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【絵本】『わすれられないおくりもの』~身近な人の死と向き合う~

あらすじ


野原のみんな、ひとりひとりにアナグマが残していったすてきなおくりものとは……!?
アナグマが死んだ。でも、みんなの心の中で、大すきだったアナグマは生きている。
アナグマは、もの知りでかしこく、みんなからとてもたよりにされていた。冬のはじめ、アナグマは死んだ。かけがえのない友を失った悲しみで、みんなはどうしていいかわからない……。友だちの素晴しさ、生きるためのちえやくふうを伝えあっていくことの大切さを語り、心にしみる感動をのこす絵本です。

出版社からの内容紹介 絵本ナビより引用

感想

身近な人の「死」

半年前、祖父が亡くなりました。

4歳の息子にとってはじめての身近な人の死。
行き来が難しいこのご時世、息子には数えるほどしか祖父に会わせることができませんでした。

それでも、息子なりにひいおじいちゃんの死を受け止めているのか、「死」についてたびたび口にするようになりました。

「死」について分からないことを一つ一つ尋ねることもあるし、「(自分やママが)死んじゃったらどうしよう」と怖がることもあるります。小さいながら、いろいろと思いを巡らせているようです。

そんなときに、一緒に『わすれられないおくりもの』を読んでみました。

「長そうだったけど読めたね」
「アナグマさん死んじゃったんだ」
「トンネルのむこうって天国かな」

そんな感想でした。

内容を理解するのはまだ難しいかもしれません。でも、「死」について考えたとき、この本を少しでも思い出してくれるといいな、と思います。

次の世代への「おくりもの」

『わすれられないおくりもの』は、小さい頃から今でも私のいちばん好きな絵本です。

子どもの頃は、アナグマさんの死が悲しくて読むたびに泣いていました。
大人になって、これは身近な人の死と向き合う話なんだと気づきました。
そして母になった今、本書を読みながら、子どもに何を残せているだろう?と考えるようになりました。

死を悲しんでいた幼少期を過ぎ、アナグマさんを慕っていたモグラさんの立場を経験し、とうとうアナグマさん側になりつつあるのでしょうか…。

みんなだれも、だれかしら、アナグマとの思い出がありました。アナグマは、ひとりひとりに、別れたあとでも、たからものとなるような、ちえやくふうを残してくれたのです。みんなはそれで、たがいに助け合うこともできました。

アナグマさんはトンネルのむこうに行ってしまいました。
でも、アナグマさんの思いは、彼が残した知恵や思い出とともにみんなの中に生き続けています。

私は今まで、周りの人からいろんな「おくりもの」をもらいました。
人との出会い、共に過ごした時間…どれも私の心を豊かにしてくれるものばかりです。

今までいただいた「おくりもの」に感謝をしながら、これからは子どもに「おくりもの」を残していきたいです。

アナグマさんのように。

書誌情報

『わすれられないおくりもの』
作・絵:スーザン・バーレイ
訳:小川 仁央
出版社:評論社
発行年:1986年

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