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6月29日 読書会報告

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

2024年6月29日の夜に開催した、東京読書倶楽部の読書会の報告です!

この日は新規の方が5名、リピーターが6名の合計12名でお酒を飲みながら読書会、その名もBOOK & BOOZE!

お酒を飲みながら、自称読書家たちが集まって、好きな本について語り合う。誰がなんと言おうと、これは幸せなのです。

紹介して頂いた本

読書会終了後に撮影

フランツ・カフカ「カフカ断片集」新潮社

未完の作品が多いことで有名なカフカ。未完であるがゆえに、物語を終わらせないことが本質的な特徴とも言えるか、そんなカフカの数行の文章や3ページ程度の物語を集めた断片集。

例えば「隠れ場所は多数あるが、救いは一つしかない。しかし救いの場は、隠れ場所よりも多い」(「救い」より)など、それな!とも言えるような言葉が散りばめられている。

最近X(旧Twitter)で流行っているから紐解いたらしく、つぶやきのように一つの作品を読みやすいから、カフカ初心者にもおすすめです。

花田菜々子「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」河出書房新社

ヴィレッジヴァンガードの店長だった著者が、ひょんなことから出会い系サイトに登録する。プロフィール欄に「あなたにあった本を紹介します」と記載して70人に出会い、本を紹介していった話。

出会い系サイトを通じて人にあっていく中で、ここにいる人は「途中の人」しかいないことに気づく。現状に満足しているではないのであるなら、私自身は誰に会えば満足できるのだろうか?

考えた結果、京都はガケ書房(現:ホホホ座)の店主であると気づき、実際にお話しようと京都へ赴く。店主と話をしているうちに、自分の輪郭がはっきりと分かり、この夜を境に明確に人生が変わったという。

その後、著者の花田菜々子さんは高円寺に「蟹ブックス」をオープン。読書会の前に紹介者が訪れたらしい。レジを打っていたらしいが、流石に声は掛けられなかったと…。

岸見一郎「アドラー心理学 実践入門」ベストセラーズ

近年有名な「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」の題材になったアドラー心理学。老いることとは何か、病気や死の恐ろしさなどの論点から実践形式で考える。

幸せになるために、注目すべきポイントは2つ。1つは「今を生きること」、2つ目が「課題の分離」。

後者は自分と他人を分離することであり、要は他人の声色などを伺わずに、自分が幸せだと思うこと、嬉しいと思うことをやりましょうということ。

人間の悩みの9割は人間関係と言われている通り、人の目線を気にしすぎるほど悪影響なものはない。

サン=テグジュペリ「星の王子さま」新潮社

「星の王子さま」の翻訳は4冊ほど読んだけれども、一番すっと内容が入ったのは河野万里子さん(新潮社)の翻訳。

自分の星に咲いたバラは、地球には見渡すほど咲いており、何の特別なものでもなかった。だけどそのバラと過ごした時間は、かけがえない2人だけの時間であり、「大切なものは目には見えない」のだ。

紹介者が最初この作品を知ったのは、子供の頃にお母さんに連れられて観た「星の王子さま」の舞台。紐解いたら「主人公、星の王子さまじゃないじゃん」と1度は諦めたらしい。

今では好きすぎて、「うわばみ」のキーホルダーをつけています。

青木直己「幕末単身赴任:下級武士の食日記」筑摩書房

江戸時代末期 江戸藩勤務を命じられた下級武士の酒井伴四郎(28歳)。江戸での一人暮らしを通じて食したグルメレポ。

当時の江戸は世界的に見ても文化なども発展していたらしく、何より美味しい食材や調味料なども豊富。基本的に自炊生活を送っているが、何かにつけておいしそうな飯を食べている伴四郎が羨ましい…。

著者はもともと羊羹で有名なとらやに勤めていた人らしく、この本も実際の日記や資料を元に記されている。フィクションでありながら江戸文化にも精通できる。

麻生みこと「大正ロマンポルノ」白泉社

大正時代 盲目の女性と小説家の青年が恋に落ちるも、(大正時代ゆえに)その恋は儚く終わる。

時代は現代に移り、とある劇団がその物語を元にした芝居をしようと決める。その過程を通じた劇団員の恋物語。

京都の長屋を舞台にした「路地恋花」の著者が描く、胸がキュンキュンするようなボーイミーツガール。こういう潤いが大事なんです。

もはや食事会とも言えるお料理の量

綾辻行人「暗黒館の殺人」講談社

建築家 中村青司が手掛けた暗黒館に住まう住民と、単身暗黒館を訪れた江南かわみなみ孝明。そして探偵役の島田潔。18年前に起こった事件と、数々の謎を解明していく。

ヒントを一つ言うと、館シリーズに登場する人は必ずと言っていいほど登場人物にルビが振られている。逆にいうと、ルビが振ってない人物は、誰のことを指しているかは分からないということなのだ。

「十角館の殺人」といった館シリーズ7作目。綾辻行人さんが8年掛けて書き上げたという集大成とも言える本作。館シリーズの謎を全て解き明かすならば、ぜひこの作品まで読んで欲しい。

原田マハ「キネマの神様」文藝春秋

映画を愛する(借金まみれのダメな)父親と、無職の娘。その二人が映画館にいるというキネマの神様に救われる物語。

映画館は、不特定多数の人々が同じ時間、同じ作品を共有する場所であり、それを見ているキネマの神様がいるのだという。

読書会も同じで、好きなことを共有することは面白いことであり、そのような空間には特別な力が存在するのかもしれない。

近藤史恵「歌舞伎座の怪紳士」徳間書店

精神を病んでしまい無職になった20代後半の女性。ある日おばあちゃんが「芝居を観て感想を教えて」という変わったアルバイトをお願いされる。

最初は戸惑ったものの、徐々に歌舞伎や演劇といった芝居の世界に魅了される主人公。しかし、いつも芝居を観に行くと、毎回親切な老紳士に出会うのだった。

タイトルとは裏腹に、ほっこり系の作品でした。

永井均「これがニーチェだ」講談社

そもそも哲学とは何か。思想は「価値を問う」ものであるならば、哲学とは「価値を超えて問いを生む」ことである。

近年のニーチェに関する本は、どうも思想じみた解説書が多いけれども、本来のニーチェは割と反社会的な考えも述べている。

例えば、学力社会に対抗するためには、学力を高める方法の他にも、学力ではなく人柄を重視する考え方を生むという方法がある。これをニーチェの時代に置き換えると、ユダヤ教に対するキリスト教である。

その背景には支配層に対する恨み(ルサンチマン)が存在し、それは個々の行動の全てに潜んでいる。その恨みはどこから来るかを考えると、永遠回帰にたどり着く。

すなわち、自分の人生が永遠に繰り返されたとき、それでも肯定できるものを、最上の答えだとニーチェは説いている(かなり掻い摘んで紹介してるため、詳しくは本作をぜひ)。

渡邊十絲子「今を生きるための現代詩」講談社

現代では「分からないものを分かるようになりたい」という気持ちが強いと思われる。文章もなるべく、人に分かるように書きましょうという考え方が一般的である。

しかし、詩を通じて考えてみれば、全てを語ろうとせず、言葉に余白があることを感じるだろう。

そういう、「分からないことは分からないこととして受け入れる」ことも、生きるうえで大事なのではなかろうか。

2024年7月の読書会スケジュール

7月13日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会
7月13日(土) 13:00~17:00
文学×ボードゲーム会
7月20日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会
7月27日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE!

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皆様とお話しできるのを、心よりお待ちしております。

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