「1週間で1万円の利益を、ゼロから生み出してください」と言われたら…
「1週間で1万円の利益を、ゼロから生み出してください」と言われたら…あなたはどうしますか?
「そんなのカンタンさ」と思う人もいれば、
「え、どうやってやるの…」と悩む人もいるでしょう。
この記事では「ゼロからお金を稼ぐこと」について僕自身が経験したことやその裏側、そこから得たものを、記憶が鮮明なうちに記します。
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※読後に「おまけ」つきです。ぜひ最後までお読みください!!
恥を承知で申し上げると、僕はIT企業に所属しながら新規事業開発や事業創造のワークショップに関わっている人間です。個人としても、新規事業に携わる方の伴走支援などをさせて頂いています。
「新しいことをつくる」のにはそれなりに自信がありました。
それでも「1万円を稼ぐ」ということにはいろんな逡巡がありました。
足掻いて、悩んで、実際にやった9つのことをまとめます。
この記録が、新規事業や「誰かに価値を提供してお金をいただくこと」を考えている方のお役に立てれば嬉しいです。
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ミッションは突然に
冒頭の発言をした人をT師匠としましょう。
師匠は最近出会った、さすらいのマーケター。
ある日、師匠は僕にこんなミッションを課してきました。それは春一番のように突然のことでした。
「北村さん、1週間で1万円の利益を上げてください。条件はこれです」
上記以外は何をやってもOK。さあどうぞ、というお話。
社会人としても長らく法人営業をしていた経験をもつ僕にとっては、お茶の子さいさい…のはずでした。
でも、実際には達成に2週間かかりました。
あることに気づくまでは。
悩み1.誰に売ればよいか分からない
最初に悩んだのは「誰に売ればよいか分からない」です。
一般的な企業での営業の場合、大半は「顧客リスト」というものがあります。誰に売ればよいのかの大枠が事前に定まっているのです。
相手が法人にせよ個人にせよ、困りごとを持っている(であろう)見込み客が明らかになっていたり、担当のテリトリーがある状態なのです。
師匠から提示されたルールには「既存の販路を使わない」がありました。自分で販路を見つけなければなりません。さあ、困った。
悩み2.何を売ればよいか分からない
次に悩んだのは「何を売ればよいか分からない」です。
一般的な企業での営業の場合、大半は「製品・サービスリスト」というものがあります。何を売ればよいのかが事前に分かっているのです。
パソコンでも、ソフトウェアでも、サブスクのサービスでも、紙一枚でも、家でも、重厚長大な船でも、企業では何かしら売り物が決まっています。
師匠から提示されたルールには「既存の商材を使わない」がありました。自分で商材を見つけなければなりません。うーん、どうしよう。
悩み3.どう売ればよいか分からない
さらに悩んだのは「どう売ればよいか分からない」です。
一般的な企業での営業の場合、大半は「セールスマニュアル」というものがあります。どう売ればよいのかが事前に決まっているのです。
マニュアルがあれば、見込み客に電話をかけるのか、メールをするのか、先方から連絡が来るのを待つのか、いくらまで値引きしてよいのか、売り手は(ゼロからは)考える必要がありません。
師匠から提示されたルールには「法律を守る(詐欺とか、押し売り、騙すとはなく)」「組織のビジョンに沿っている」「関わる全ての人々が勝っている状態を作る」「お金の移動のみはNG」がありました。あとは自由。
自分で売り方を見つけなければなりません。いよいよ困った。
何もできずに1週間が過ぎる
慌ただしく過ごすうちに、何もできないまま1週間が経ちました。そしてT師匠から連絡が来ます。
やばい、なにもできていない💦。12年もやっていた法人営業の経験はいったいなんだったのだろう…。
でも嘘をついても仕方がないので、正直に進捗がないことを伝えると、即レスが。
これは放してくれそうにない(笑)…ちゃんと向き合おう。
そこから、まじめに商売の基本を考えました。
トルネコが教えてくれたこと
解決のヒントをくれたのは、30年前(!)にお世話になっていたドラクエ4のトルネコでした。
トルネコは田舎町レイクナバに住む、武器屋に雇われの身の中年男性。
彼はある日、世界一の武器商人になるという夢を叶えるべく、その原資を集めるための旅に出ます。トルネコが一人旅の過程でやっていたのは、こんなことでした。
いずれにも共通しているのは「困っている人に会い、困りごとを聴き、それを解決するものを売る」というもの。
30年前のファミリーコンピュータでトルネコが教えてくれていたのは、とてもシンプルなことでした。
ありがとう、トルネコ先生。
この時点で計11日が経過。師匠と結びなおした期限まで、あと3日。
