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シンガポールで先生の先生に会ってきた。

世界周遊72日目:シンガポール

シンガポールはとても綺麗な街でした!街全体がユニバーサルスタジオみたいな感じです。笑
近代的な経済都市で何もかも人工的ですが、その分とても綺麗でした。

マリーナベイサンズの夜景
アラビアンストリート モスク
セントーサ島 ビーチ

さて、そんなシンガポールでは以前からの知り合いの先生にお会いする機会をいただけました。
この先生がなかなかの強者でして、グローバル・ティーチャー賞(Global Teacher Prize)という教育界のノーベル賞と言っても過言ではない賞のファイナリストに選ばれたことのある人物なんです。
簡単に言えば世界でも屈指の先生ってことですね。

そんな先生を今回は訪ねて、お時間を作っていただき、なんと夜のシンガポール案内までしていただきました。笑

今回はその時に聞いたお話から
シンガポールの教育について
生徒の幸福度(well-being)について
などをまとめて書いていきたいと思います。

🔶シンガポールのNazir先生について


今回お話しさせていただいたNazir先生ですが、
数年前まで現場でサイエンスを教えており、
現在はシンガポールの学校をめぐって研修会を開いたり、講演活動を行われているそうです。

どのような授業をされていたのか、どのようなお考えを持っているのか
についても書いていければど思います。

簡単な紹介動画もございますので、興味のある方はぜひご覧ください。

さて、動画をご覧になられた方は何となくお分かりかもしれませんが、
この先生は「子どもたちと一緒におもちゃを作りながら科学を学ぶ」というスタイルの授業を行なっていました。

例として、
科学実験の1つとしてわたあめ作成機を子どもたち自身に作ってもらうものがあります。

最初の授業で簡単なイントロダクションを行い、
早速、配られたプリント(説明書)をもとにわたあめ機をグループワークで作ってもらいます。
実際に作ったわたあめ機でわたあめを作り、もちろん食べます。笑

その後、自分達がしたプロセスを振り返りながら
実際に砂糖がどうなったのか、どのような変化が起きたのかをプリントにまとめていきます。

生徒主体のアクティブラーニング授業ですね。
体験をもとにした知識なので定着もしやすいそうです。
このわたあめの実験を7年前に実施した教え子が授業内容を明確に覚えていてNazir先生自身も驚いたそうです。
それだけ体験学習には可能性がありますよね。

しかし、Nazir先生いわく
アクティブラーニングや体験学習だけでは子どもたちの心を惹きつけ、色こく記憶に焼き付けるには足りないそうです。
大切なのはEmotional Arousor(心を動かす体験とでも言いましょうか)なんだとか。

逆にいうと、それさえあれば体験学習でなくてもいいんだそうです。
例として挙げていたのは映画を見ている時の子どもたちでした。
子どもたち自身がアクティブに活動しているわけではないのに、集中力が切れることもなく映画に没頭している姿を見たとき
「大切なのは心を動かす何かなんだ」感じたそうです。

別の例では、先生への研修の話を聞かせてくださいました。
VR機器を学校の先生方に紹介した時の話です。

1回目の研修では概要を座学で伝え、一度VR内に入り動作方法と何ができるのかを伝えたそうです。
その上で、VRを使って授業内で何ができるかをワークしてみたところ
アイデアが全然出てこず、参加者の先生方も困り顔だったようです。

しかし2回目の研修でVRゲームを体験してもらった時、先生方の顔つきが一気に変わりました。その後のワークでも授業内で実施できそうな具体的なアイデアがどんどん出てきたそうです。

実際の体験なのか、美しいVR内のデザインなのか
何が先生方のEmotional Arousorになったのかはわかりませんが、先生方は2回目の研修では心を動かされる経験をし、
そこから多くのインスピレーションを受けて自分の中に知識と経験を取り入れることができたそうです。

ではEmotional Arousorは何によって引き起こされるのでしょうか。
それは厳密に再現性がある形ではわからないようでした。
これをしておけば間違いないというものはなく、
生徒やクラスの特色、その日の生徒のテンションによっても変わるのかもしれません。

