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物語上の「対立」を「競争」として描く

魅力のあるストーリーとは「対立」を含むものであるが、それは単に「味方」と「敵」を戦わせることだけを指すのではない。
これは、敵をただ敵として捉えるのかそうでないのかが鍵になる考え方で、より深みのある物語を作りたいときに、とても役立つものである。

そもそも、物語に対立を含むのが良い理由は、それが乗り越えるべき壁になったり、成長の糧になったりするからである。
登場人物たちが問題を解決し笑っている。最初よりも強くなって喜んでいる。
そういう姿に、ストーリー的な魅力があるのだ。

そしてごく単純なやり方として、その魅力を引き出すための「解決すべき問題」や「成長の糧」のきっかけとなるのは、打ち倒された「敵」である。
敵を倒すことは非常にシンプルかつわかりやすい問題解決であり、よく使われるものだ。

しかし、敵は単に打ち倒されるだけに留まらず、もう一つの役割を担える。

それは、競い合う対象だ。

なにも物語は、仲間や身内同士だけで切磋琢磨し、互いを高め合うことばかりを求めているのではない。
主人公を含め「味方」たちは、「敵」と競い合うことができる。

これはつまるところ、以下の手順で行われる競争である。

①同じテーマの試練に、味方と敵が挑む(例:お互いを信じ合えるか)
②その試練を達成する(例:仲間の結束が強まり、合体技を生み出す)
③その成果をぶつけ合う(例:決着のために合体技を打ち合う)
④味方側が勝利する(例:味方側の結束が勝り、押し勝つ)

結果としては味方側が勝つことが普通であり、そのために②の時点で、敵側の詰めの甘さや、失敗の伏線などを入れ込むと、より効果的である。

この味方と敵を競争させるという考え方は、つまり、敵を敵としてだけでなく、きちんと主義主張のある登場人物として捉えることを鍵とするものである。

敵も見方も同じように切磋琢磨し、失敗を経験しつつも立ち直り、成長し、人情味あふれるものなのだ、という意識である。

これを基本としておくと、上記のような「対立構造」にしっかりとした工夫をすることができる。
それは、味方と敵が単に異なる立場から対立するよりも、ずっと魅力的で深みのあるストーリーにできるということである。

物語上の「対立」を「競争」として活かすこと。
それが、面白い物語を作り出す1つの方法である。

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