ここから開き直って、できることを愚直にやりました。
実際にやったこと
僕が実際にやったのは、以下の9つでした。
それぞれ、ざっと触れていきます。
やったこと1.困っている人を見つける
まずやったのは「困っている人を見つける」です。
家で誰かと会議をしている時も、外を歩いている時も、所属しているコミュニティでチャットしている時も、「目の前の人は何に困っているんだろう」という視点で向き合ってみました。
すると意外にも、みんな何かしらに困っているのです。
具体的に欲しいものがある人もいれば、それが何なのか言語化できずにいる人もいました。そして、みんなそのモヤモヤを話したがっていました。話し相手になる「トルネコ」を欲しがっていました。
僕が見つけたのは、たとえば「仕事をするときの思考プロセスがどんなものなのか、他にも何かやり方があるのか知りたい」といったものです。
切り口になる何かを定めて場を作れば、突破口になるかもしれない。
やったこと2.自分のリソースを洗い出す
次にやったのは「自分のリソースを洗い出す」です。
もう少し詳細に言うと、「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」を頭の中で重ねてみました。
困りごとを抱えた誰かと自分とが、うっすらですが一本の線でつながりました。
やったこと3.売り物を考える
つながった線は、提供価値を定義して「売り物」にしなければなりません。
ここでやったのは、困りごとの当事者の(顕在/潜在的な)欲求を言語化する作業です。
この時点ではあくまで仮説なので、「こんな感じかな?」というアイデアをできるだけたくさん出してから、そのあと取捨選択していきました。
デザイン思考で言う、「発散→収束」のプロセスです。
これなら、課題を持つ人が数人はあてはまりそうです。
課題に対する提供価値としては、以下のように言語化しました。
僕自身にも「こんなものがあったらお金を出してでも参加したいか?」と問いかけ、それを解決するための場として「単発セミナー」でテストマーケティングしようと考えました。
日程と時間は、残された準備期間や参加者の負荷を考えて、単発セミナーとして参加ハードルの低い「休日・夜・2時間」に設定。
なお集客は自分でやると決めましたが、課金などのフォローが面倒なので、既存の講座プラットフォームに狙いを定め、以前ユーザーとして活用したことのある「ストアカ」を使うことにしました。
やったこと4.値段をつける
何もないところからの値決めは勇気がいります。ここを間違えてしまうと大きく売上や利益が変わってしまうからです。
実際にはコスト積み上げで考えるやり方、他社比較で考えるやり方、代替手段との比較で考えるやり方、などがあります。
手始めにストアカでビジネス系の講座を見てみました。2時間セミナーの場合はだいたい1,500~5,000円くらいが相場のようです。
お金はたくさんもらえた方が嬉しいですが、あまりに高くして参加ハードルまで高くなってしまっては人が集まりません。人が少ないセミナーほど悲しいものはありません。
ある程度参加しやすく、お得感を感じてもらえる価格帯として、以下のように決め打ちしました。
今回はテストですよ、ということも堂々と言っちゃいました。
最終的な値段の決め手は、「2時間を僕に預けてくれる人のために、ビジネス書1冊分の値段に、ビジネス書20冊分以上のエッセンスを注ぎ込んでお渡しする!」というものです。
理性で調べて、感性で決めました。
(冷静に考えると、もっと高くてもよかったのかも。)
きっとトルネコも、こんな風にして「はじゃのつるぎ」とか売ってたんだろうなぁ。。
ストアカでは、プラットフォームからの集客でオンラインセミナーを実施した場合は売上の30%(対面型は20%)、自己集客の場合は売上の10%がストアカへ支払う手数料となります。10,000円の利益を出すには、自己集客で8人以上が参加してくれる必要があります。
ここで決心しました。
「最低8人、集めよう。」
やったこと5.集客する
集客するにあたり、意識したポイントは以下の3点です。
・自分のねらいや想いを伝える(Why)
・何をやるのか、どんな価値が得られるのかを明確にする(What)
・どんな風に進めるのかを明確にする(How)
そして、きっとこの内容に興味を持ってくれるであろう人が集まっているコミュニティのFacebookグループにイベントを立てつつ、以下のようにメッセージを投げ込みました。コミュニティの中でもアーリーアダプター気質の人たちが集まっているMessengerグループにも、想いを込めてメッセージ。
この時点で、期限まで残り2日。
参考までに、ランディングページ(LP)であるストアカへのリンクも張り付けておきます。
やったこと6.事前にコミュニケーションを取る
申込の意思表示をしてくれた方には、(できる限り)お礼のメッセージを返しました。
