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ライターは本読みであるべきか?

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

「東京読書倶楽部」の読書会の主催者でありながら、平素はWebライターとして働いていることもあって、何かと『読書とライターの仕事』を紐づけて質問されることが多い。

よくあるケースだと、「やっぱりライターだから、たくさん本を読んでいるのですか?」とは聞かれる。「本読みだから、ライターになったんですか」的なこともしばしばである。

「ライターだから本を読んでいるんですか」に対して、個人的な回答を述べるとするならば、「半分正解だけれども、半分間違いである」と考える。

実際のところ、記事を書くために本を読むことはもちろんある。

WebライターとしてライティングやSEOに関する本は読むし、業界に関する知識や最新情報には目を通すようにしている。

当然のことではあるが、人に読まれる記事を書く以上、情報の根拠は信用に値するか、優良誤認に抵触しないか、誤解を与える表現になっていないかなど、厳しくチェックされる。

しっかりした知識を持ち合わせていないと、記事の質を担保できないどころか、下手したら会社に多大な迷惑を掛ける可能性だってある。

それゆえに、ライターだからこそ、たくさん本を読まねばならない側面はあろう。

一方で、私個人においては、Webライターとして働く以前から本読みであった。

学生時代の放課後は、図書館か本屋さんに通うという極めて一般的な学生だったし、リサイクル工場の現場作業員として働いていた頃から、通勤時間の読書は欠かさなかった。

時には仕事に関する本を読むこともあるけれども、普段は小説や文学を読むほうが好きだ。読書会でも、基本小説を紹介することのほうが多い。

それらは仕事に役立つからというわけではなく、ただ趣味が読書ってだけである。

ゆえに「ライターだから本を読んでいる」が半分間違いになる。

余談だが、小説ばかり読んでいると、時折仕事の記事でも文体が引っ張られることがある。

村上春樹さんの翻訳作品を読んでいた頃は、接続詞に「あるいは」を多用しすぎて、いかんいかんと書き直したり。むしろ読書がライター業務の悪影響になりかねない。

そう言うと、「読書家だからライターになったんですか?」と聞かれることもある。けれども、それを含めて「半分正解・半分間違い」だと考える。

言葉を紡ぐことへの憧れが、曲がりなりにもWebライターとして働くきっかけになったのは影響があるだろう。

まぁ私の場合は、出版社で働くビジョンやら、コミュニケーション能力、某出版社の面接官曰く”飽くなき探求心”とやらがなかっただけだが。

それはさておき。では、たくさん本を読めばライターとして大成するかと問われたら、それもまた別の話になる。

noteの記事を見ていくうちに、企業広告コピーライターの平田けいこさんの記事にたどり着いた。「ライターは読書家であるべきか」に対して、平田さんの私見を拝読しました。

結論は「読書家か否かに関わらず、アウトプット(文章の質)が優れていればそれでいい」です。

上記の記事より抜粋

文章の質を担保するためにも、読書や情報の収集は必要ではある。

しかし、どれだけ優れたコンテンツを書いたと思い込んでいても、読み手やGoogleさんが評価しなければ意味がない。

自分にとって最大限素晴らしい記事を書き上げたとしても、会社や取引先の意向と異なるならば、再度書き直しを命じられかねない。

報酬や給料を頂いて記事を書く以上、どれだけ読書(インプット)をしても、ライターとして評価されるか否かは、記事・言葉(アウトプット)だけである。

たくさん本を読めば、語彙力や文章力が簡単に身につくわけではないように、書かないことには良いものは生み出せないのだ。

もっとも、ただ本をたくさん読むにとどまらず、目に見える資格や免許を取るのならば、また話は別になるだろう。

「宅地建物取引士(宅建)」や「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格を持っている人が書く記事は、信憑性・権威性を担保する点でも有効である。

ただ、そのために本をたくさん読むことは、読書と言うよりは勉強としてのニュアンスが近い。その辺の定義は微妙なところがある。

それが、「やっぱりライターだから、たくさん本を読んでいるんですか?」に対して『半分正解・半分間違い』だと考える所以である。

まぁあれですね。半分正解ではあるから、ライターとして働く以上、ある程度本は読んだほうが良いとは思う。根拠なしに記事を書くほど危険なものはない(”分からない”にも、根拠が必要なのだ)。

役に立つから本を読むのも大事。一方、役に立たなくても心の滋養のために本を読むのもまた大事。人間味のある記事を書くことが、AIに代替されない要素でもあるのだから。

何事も半々くらいが良いってことで。それではまた次回!

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