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仲良くなるためには、「理由」をまねよ

 コミュニケーションのもっとも単純で効果的な方法は「まねる」ことだ。人は他者を基本的に自らと違うものだと思っており、共通項があることで親近感を覚えやすい。だからまねることは効果的である。親近感を覚えれば、互いにコミュニケーションが取りやすくなるから。

 ただ、真似ると言っても、それは相手の言動とか仕草とか見た目とかそういう明らかな部分ではない。もちろん、まねてもいいが、真にそうすべきはそのような表層ではないのだ。
 それをするのは「まねる」というよりも単に「同じことをする」「繰り返す」といった機械的作業にすぎないことを、私達は知らなければならない。
 機械とコミュニケーションは水と油である。相手に、そういう機械的な印象を抱かれてしまったらコミュニケーションどころではなくなることは想像に難くない。
 
 まねるというのはもう1つ、踏み込んだ解釈が必要だ。即ちそれは、相手の行いの理由に同調するということである。傾聴し、理解し、実行してみるということだ。
 つまるところ、まねるというのは行動をまねるのではなく「思想に寄り添う」というところに成功の本質があるのだ。なぜならば、人は他者を基本的に自らと違うものだと思っているからこそ、その異なる人生哲学に対して理解を示してもらえることに、価値を覚えるのである。
 そしてそれをしてくれる人に、好意を寄せるのである。誰もがこの世で孤独である。人生という名の孤独に、真の理解者は現れないのかもしれない。そう思っているところに、自らの生きてきた証である人生の哲学とその結果に対して、少しでも同調があることで心がほぐれていく。

 だから、コミュニケーションが活発になるのだ。まねること。相手が「なぜそうするのか」ということに対する理解を示すこと。そしてその理解に基づいて行動し、それを見せること。それこそが「まねる」だ。
 基本的に誰もがそれぞれの共有できない人生を抱えている人という存在において、そんな貴重な理解者を手放そうと思えるはずがない。
 だから「まねる」はコミュニケーションのためになるのだ。もっとも単純で効果的な。しかしそれは思ったよりも表層ではない。むしろ深層に触れうる行為。それによって相手の好意を得て、まさに円滑に、コミュニケーションは進んでいく。

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