桂書房

1983年創業の、富山の出版社です。歴史、民俗、郷土を中心に、様々な視点から「今の人の…

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1983年創業の、富山の出版社です。歴史、民俗、郷土を中心に、様々な視点から「今の人の心中」を探す本づくりをめざしています。

マガジン

  • 新刊案内

    桂書房の新刊書籍のみどころを、編集者独自の視点でご紹介します。

  • 佐伯哲也のお城てくてく物語

    『城郭図面集』シリーズの著者、佐伯哲也さんがお城の意外な一面や興味深い新事実を紹介しています。

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    学校をつくった男の物語

    北陸で初となる測量士養成のための建設大臣指定校をつくった著者の自叙伝。 学校創設までに襲う数々の試練、死がよぎるほどの経営の難しさ。 バイタリティに満ち、その全てを余すことなく使い切った筆者が波乱の人生を綴る。 著 者:髙田政公 定 価:¥1500 発行日:2024.08.20 ISBN:978-4-86627-137-8 判 型:B6版 頁 数:192 頁
    1,650円
    桂書房
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    評伝 石崎光瑤

    富山県福光出身。大正・昭和前期に官展で活躍した京都画壇の日本画家「光瑤(こうよう)」。 写実性と装飾性が美しく融合した画境は、近代花鳥画の頂点を成した。真美を希求し続けた光瑤の画業の背後にある様々なファクトを探る。 著 者:渡邊一美 定 価:¥2400 発行日:2024.07.13 ISBN:978-4-86627-155-2 判 型:四六判 頁 数:368 頁
    2,640円
    桂書房
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    愛し、きつメロ ー看取りと戦争とー

    米騒動発生年に生まれた少女「美戸」の敗戦直後までの事実を基にしたフィクション。 関東大震災・結核の脅威・第二次世界大戦と、激動の時代を生きた美戸の青春とは。ケアと戦争により、かたちをかえてゆく運命はどこにたどり着くのか。 新型コロナウイルスの流行と戦争の脅威が高まる今日、彼女の人生を追体験することで、ある可能性を見出せる。 著 者:小林孝信 定 価:¥1800 発行日:2024.07.15 判 型:四六判 頁 数:432 頁
    1,980円
    桂書房

記事一覧

この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part3

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰…

桂書房
1か月前
8

この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part2

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰…

桂書房
1か月前
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この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part1

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰…

桂書房
1か月前
4

「わたしには生きてゆくための技術がある」——戦前のヤングケアラーを追体験。『愛し、きつメロ—看取りと戦争と—』小林孝信

「自分の人生と病気との縁を書き残してほしい」 著者はある夏、病院のベッドに横たわる80歳過ぎの母親が、そう控えめにつぶやくのを聞いた。 彼女がいう「病気との縁」と…

桂書房
1か月前
3

私たちが暮らす、いまの集落がつくられた頃の話。——「村」を〈一個の交渉主体〉として捉え直す 『中世「村」の登場—加賀国倉…

中世後期、各地では、ひとつの荘園に複数の「村」と領主権力があらわれた。  現代まで「集落」とされてきた「村」は、その成り立ちにおいて荘園制における領有主体の多元…

桂書房
9か月前
9

佐伯哲也のお城てくてく物語 #6

第6回 越中最強の城は松倉城? 越中には戦国時代、約4百の城が存在した。その中には難攻不落の名城として名高い城もたくさんある。その中で最強の城はどれだろうか。 …

桂書房
10か月前

佐伯哲也のお城てくてく物語 #5

第5回 埋蔵金伝説はほぼウソ? 全国の城には、掃いて捨てるほど多くの埋蔵金伝説が残るが、ほとんどウソといっても過言ではない。実績もそれを雄弁に物語っている。とい…

桂書房
10か月前
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佐伯哲也のお城てくてく物語 #4

第4回 織田軍は飛び道具がお好き? 戦国中期の天文12年(1543)、ポルトガル人によって種子島に2挺の鉄砲が持ち込まれた。この鉄砲という飛び道具、「戦国」という時代…

桂書房
1年前
1

佐伯哲也のお城てくてく物語 #3

第3回 敵前逃亡は当たり前? 世の中は史上空前の城ブームである。特に山城の人気は絶大で、「城ガール」という造語すら生まれている。  この影響を受けて、テレビでも…

桂書房
1年前
1

自分自身をひたむきに生きること。——回転しつづける思考と試行。うまくいくこと、いかないこと。 『老いは突然やってくる』 真…

不自由さとは、老いることなのか?  抗いたいのは、この足の痛みなのか?  タイトルに共鳴してこの本を開いてみようと思った人は、おそらく「年齢」というものを意識す…

桂書房
1年前
1

富山廃県の危機!幻の「28道府県」——「山野河海」越中の史的考察 『越中史の探求』城岡朋洋

明治時代に「府県廃置法律案」という法案が作成されていたことをご存じだろうか?  明治時代に、日本を「28道府県」に再編する計画が持ち上がりました。 富山廃県の危機…

