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好きなことは好きと言ってみよう

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#人生

いびきをかく宝物

いびきをかく宝物

大学生のころ、テレフォンオペレーターのバイトをしていた。

大手健康食品の注文受付が主な仕事で、
電話をとってお客さまと話し、注文内容を入力して終話する。まぁざっくり言うとそんな仕事。

敬語なんかのマナーも身に付けることができたし、いろんなお客さまから時にはモウレツなクレームやセクハラを受けたりしながら社会勉強をすることができたし、
思い返すといい仕事だった。

担当していた健康食品は時々テ

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おじさんという生き物

おじさんという生き物

中高生の頃までは40・50代の男性は、総じて「おじさん」以外の何者でもなかった。

身内も学校の先生も通学中の電車で一緒の車両に乗り合わせた人もファーストフード店で隣に座った人もそこの店員も。

大学生くらいになると、「おじさん」には「イケてるおじさん」と「イケてないおじさん」がいると分かった。

当時熱烈に恋をしていたトヨエツも40代だったが、
毎日通学バス内で強烈な加齢臭を放っているおじさんや

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相談をされると、身構え、心躍る。

相談をされると、身構え、心躍る。

「相談したいことがある」と友人に言われると、私は身構え、そして心躍る。

人は誰でも「自分は他の誰とも同じではない」ということを悟っている。
あらゆる岐路に立った時、最後に選択し、その責任を取るのは他でもない自分自身なのだと理解している。

人生の先輩や真の理解者に相談してもしなくても、何を選ぶのかは結局変わらないことの方が多いし、
ヘタに相談してしまったがために、
知られたくもない人に知られてし

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秘密という名の呪縛

秘密という名の呪縛

人の噂に戸は立てられない。
古来よくよく言い伝えられている名言だ。

何かを見た、聞いた、感じた。
それが真実であるかどうかは分からないが、コトの大小に影響されながらその事実は自分の中だけで消化することは難しく、親しい友人や単なる知り合いにまで伝承され、時には多少形を変えながら蔓延していく。

楽しく愉快な話であればもちろん、
ナイーブでバレたらまずいことであったとしても例外ではなく、
「秘密だよ

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芯を持っている人

芯を持っている人

いやにばっさりと意見を言う人がいる。
特に好き嫌いに関することだ。
共通の知人についてだったり、映画や文庫本についてだったり、思想についてだったり、
対象は様々だが。

その人は誰の前でも、どんな状況でも、
「これは好き」「あれはつまらない」「最高だ」「最低だ」と、
きっぱりと宣言する。

たまに好き嫌いを問われることがあるが、私が断言しないと、「あなたは優しいね」(これは言外に「自分を持っていな

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世の中には2通りの人間がいる

世の中には2通りの人間がいる

ずいぶん前のことだけれど、なぜか心を軽くしてくれた一文がある。

「世の中には2通りの人間しかいない。
蚊に刺されて皮膚が化膿している人間と、そうではない人間だ」

確か、当時はまっていた恋愛小説中に登場した一文だったように思う。

一つのことで心が塞がれているうちは、世の中が二分して見えるほどそのことだけしか考えられなくなる。
他人からしてみればとんでもなく些細なことであっても、当の本人からし

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口にしなくても困らないことを敢えて口にする

口にしなくても困らないことを敢えて口にする

今から話すことが、「本当の友人」や「親友」を定義づけるものだと言いたいわけではない。

彼女を思い出すのは、
彼女の誕生日であったり、年末や年度末なんかの“節目”のような時であったり、
束の間のほっと落ち着いた時間に「あぁ、私今何をしたいんだっけ」と心に問いかけるような時であったり、
気が乗らない飲み会終わりに過去を思い出したりするような時であったりする。
つまり、普段はそうそう思い出さない。

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