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主体性を発揮できる組織をデザインするには?

なかなか興味深い記事です。今後、どうなっていくのか気になります。

#日経COMEMO #NIKKEI

電子認証大手のGMOグローバルサイン・ホールディングスが、上司や部下といった階層や役職がない進化型組織へ転換した。スタートアップなどが取り入れる例はあるが、東証プライム上場企業が従来型組織から切り替えるのは珍しい。担当する業務の進め方や何をするかを社員自身に任せて主体的に動いてもらい、生産性を高める狙いだ。

ヒエラエルキーか、ホラクラシーか、もちろん、どちらが優れているかということではないでしょう。上下関係がなくなる=主体性が生まれる…と短絡的に解釈されがちですが、それも違いますよね。

上司・部下がないというよりも、一人ひとりの役割や貢献を明確にして、都度互いにフィードバックしながら、見直すこともやっていきましょう、ということです。そう考えると、形がヒエラエルキーであっても、一人ひとりの役割を考え、上司からのフィードバックやそれに答えることで主体性は高まるものだと思います。

形に問題があるとすれば、上下関係が固定的になっていて、長く勤めれば上の方に行ってしまい、結果、学ぼうとか、変わろうとかしない「上」が弊害になっているケースが多いように思います。

ただ、いずれにせよ、形の問題ではないでしょう。

組織のあり方を考える上でよくたとえとして出てくるのが、野球とサッカーの例です。一般的なイメージとして、野球の方がヒエラエルキー的、サッカーの方がホラクラシー的な捉え方になっていると思います。野球は、競技の形式としても、1回1回止まって、ピッチャーが投げるところからゲームが動きます。監督がサインを出してそれに応える、という競技特性から上意下達のイメージになります。

サッカーは、ゲームが止まるのは不定期ですね。ラインをボールが割ったり、反則があったりなどの時です。ボールを足で扱うことから不確実性も高く、監督もピッチの外から指示の声を飛ばしますが、局面局面を選手同士が考えて動いていく必要があります。

とはいえ、サッカーも役割はありますね。それに全体的な戦略もあるし、チーム内での戦術的な約束事があります。それに従わないとチーム内で孤立してしまいます。それは、プレー的にも人間関係的にもです。

主体性は、好き勝手やることではありません。チーム内で、自分が求められる役割を認識して自ら制約をかけられる、つまり律することが求められます。そうやって、For the teamの精神でプレーできる選手は、仲間からも信頼されますし、自分の貢献にコミットしていますから、自分の武器を磨くことにも熱心です。

それはプレーにおける武器や役割だけではありません。チームの人間関係においてもどのような役割であるかを、自ら考えられるプレーヤーが超一流だと思います。

先のWBCにおけるサムライJAPANには、キャプテンがいませんでした。栗山監督はあえてキャプテンを置かなかったと言います。キャプテンがいれば、求心力が生まれてチームの一体感がうまれるというメリットがあります。一方でキャプテンに負荷がかかり、リスクが分散されにくいデメリットもあります。

栗山監督は、非常に熱い思いを持った指揮官です。そして、選手のことを深くリスペクトしています。ましてサムライJAPANのメンバーは超一流です。技の面だけでなく、心の面で自律しています。そのようなメンバーの中からキャプテンを選ぶよりも「あなた一人ひとりがJAPANなのだ」と伝えることのほうがプラスに作用すると考えたそうです。

そのうえで、選手一人ひとりに期待することも丁寧に伝えています。経験値や年齢からダルビッシュがリーダー的な存在になっていましたが、それも、栗山監督から「ダルの経験をみんなに教えてほしい」という明確な期待役割の伝達があったことが大きかったと思います。

組織の形はあくまで形、手段にすぎません。一人ひとりの役割が伝わりやすく、また、互いに尊重しあえるかどうか、互いから学び合えるかどうか。そのことを目的において、組織体系を設計していくことが大切です。ヒエラルキー、ホラクラシーという分類に収まらない自分たちらしいあり方を探求していくことが大切なのだと思います。


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