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どう在りたいのか、わからなくなった時の為に

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自分がどう在りたいのか、わからなくなったとき。読むと「何か」変わるかもしれない作品を選びました。
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#読書感想文

抽象度に託された意思

抽象度に託された意思

「そこまで詳しく伝える必要があるだろうか?」

仕事やプライベートで、こう立ち止まる瞬間は枚挙に暇がない。何も大げさな話ばかりではなく、メールやチャットに付け加えた一言を消したり、敢えてぼかした書き方に改めるなんてことは日々無意識のうちに行っている。

詳しさとは、情報の解像度だ。被写体が何であるかわかる程度のピンボケ写真と、臨場感あふれる鮮明な写真のどちらを渡すか。とりあえずモノトーンに加工し、

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別の人の生き方に憧れたら、池平撤兵さんの『ふつうのいるか』を思い出す。

別の人の生き方に憧れたら、池平撤兵さんの『ふつうのいるか』を思い出す。

高校生のころまで、絵は私の味方だった。

自分のことは大嫌いだったけれど、自分の描く絵だけは好きになれた。つらいことがあったときには、自分の描いた絵に慰められた。絵を無我夢中で描いているうちに、ボロボロと涙が溢れて心が軽くなったこともある。

我流なので構図がおかしいのもわかっていたけれど、趣味と呼べないくらい大切だった。

それなのに、20歳を過ぎたあたりから、パタッと描けなくなってしまった。

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