ただ、それはコンテンツに縛られているわけではそうです。
この教科や科目、単元では生徒の心を動かすことができないということはなく、どんな内容でも心を動かす方法はきっとあるんだそうです。

Nazir先生自身が科学の先生だったため、語学や社会・数学などの授業ではどのように心を動かすのか、アドバイスを与えることくらいしかできないそうです。
だからこそ実践してくれる先生方の存在が重要で、その実践経験談からNazir先生も引き出しを増やしてるんだとか。

生徒全員に刺さる同じ授業があるとは考えていませんが、
それでも子どもたちの心を動かせるような授業を提供していきたいと感じました。

🔶シンガポールの教育について


さて、Nazir先生から聞いたシンガポール教育について書くまえに
簡単にシンガポール教育をまとめておきたいと思います。

シンガポールでは6歳から小学校相当の学校が始まります。
これが6年間あり、この期間が義務教育にあたります。(中学校相当は義務教育に含まれません。)

12歳から中等教育がスタートし、これが4,5年あります。
義務教育ではありませんが就学率は高いです。
その後は大学進学のための準備期間になります。

シンガポールの学校教育システムの特徴としては小学校相当を終える12歳の時にある卒業試験PSLEでしょう。
卒業試験と書きましたが同時に中学校相当学校への進路を決めるテストでもあります。
つまり、この結果如何で中学校相当の学校が決まります。
そのため、シンガポールの子どもたちは小学生の頃から気が抜けないんだそうです。

しかしこのPSLEですが、段階的に廃止されていくようです。
理由は過度なストレスを子どもたちに与えてしまうことにあるようです。
Nazir先生も言ってましたが生徒たちは学力競争の中で強いストレスを常に受けているそうです。
というのも国内の大学が5つしかなく、レベルが高いため、それらの大学に入るために常に競争環境に身を置いているそうです。

シンガポール教育省の判断としては初等教育の時期から競争を意識させる必要はなく、伸び伸びと個性を伸ばしてほしいということなのでしょう。

シンガポールの教育が世界でも素晴らしいと言われるのはこの柔軟性なのではないかと考えています。
義務教育ができたのが2004年、そこからたった20年ほどで世界最高峰と言われる教育システムを打ち立て、今でも改善を試みる姿勢は素晴らしいですね。

宗教教育

これは国レベルで建国の際から意識されていたことらしいのですが、シンガポールでは様々な宗教について満遍なく学びます。

というのもシンガポールは多民族国家であり、いくつかの人種、宗教を持つ人が共生しています。
同じアパートの中に複数の人種が住むようにする法律があったり、
一定の地域内に必ず寺と教会とモスクがあるようにしたり、
民族や宗教間でのすれ違いや対立が起きにくいように強制されています。

その文化が学校教育にも根付いているそうです。
学校内でも互いの宗教について良い悪いではなく価値観や歴史について学ぶそうです。

高レベルの高等教育とそこを目指すシステム

上記でも書いたようにシンガポールの教育水準は世界的にみてもとても高いです。
その本質は「競争」にあるのではないかと思われます。
明確な成績によって評価され、左右を見れば同じ受験戦争に巻き込まれている仲間であり敵がいて、小学生の時から常に高いプレッシャーに当てられている。
この環境こそがPISAでも高得点を叩き出す土台になっているのではないかと思います。

Nazir先生も、シンガポールには人材以外に資源がない、だから競争を使って無理矢理にでも人材のレベルを上げていく必要があったのではないかとおっしゃっていました。

しかし、小学校相当の卒業試験廃止の動きにみられるように「過度なプレッシャーを与えるだけが良い教育ではない」という方向に舵を切ろうとしています。
この動きの先にどのような結果がついてくるのかとても興味深いですね。

🔶まとめ

今回はシンガポールの教育とそこで活躍されている先生について書かせていただきました。

社会が変わるに合わせて、当たり前ですが教育方法は変わっていかなければなりません。
そもそも教育の歴史自体とても浅いものなので固執することなく柔軟にトライしていく姿勢が重要なのではないかと改めて感じました。


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