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老子で創詩

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老子はつかみどころがない。首根っ子をつかまえて実体を見極めることができない。そのつかみどころのなさが老子の魅力である。だからこそ多くの人々が老子に心惹かれ、読み、語り、考えてきた…
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2022年8月の記事一覧

テーマ6.逆説の妙

老子はいわゆる一言居士、悪い言い方をすればへそ曲がりで、付き合う相手としては、やっかいな…

城取一成
1年前
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逆境の意味

怪我の功名、回り道の出会い、負けて勝つ。 無駄や失敗にも、実は意味があるということを教え…

城取一成
1年前
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柔弱は剛強に勝つ

人は高く飛び上がる時に 身体を屈めて強く大地を蹴る それはどういうことか。 大地に加えた力…

城取一成
1年前
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天の道理と人の道理

「たまたま運に恵まれただけです」 と人はよく言う。 人生の運の量は決まっており いつか自分…

城取一成
1年前
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真理は内側に眠っている

千利休は たった二畳の茶室に宇宙深奥の景色を見いだした。 秀吉は 黄金の茶室を作り、あらん…

城取一成
1年前
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テーマ5.両極相和す

「両極相和す」というのは、ヘーゲルの弁証法でいうところの「アウフヘーベン(止揚)」に近い…

城取一成
1年前
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矛盾の統合

称賛しか知らない人間は 人の心の痛みがわからない。 悲しみしか知らない人間も 人に優しくはできない。 飽食の時代の子供に 飢餓の恐怖はわからない。 飢餓と戦う人々も 飽食の怖さは理解できない。 善悪、貧富、清濁、貴賤・・・。 両極を対比させる言葉はたくさんあるが 両方を包み込む言葉は意外と少ない。 私達に必要なのは 両極を認めつつ、立ち止まって もう一歩高い次元に立って 止揚することかもしれない。 清流も濁流も隔てなく受け入れ それでもなお、青く澄み渡る大海原の如く

トップの役割

不祥事を起こした組織の謝罪会見には二つのタイプがある。 ひとつは、トップの両脇に役員・部…

城取一成
1年前
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「絶対」の不確かさ

ある日を境に正悪が逆転することがある。 正として尊ばれていたものが悪に変わり 悪として忌み…

城取一成
1年前
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易しいことは難しい

「天下の破れは蟻の一穴から起こる」 そう頭では分かっていても 何度も失敗を繰り返している。…

城取一成
1年前
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価値の二面性

軍馬も、農耕馬も 同じ馬であることに変わりはない。 違いが生ずるのは、使う側の心持ちである…

城取一成
1年前
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不善もまた人間である

ペテロは、ガレリヤ湖で漁をしていた時にイエス・キリストに声を掛けられて、最初の弟子となっ…

城取一成
1年前
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大器の価値はわかりにくい

「小さく叩けば、小さく響き 大きく叩けば大きく響く 馬鹿なら大馬鹿で、利口なら大利口だ」 …

城取一成
1年前
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テーマ4.欲望との向き合い方

老子は、無為・無欲といった言葉を多用することから、欲望否定論者と見なされがちだが、私は必ずしもそうとは思わない。 むしろ、「欲望との向き合い方・付き合い方」に目を向けているのではないだろうか。 その難しさをよく知っている人だと思う。老子のわかりにくさは、欲望との付き合い方の難しさを反映している、とも言えそうだ。 ここでは、老子の欲望論がよくわかる章句を七つ選んでみた。 読んでいただくと、その主張が一貫していることがよくわかる。ひと言でいえば「ほどほどに」ということになろう