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「本を読まないライター」はアリか?ナシか?


「ライターは読書家であるべきか」
ライター間でのそんな議論を少し前にSNSで見かけたので、私見を書いてみます。
 
結論は「読書家か否かに関わらず、アウトプット(文章の質)が優れていればそれでいい」です。
 

読書は筋トレのようなもの


ライターにとっての読書は、アスリートにとっての筋トレのようなもの。
筋トレは体の基礎を作り、パフォーマンスを上げるのに重要な役割を果たします。ほとんどのアスリートたちは熱心に取り組んでいるでしょう。
 


でも、「筋トレをサボりがちな金メダリスト」と「筋トレに熱心な銀メダリスト」とでは前者のほうが評価は高い。
 
スポーツの世界では、筋トレを一生懸命やっているかではなく結果で判断されます。
「Bさんはタイムが11.5秒だけど筋トレをがんばっているから、タイムが11秒のAさんより上位にしよう」なんてことは起こりません。
 
ライター業も同じです。
本を読むライターの低品質な文章より、本を読まないライターの高品質な文章のほうが評価されます。
ディレクターや編集者が「このライターの文章は全然良くないけど、たくさん本を読んでいるから」と発注することはないですし、読者は記事の書き手が読書家かどうかなんて考えもしません。
 
もちろん読書量と文章力はある程度比例すると思いますし、ライターは本好きの率が高いと感じていますが、「ライターは読書家であるべきだ」と主張するのは飛躍しすぎで、手段と目的が逆転している気がします。
 
インプット(読書)とアウトプット(文章の質)のベストバランスは人それぞれ。
読まなくても書けるのなら、それでいいのではないでしょうか。
ライターの評価を決めるのは、同業者ではなく読者や発注者です。

 
 ちなみに私は浪人時代に受けた河合塾の難関15私大模試(現在は廃止)で偏差値49をたたき出したことがあるほど国語が苦手ですが、小論文の模試では全国15位でした(同点者が複数いたので点数だけ見れば全国10番以内)。
ライターになる数年前に応募したエッセイコンテストで賞を獲り、作品が書籍に収録されたこともあります。

「読む」より「書く」に極端に偏った変なライターも世の中にはいるのです。

「読書家」は定義が困難


SNS上で勃発した、ライターは読書家であるべきか論争では、「ライターだけどあまり本を読まない」という投稿に対して「本を読まないライターなんてありえない」という意見が寄せられているのを複数見ました。
 
私が違和感を覚えたのは、「そもそも、ここでの『本を読む』とはどのくらいの冊数や頻度を指しているんだろう」という点です。
「月に3冊本を読む自称・本を読むライター」が「月に5冊本を読む自称・本を読まないライター」に対して読書量が少ないと苦言を呈している可能性もあります。


私は「自称・本を読まないライター」です。
とはいえ、まったく読まないわけではありません。

本棚はコピーライティングやマーケティングなど仕事の書籍と趣味の書籍でギチギチですし、5000字くらいの記事を書くのに本を5冊以上読むこともありますし、電車内ではスマホをいじるより本を読むほうが好きですし、好きな作家を聞かれたら、石田衣良、垣根涼介、垣谷美雨と即答します。
 
この程度でも「本を読むライター」を自称できるかもしれませんが、私は本の虫だった母親の姿を見てきたので、おこがましくて自分のことを読書家だなんて言えません。
 
仮に、月に10冊以上本を読む人を読書家と定義したとします。
でも、粗製乱造された儲け話の電子書籍を月に10冊読む人と、文豪の名作を月に5冊読む人を比較して、前者のほうが「本を読んでいる」と判断されるのは、なんだか納得がいかないのではないでしょうか。
 
つまり、「読書家とは」を明確に定義するのは非常に難しい。
読書家像の共通認識がない状態で、「ライターは読書家であるべきか」を議論しても意味がないし、答えは出ないと思います。
 

ライターはペンでしか語れない


急に趣味全開の話になって恐縮ですが、漫画『るろうに剣心』の相楽左之助(さがら さのすけ)は、作中でこんなことを言っています。
 

剣客同士で強いだの弱いだのなんて 
所詮剣でしか語れねェ

『るろうに剣心』14巻134ページ

 
このセリフは、主人公の剣客・緋村剣心(ひむら けんしん)と、敵対する剣客・四乃森蒼紫(しのもり あおし)が議論をしているタイミングで出てきます。
 
いやー、しびれるわ左之助。

 
今回の話題に当てはめるならこうなるでしょうか。

ライター同士で書けるだの書けないだのなんて
所詮ペンでしか語れねェ

ペン=書いてきたもの、書いているもの。
つまり、実績です。

私は実績がなにより重要と考えていて、過去に書いた記事やお客様の声などを可能な限り公開しています。

さらにライターという仕事柄、私が書くものすべてが仕事のサンプルだと考えて、ホームページやブログでの発信を8年間続けています。
実際に「平田さんのホームページみたいな文章にしてほしい」と依頼を受けたこともありました。

ライターは商業文筆屋。
「お金出すから書いてほしい」と依頼されてナンボの商売です。
実績や自分の文章を公開し続け、読書量ではなく文章の力で生み出せる価値で勝負し、お客様に選ばれるライターでありたいと考えています。

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