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イギリスからウクライナへ愛を。ラフマニノフ、プロコフィエフのコンサート

ウクライナへ愛を

昨晩はコンサートでした。ロシアの作曲家、ラフマニノフとプロコフィエフ。

もともと「ロシアから愛をこめて」というタイトルのコンサートでしたが、急遽タイトル変更・・・。

コンサート開始。普通だったら、すぐに演奏が始まるところですが、昨日は違いました。

オーケストラの横、ステージのすみに、凛とした女性が立ち、スピーチをはじめました。

彼女はロンドン・フィルハーモニー・オーケストラのディレクター。ロシア出身で、兄弟がウクライナのキエフにいるそうです。

プロコフィエフはウクライナのソンツィフカの生まれ。ソンツィフカはすでにロシアに侵攻されている。

ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナだけではなく、ヨーロッパへの、そして私たち人類の未来への攻撃。

このコンサートは2年かけて計画をしてきた企画。でも、ロシアとウクライナのことは今始まったことではない。ロシアのウクライナ侵攻が始まった今、このコンサートがあることはきっと意味のあること。

この状況だけれども、音楽で平和を祈ろう。音楽にはその力がある。


会場全体からの拍手がなりやまず、中断しながらのスピーチの後は、ウクライナ国歌をオーケストラが演奏。

観客は全員起立して、ウクライナに愛を送りつつ、国歌に耳を傾ける。

胸がしめつけられそうになりながら。


コンサート情報

2022年2月26日(土)
ロイヤル・フェスティバル・ホール(サウスバンクセンター、ロンドン)


想い・・・

演奏そのものは素晴らしかった。でもやはり、それ以上に、この状況でこのコンサートを開催してくれたこと、そして、ロシア人ディレクターがステージに立って平和を訴えてくれたことにそこはかとない敬意。

今、ロシアは加害者側、ウクライナは被害者側。ロシアは悪者の図式ができあがっている。

でも、政治とか国同士のあれこれとか、それは一つの状況。

ロシアにもウクライナにも、生きた人間がいて、ヨーロッパには、その家族や親戚や友達がたくさんいる。

ロシアは今悪者になっているけど、ロシアにもロシアの外にも、祖国がしていることに傷ついているロシア人がたくさんいる。祖国にいる親戚や友達を思って胸が張り裂けそうになっている人たちがたくさんいる。

そういう、一般庶民の個人レベルの視点でみてみると、被害者側もつらいけど、加害者側はもっと辛いと思う・・・・・・・・・ 

このディレクターはどんな想いでステージに立ったのだろう。想像するだけで苦しい。

ロシアのウクライナ侵攻で、イギリスでのロシアバレエ団の公演が、主催者側から急遽一方的にキャンセルされた。

主催者側として、ロシアのバレエを今公演したら、心情的に厳しいとか、非難されるとかの事情があるのはわかる。

でも、芸術は武器じゃない。
芸術で、平和を祈りたい。

こういう時だからこそ、芸術の力が必要だ・・・。

ロシアだってウクライナだって。温かい感情をもった人間がいる国。
こんなにも美しい音楽をつくった音楽家を育んだ国。


今回のコンサート。ウクライナ国歌を聴きながら、ウクライナのことを想い、ウクライナに愛を送った。

コンサートを聴いて、力付けられたのは観客の方だったと思う。私たちが送った愛の何十倍もの愛がかえってきた気がする。

ありがとう。


ウクライナのピアニスト、バレンティナを聴く

今、私は、大好きなピアニスト、バレンティナ・リシッツィアを聴いている。彼女の弾くラフマニノフとスクリャービンは最高に情熱的だ。

ラフマニノフとスクリャービンは、モスクワ音楽院の同級生。

バレンティナは、ウクライナのキエフ出身。

どんな思いで今の情勢を見ていることだろう。
それを思うだけで苦しい。

この戦争で苦しむ全ての人々への愛と平和への祈りとして、聴く。



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