事。
TURNS4月号「リノベーションまちづくりが地域をもっと元気にする!」で、僕らのリノベーションが8ページにわたり紹介されてるので併せてご覧いただけると嬉しいです。
言うまでもないですが、空き家のリノベは貸して(売って)もらわないことには始まりません。ここが一番ハードル高いなと感じてます。
実際に、下記3案件の空き家リノベで起きたこと、言われたことを中心に。
1.地主さんとの関係づくり
まずはじめの課題、空き家・シャッター店舗にもかかわらず、貸してくれる人は本当に少ないです。
都農町でも、移住してすぐ、地元の人と一緒にシャッター街の空き店舗をすべて見てまわり、貸してもらえないか打診しましたが、ほぼゼロ回答。
実際に言われた理由は
とてもいい立地だったり、まちづくり的には活用したい場所なので、まちのためにも協力を!と言ったところでそれは私的財産なので口説き用がないことが多いと思います。
特に小さな町だと、ヨソ者がパッといって貸してくれるなんてことはまずないと思います。
したがって、地主さんとつながりのある地元の人が入ってくれるかどうかにかかってしまうと思います。
ただそれはスタート地点に立てるだけで、実際に貸してくれるかどうかは持っていきかた次第。
個人的な経験ではお金の話は最後。
それより「先代やご主人がどのような意向だったか」「どういう用途だったら貸してもいいのか」などの話のほうが重要です。
ただ、この地主さんとの話は、一番楽しめるところでもあります。
文明|BUNMEIのリノベの際、地主さんにご挨拶行った際、都農町でまちづくりをしていく上で必要なことを、地主さんの実体験に基づいて親身にアドバイス頂けて、それはいまでもおおいに役立っています。
記念すべきnoteの第1号記事でも紹介。
2.まちにとっての意義
これは、1で挙げた大家さんに貸してもらうために必要なこととしてもつながってますが、とても重要なポイント。
ぼくの場合は、最初の案件YARD1927は単純に自分の会社のオフィスがないという、とても私的な理由からのスタートでした。
ただし、それだけではなかなか大家さんも口説けなければ、わざわざリノベする意味もないのかなと思います。
一軒の空き家をリノベすることって、東京をはじめとする都心部だと麻痺しがちだけど、1万人の町では、町のみなさんが注目したり話題に出がちです。
実際、初めてのYARD1927を工事しているとき、通り過ぎる車の中の人がもれなくガン見してましたし、いまでも、あそこは○○屋らしいという怪情報を聞くこともあります w
なので、なんのためのリノベか、まちにとってどういう意義があるのか(出せそうか)ということは言葉にしていく必要があるかな、と思ってます。
3件目に手がけたHOSTEL ALAの場合も、コンセプトは「まちづくりホステル」として、町外からの宿泊を呼び込むこと、もともと少ない観光客やサーファーの方々向けではなく、都農町のまちづくりに関心のある人や大学生をターゲットにしたいと思ってはじめました。
それほど観光資源がない町で宿泊施設をつくる意義はあまりないかなと思ってます。でも、ぼくらがやらせてもらってるまちづくりのリアルを知りたい人は一定数いるし、その人たちが来ることで町内の人や若者たちの刺激になれば少しばかりは意義がでるかなと思って、試行錯誤中です。
3.安定収益の確保
3番目は最大課題、お金です。
リノベーション費用を中心とする初期投資をどうするかと、月々の支払をどうするか。
自己資金で賄える人はのぞき、多くの場合は、投資してくれる人、もしくはお金を貸してくれる人、どちらかないと実現しません。
都農町の場合は、人のご縁に恵まれて3件とも、投資いただいています。
とはいえ、上述した1と2と密接につながっていて、まちにとって意義のある企画を立てることが最重要だと思ってます。
乱暴にいえば、意義のある企画と最低限の支払が担保されていれば、投資や融資をしてくれる人はあらわれる!と信じてます。
空き家のリノベーションを考えていると、やりたいアイデアはたくさん出てきます。
ただし、その一つひとつが収益を生むかというと、これはなかなか難しいものです。
例えばコワーキングスペースについても、面白いのは起業プレゼンをしたり、多世代での議論や提案というコミュニティ活動だと思いますが、基本、儲かるものではありません。
そうなると、安定収益をいかに確保できるかが当たり前に問われてきます。
僕らの場合でいけば、企業や一般財団法人のオフィスとしての賃料や、HOSTEL ALAの場合は、社員の社宅賃料などで月々の支払いをある程度賄えることを目指してはいます。
現状、リノベーションした空き家がおおいに儲かってる、、ということはないので偉そうなことも、語れることもまだそんなにないのですが、安定収益を確保しつつ、経費を徹底的に削減していくことに尽きると思います。
HOSTEL ALAでは、チェックインなどは無人オペレーションを前提に、有人サービスはゲストの満足度に直結する接客などに絞ってます。
4.ナレッジの共有
今年、取り組みたい空き家があるのですが、前述の1はクリアー、2と3で悩んでいると言うのが正直なところです。
地方のまちづくりで難しいところは、企画を立てるプレイヤーが少ないことです。
なので、空き家を前にして、2で挙げた意義や3の収益モデルを考える上でも、1人2人で考えててもネタ切れは甚だしく、外部の新鮮な意見や、過去にうまくいった実例など、のどから手が出るほどほしいと渇望してます。
昨年末、そんな思いもこめて「まちづくりツアー」と題して、ツアーで都農町に来てくださったゲストの人たちと空き家活用を考えました。
今月も、スタディツアーに参加する大学生の意見をどんどん頂こうかと思ってます。
全国の地方市町村で、ほぼ共通するであろう課題なので、空き家のリノベーヨン事例が、もっとオープンに、メソッドやナレッジが共通化されていくといいなと思ってます。
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