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私だけの物語

君から学ぶことは何もない
本に書いてある
君自身の話なら喜んで聞こう
君という人間に興味があるから

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

いつもと違う始まり方ですが、1997年に公開された映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」における台詞です。

・あらすじ
天才的な頭脳を持ってはいるが、幼少期のトラウマから「自分のこと」を語るのを恐れている主人公 ウィル。最愛の妻に先立たれた心理学者 ショーンを通じて心を開いていく。

主人公のウィルは稀有な頭脳の持ち主である。高名な大学教授が数年かけて解いた数式をいとも簡単に解いてしまう。ハーバードの学生相手に、書籍の引用を並び立てて論破してしまう。

だがウィルは「自分のこと」を語ることができなかった。質問を投げかけられると、話をそらすか、「◯◯はこう言っていた」と答える。

そこで心理学者のショーンは冒頭の台詞を投げ掛ける。

本を読んで得たことと、実際に体験したことの間には、大きな隔たりがある。

本を読めば、先人の優れた思想に触れられる。素晴らしい風景を眺められる。主人公の気持ちを慮ることもできる。

とはいえ、既に亡くなった者と会話することはできず、その場の匂いを味わうことはできず、人を愛するという感情を覚えることもない。

かく言う私も、本を読んでばかりで、自分の考えを持っていないかもしれない。

読書が趣味ですと言うと、大抵の人は「本が読めるだけで凄い」と誉める。

けれども、私からしたら、「色々な経験を積んでいるあなたの方が凄いですよ」と言いたい。

経験のある人は、言葉の重みが違う。言葉の一つ一つに意味や考えが含まれているからだろう。

でも、私は読んだ本のことばかりを述べている。思えば、つい先日も「こないだ読んだ本の中に……」と語りだしたのを思い出した。

自分の使っている言葉が、ほとんど「借り物」だったことに、今更ながら気づかされた。

本に書いてあることだけを述べるならば、通販サイトのレビューや要約サイトを見ればいい。

「私の考え」を語れるように、「私だけの物語」を話せるように、経験をしていかなければ、と思った映画です。

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