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”伏線” の張り方を考える:その0

 伏線というのは、物語の完成度を高める必要不可欠な要素であり、そして手法である。それがあると物語の流れにはっきりとした関連性が生まれ、即ち流れがよく分かるようになる。頭からお尻までを引き続いて見ていく物語という創作物の形態において、この「流れ」というのはとても大事だ。それが淀んでしまうことは、物語が停止してしまうことを指す。
 伏線は、その流れに説得力を与えるのにとても役立つ。別になくても物語そのものは成立しうるが、しかし、決定的に分かりにくくなる。また、その流れの説得力が希薄となる。つまり、納得できない。

 納得できない物語というのは、それを受け止め続けるのがどんどん困難になっていくものだ。「見続ける」ことが基本の受け取り方となる創作物において、それは致命的である。途中でやめてしまったら、その物語は永遠に宙に浮いたままとなるのであるから。
 だから、伏線とは、物語を私達の心繋ぎ留めるための鎖と言える。

 こういった、物語にとって大切な伏線の張り方には、注意しなければならない。神経質にあれこれと考える必要まではないが、基本的にどういった張り方があるのかということを、論理的に頭に入れておくべきである。連綿とした、説得力のある物語のためには、避けては通れない。

①後ろから繋げる
②前から繋げる
③イメージで繋げる
④因果で繋げる
⑤設定で繋げる

 伏線を張るとは、物語内のある物事と、別の物事を「関連付ける」こと──つまり、繋げるということである。
 そのための着眼点として、上記5つの項目がある。これらは伏線のために「最低でも1つ」採用されるべき方法であり、多くの場合は複数同時にとられるものである。だから、時として伏線は、どうしてそうなのか分かりにくい、複雑なものがあることも事実である。

 伏線は物語に説得力と、確かな流れを形作るためによく考えなければならない技術である。それは物語の中の何かと何かを繋げるものだが、その5つある「繋げ方」については、更に詳述を必要とする。

(つづく)

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