また、都合が合わないけれど興味を示してくれた方には、別日程での開催を検討する旨をお伝えしました。
集客状況の途中経過についても、コミュニティに投げ込みました。
事前にやり取りをするかしないかが、当日の参加率や主体性、満足度などに影響をしてくるかもしれません。
相手だったらどう感じるか、を少しでも想像して、メッセージのやりとりをさせてもらいました。
そして、事前のやり取りでわかったニーズや困りごとを、セミナーのストーリーに織り込んでいきました。
やったこと7.売り物(コンテンツ)をつくる
本当はもっとちゃんと時間をとらないといけないのですが、コンテンツ作成のために取れたのは正味8時間程度でした。
マインドマップツール(MindMeister)に、セミナーの骨子を書き込んでいきます。ごく一部ですが、こんな感じです。骨子作成に約2時間。
骨子ができたら、参考書籍や各種Webサイトも参照しながら一気にスライドをつくります。
今回は「ビジネス思考法」であるロジカルシンキング、クリティカルシンキング、デザインシンキングなどの特徴と使いどころにフォーカスをあてました。既存の書籍などではなかなか触れられていない「各思考法の位置づけ・関係性」を明らかにできるよう腐心しました。
「キーメッセージを伝えるためのスライド」と、「あとでじっくり読んでもらうためのスライド」のメリハリを意識しました。
一部スライドを抜粋します。
スライドがほぼできあがったのは、セミナー開催の30分前。ギリギリ…。
おっと、忘れないようにタイムテーブルも5分刻みでざっと作成し、おおよその時間配分をセルフチェックしました(本番実施の時は、もっとちゃんとやってます)
やったこと8.実施する
2時間のセミナーに対して、スライドの説明などレクチャーのための時間は約1時間。あと1時間は、参加者の方々との対話の時間にあてました。
セミナーの間は、講師であるとともにファシリテーターでありエンターテイナーになります。大事なのは、「楽しかった」「参加して良かった」と思える場にすること。
この3つのバランスをとるようにしました。
結論から言うと、大成功でした。
質問や対話を盛り上げてくださった参加者のみなさんに感謝です。
やったこと9.フィードバックを得る
セミナー終了後、受講してくれた方のうち特にペルソナに近い方やコメントをもらいたい方に声をかけました(50名中30名程度)。
そしてインタビューを実施。詳細のフィードバックを得ました。
これ、事業開発においては必須のこと。価値検証・販売検証段階では、必ず「定性・定量で具体的なフィードバック」を得ることが求められます。ここに忠実に、一番丁寧にやっていきます。
結果として、課題解決策の提供価値を言語化でき、届けたい人を具体化でき、次の見込顧客開拓にも繋がっていきました。
けっきょく、目標達成できたの?
達成できました。
ありがたいことに当日は13名の方から申込いただきました。
1,500円×13名=19,500円の売上。手数料や参考書籍などのコストを差し引いても、利益ベースで目標を大幅に上回ることができました。参加者のみなさんからも、温かいフィードバックの言葉をいただくことができました。
頂いた声を一部抜粋します。
額面の利益そのもの以上に、一度つくったコンテンツは、再利用もしやすくなるのがよいですね。継続的に利益を生み出すためには、コンテンツをどう体系立てて展開していくのか、というのがポイントになる気がしています。
結論と気づき:1週間で1万円の利益を、ゼロから生み出すには
シンプルに「誰かに会い、困りごとを聴き、それを解決するものを売る」。
まずこれが原点になると、実践してみて強く実感しました。トルネコ先生と、T師匠、そして参加してくださった方々に感謝です。
困りごとの当事者の(顕在/潜在的な)欲求や、課題に対する提供価値を言語化することも大切なプロセスです。
そして2点、さらに大事だと感じたことが。
営業経験が役に立ったと感じられたのは、値決めと集客について思い切れたという点でしょうか。逆に営業経験がない方は、はじめの一歩を踏み出す勇気をもつ必要があるかもしれません。
売り物は、今回はたまたま自分の得意技であることを組み合わせたセミナーになりましたが、これが仕入物販であれ、ソフトウェアの製造販売であれ、コンサルであれ、本質は同じだと思います。
いかがでしたでしょうか。
記憶が消えないうちにという想いで走り書きしてしまいましたが、この記事が、新規事業や「誰かに価値を提供してお金をいただくこと」を考えている方のお役に立ったのであれば幸いです。
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おっと、さっそく師匠からは、レベル2のミッションが下りそうです。
それではまた…
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