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人は今ポジティブにカジュアルに嘘をつく

 どんな人でも当然のように嘘をつき、そしてそれらが誰に対してもまかり通る世の中である。嘘は身の回りを騙すものではなく、嘘は自らを認めさせるツールになった。自分のために嘘をつくことはかわっていないが、逃げたり欺いたり隠したりすることよりもなお、目立ったり強調したり仲間を集めるためにこそ、嘘をつくことが手軽にできるようになってしまったのだ。
 ある種、嘘とはもうネガティブなものではなく、ポジティブなものである。もちろん嘘をつかれたり信じてしまう人々にとってはたまったものではないが、しかし、嘘をポジティブに使う者にとってそんなことはもう関係がない。

 そこに後ろめたさは少なく、自らを肯定するために嘘をつき、嘘を利用し、存在感と影響力を増していく。現代にはびこる嘘はもう、「当然」である。だがそれによって私達は正しさを失うことに変わりはない。
 倫理的な人格を犠牲にして、ポジティブだと自らに嘘をつき、しかし嘘によって利益を手に入れ、心を満たすこと。それが今や当たり前のことであり、私達が目の当たりにする「嘘」の姿である。

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