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オランダ、イエナプラン教育の先生方に話を聞いてみた。


世界周遊37日目:アムステルダム

この記事は前回の続きです。
ぜひ、前回の学校紹介もご覧ください。

さて、今回はHet Wespennestというイエナプラン教育を実践している学校の先生方にお話を聞き、感じたこと思ったことをまとめていきたいと思います。

オランダの、というよりはイエナプラン教育の先生方に話を聞いたという方が正しいかもしれません。
オランダの教育についてもお話してくださいましたが、割合としてはイエナプランについての話が多かったです。

というのも、先生方のイエナプラン教育への愛がすごい!!
当然ですが、みなさんイエナプランの学校を選んできているだけあり、そこに対して強い思い入れがあるようでした。

先生と保護者のコミュニケーションが豊富

これはイエナプラン教育の根本的なポイントでもあるのですが、とにかく「協働」を重要視しています。
子どもたちにそれを示すという意味でも、教育は教員だけで行うのではなく、保護者や地域のコミュニティを巻き込んで実施しているそうです。

その特長的な例として
先生と保護者だけのパーティがあるんだとか。笑
先生方自身も笑いながら言ってましたが、生徒抜きで保護者と先生が学校でパーティを開くそうなんです。

目的を聞くと少し不思議な顔をした後に「楽しい時間を共有するため」と大真面目に言われました。

詳しく話を聞いてみると
先生と保護者がお互いのことを知らないとどうしてもより良い教育環境を作りにくいんだそうです。
お互いの顔を知っていれば街中で会った時に小さな情報交換ができるし、
お互いの考え方を知っていれば話し合いもスムーズです。
特にハプニングが起きた時に、協力し合いやすいんだとか。

しかし、保護者と先生だけのパーティはオランダやイエナプランで一般的かと言われるとそういうわけではないらしく、この学校は少し特殊だと笑っていました。

保護者と先生のコミュニケーションという点では
オランダでは子ども(大体9歳くらいまでらしい)の送り迎えを保護者がするのが一般的だそうで、その分保護者が学校に顔を出す機会が多いそうです。
つまりそれだけ学校と保護者の接点が多いということです。
この点でも保護者が学校教育に関わる機会が多いことが伺えます。

ソーシャルスキルを育む

上記のように、コミュニケーションをとても重要視しているこの学校ですが、その分子どもたちは協働して何かを達成させる経験を積むんだそうです。

最近は個別最適化や個性の伸ばす教育に注目が集められていますが、大きなことを成し遂げるためには他者の力を借りるソーシャルスキルも重要になってきます。

この学校でもその点について特に重要視しているそうです。
授業内のタスクやプログラムは個人で行うものも多いのですが、同時にPBL形式でグループのメンバーと協力しながら学びを深める時間を設置しているんだとか。

しかもただ協働するタスクを与えるだけではやはり摩擦が生まれてしまします。
そのため、子どもたちがお互いのことを尊重しあえるような研修を4歳の時から行なっているんだそうです。

例えば子どもたちにいじめや疎外することの是非を考えてもらうために、ロールプレイングを使って実際にどの様に感じたかを伝え合うそうです。
いくつかのグランドルールを設定し、それに従って「いじめる側」「いじめられる側」「傍観者」を演じ、その感想を共有します。
これによって実体験としていじめを理解していくんだそうです。

少し逸れますが、この研修をすればいじめは無くなるのかと聞かれれば答えはNOだそうです。
それでもいじめや喧嘩は起きてしまいます。(起きないと言われる方が驚きですが)

そんな時は、いじめた生徒、いじめられた生徒と対話を行い解決策を探します。
各々の生徒にどうしたい?何ができる?何か手伝える?このように聞くことで自分達で解決することを促します。

それでも解決しない場合は保護者を交えて、保護者の想いを子どもたちに聞いてもらいます。
保護者はこのハプニングに対してどう感じたのか、子どもたちにどうなってほしいと考えているのかを共有してもらいます。

それでも改善しない場合はカウンセラーや専門家を交えて対話を繰り返していくそうです。

僕個人としては、ここでも重要なのは普段の先生と保護者、生徒とのコミュニケーション量なのではないかと感じました。
そもそも上記の解決方法を選ぶことができるのは日々の交流や対話が前提にあります。

日頃のコミュニケーション量がハプニングを迅速に解決させ、
剰え子どもたちの学びの機会につながるのではないでしょうか?

イエナプラン教育でどのように「主体性」は育まれるのか

よく聞くようになったオルタナティブ教育、特にモンテッソーリ、シュタイナー、イエナプランなどはどれも自律、主体性を育むのに優れていると言われています。

その中でイエナプランではどのように「主体性」が育つのか、先生方に聞いてみました。

1人の先生は
「子どもたちが自分で選んだ学習目標を自分自身(時にはチームで)達成する経験を通して育む」と言ってました。
そして、そのための環境や道具が学校には揃っているんだそうです。

例えば先生方が持っているガイドには生徒の学びに合わせたアプローチが書いてあるし、
先生方は生徒の自負学習を妨げることなく、自分達で目標を達成できるようにサポートすることを心がけているそうです。

「それでも目標を持たない、持ちたがらない生徒もいませんか?」と聞いたところ
正直に言うと、そういう生徒ももちろんいるんだそうです。
そういう生徒にも目標を持ってもらうことが先生方の目標だったりするのですが、無理に持たせるというよりは待つことも重要だと考えている様でした。

その上で、縦割りのグループというのが良い影響を及ぼしてくれるんだそうです。
周りを見た時に自分よりも上手くできる人が近くにいること
自分より上手くできずにサポートを求めている人がいること
これは劣等感にも繋がるが、自分が目指すロールモデルになってくれることが多いそうです。

イエナプランを卒業した子どもたちの特徴として、
プランニングスキル(計画性)が高いという点があるそうです。
物事の計画を自分で立てて、その通りに実施する経験を繰り返すことで

自らの行動力に自信がついてくるのかもしれません。
その結果、自己効力感(自分はやればできるんだという感覚)が高まり、主体性に繋がるのでしょう。

もう1人の先生は
「子ども同士が安心して自分らしくいられる環境が、子どもの主体性を育む」と言ってました。

上記のように自分で目標を設定し、自分でチャレンジする環境がイエナプラン教育には整っています。
その上で、向上心や主体性を奪うのは他者の目線(期待や失望、羨望、劣等感など)ではないでしょうか?

もし他者の目線を気にすることなく
つまり心理的に安全な環境がありつつ、
お互いに協力しあえる関係が教室内にあるのだとしたら、
それは子どもたちにとって自分の好奇心や向上心のままに学ぶことができる環境なのではないかと思います。

その先生はさらに、
「いつでも隣に主体的に学んでいる同年代の人(子ども)がいること、そしてその人はいつでも自分を応援し、助けてくれることが主体性を育む」と言っていました。
また、自分の学びや年下の子どもたちのためになる(役に立つ)ことを知るとさらに学習意欲が高まり、主体性が増すんだそうです。

🔶まとめ


今回はイエナプラン教育を取り入れた小学校へ訪問した体験を書かせていただきました。

ドイツで生まれたイエナプランはオランダではかなりの市民権を持っているようですが、日本ではまだ2校だけです。
そんなイエナプランの学校にお邪魔させてもらえたことはとても貴重な経験になりました。

オランダ教育というよりはイエナプラン教育について多く学ぶ形になりました。
ソーシャルスキルや主体性を育むためのヒントになればと思います。


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