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松尾芭蕉

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桜はなぜ美しいのか - 和歌と俳句を辿りながら、散る桜の美しさと、記憶や祈りとの連関を考える -

桜はなぜ美しいのか - 和歌と俳句を辿りながら、散る桜の美しさと、記憶や祈りとの連関を考える -

なぜ私たちは桜をみて美しいと感じるのだろうか。なぜ私たちは花の中でもことさら桜に関心を持つのだろうか。桜に宿る不思議な力は何に支えられているのか。改めて問うとうまく言葉にできないことに気付く。

桜の美しさを感受する精神はもはや無自覚に受け継がれている。水原紫苑さんの書いた『桜は本当に美しいのか』という本は、それを改めて相対化して言葉にするよき伴走者である。水原さんは今なお精力的に活躍する歌人であ

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松尾芭蕉の俳諧論を補助線に、学びの在り方を考える(勝負・遊び・求道・探究)

松尾芭蕉の俳諧論を補助線に、学びの在り方を考える(勝負・遊び・求道・探究)

教育が変わりつつある。いまや、教育という概念が座っていた玉座には、アクティブ・ラーニング、探究学習、問題解決型学習、プロジェクト学習、プレイフル・ラーニング等、新しい概念が同床異夢の状態で在る。

新しく玉座に座ろうとする概念に共通するキーワードがある。それは「楽しさ」である。いままで、学校で展開される教育が苦痛なほど楽しくなかったため、新しい教育はそれを否定して楽しさを自身の売りとする。

例え

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松島:島々の共同作品

松島:島々の共同作品

8月28日、松島に入った。松島は芭蕉がおくのほそ道の旅を始めるにあたって、一番関心を抱いていた地である。

小学五年生のときに初めておくのほそ道を読んでから、松島は人生で一度訪れたい地だった。

しかし同時に、対面するのに勇気が必要だった。二度目の初対面はないのだから、最初の訪問で芭蕉の感動を自分も味わえるだけ成熟していないと、感動が味わえずじまいだという感覚があった。

松尾芭蕉は、松島を目の前

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立石寺:香りのような音

立石寺:香りのような音

立正寺に向かう旅の2日目は立石寺を訪ねた。貞観2年(860年)から在る由緒正しいお寺である。また、松尾芭蕉が次の名句を詠んだ地である。

閑さや岩にしみ入蟬の声 芭蕉

おくの細みちでも随一の発句であると思う。「岩にしみ入」とはどんな声なのか、前々からひと目見たいと思い続けてきた。

山形駅から電車に乗って山寺駅に向かう。車窓から見える景色からみるみる間に家がなくなって間隙を埋めるかのように山

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