桂書房
1年前

佐伯哲也のお城てくてく物語 #2

第2回 城兵はヒマだった? 全国で毎年100ヶ所以上の中世城郭が発掘されている。ご存知のように中世城郭、特に山城の多くは純軍事施設で、短期間籠城するだけなので、発…

桂書房
1年前

佐伯哲也のお城てくてく物語 #1

お城歩きは本当に楽しい  私は約40年間にわたって日本全国の城郭を2000城以上調査してきた。約60才になった現在もお城歩きは非常に楽しく、少年(?)のように目を輝かせ…

桂書房
1年前
3

《本》という小さな宇宙に繋ぐ魂。——最初の棟方志功装画本図録 『棟方志功 装画本の世界 —山本コレクションを中心に』 山本…

 今年で生誕120年をむかえる棟方志功。全国各地で関連展覧会が開催され、棟方の功績をあらためて振り返る機会が増えている。  棟方志功といえばダイナミックで力強い版…

桂書房
1年前
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この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part3

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰省の移動中に、ぜひ読んでほしい桂書房の本を紹介します。 今回は、編集者Tのおすすめする5冊を紹介! 夏休みには祖父と一緒に古本屋へよく行きました。家に帰って畳に寝転び、買った本を読み耽る。垂れる汗、蝉、扇風機の風、ちょっとお昼寝。 「今日も行くか」と誘う、祖父の声がよみがえります。 □ 『短歌集 こうのとり Ta

この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part2

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰省の移動中に、ぜひ読んでほしい桂書房の本を紹介します。 今回は、編集者Kのおすすめする5冊を紹介! 子供の頃の夏休みといえば、毎週のように近所の市立図書館の分館に通い、手提げバッグいっぱいに本を借りていました。重たいバッグとは裏腹に家に帰る足取りは軽かったのを思い出します。 □ 『おわらの記憶』 (おわらを語る会

この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part1

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。 暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰省の移動中に、ぜひ読んでほしい桂書房の本を紹介します。 今回は、桂書房代表のおすすめする5冊を紹介! 風の匂いを嗅ぐという経験は、とりわけ夏に多かった。涼しい夜明けか、足元がようやく見える早晩、外へ出ましょう。風の匂いに包まれて家へ帰り、読みたくなる本は、というイメージで選びました。 □ 『もう一つの飛騨街道』 

「わたしには生きてゆくための技術がある」——戦前のヤングケアラーを追体験。『愛し、きつメロ—看取りと戦争と—』小林孝信

「自分の人生と病気との縁を書き残してほしい」 著者はある夏、病院のベッドに横たわる80歳過ぎの母親が、そう控えめにつぶやくのを聞いた。 彼女がいう「病気との縁」とは、自身の闘病生活だけではなく、戦前・戦時下において彼女がおこなっていた、家族の看護・介護・看取りの体験も同時に指していた。 物語は主人公「美戸」が自身の幼少期を回想するところから始まる。 大正7年、富山県の魚津郊外で発生した米騒動。美戸は騒動の半年前にこの漁村からわずかに離れた村でその生を受けた。 5人兄妹の

私たちが暮らす、いまの集落がつくられた頃の話。——「村」を〈一個の交渉主体〉として捉え直す 『中世「村」の登場—加賀国倉月荘と地域社会』 若林陵一

中世後期、各地では、ひとつの荘園に複数の「村」と領主権力があらわれた。  現代まで「集落」とされてきた「村」は、その成り立ちにおいて荘園制における領有主体の多元化が関係していた。  中世後期(14~16世紀頃)における「村」の登場をめぐる社会について、加賀国倉月荘(現石川県金沢市北東部)を舞台に、「村」が織られていくようすを検証する。  本書は、「村」が成り立ちゆく最たる画期が中世後期に設定できるという見解により展開されていく。  そしてそのような「村」が有する大きな特徴

佐伯哲也のお城てくてく物語 #6

第6回 越中最強の城は松倉城? 越中には戦国時代、約4百の城が存在した。その中には難攻不落の名城として名高い城もたくさんある。その中で最強の城はどれだろうか。  勿論知名度・要害度・個人的感覚によって「最強」の定義は違ってくる。ここでは公平をきたすため、どれだけ敵軍の攻撃を防いできたのか、という実績で決定したいと思う。  実績だけで決めるなら、越中最強の城は、文句無し松倉城(魚津市)である。何しろ永禄12年(1569)から天正元年(1573)の4年間にわたって上杉謙信の猛攻に

佐伯哲也のお城てくてく物語 #5

第5回 埋蔵金伝説はほぼウソ? 全国の城には、掃いて捨てるほど多くの埋蔵金伝説が残るが、ほとんどウソといっても過言ではない。実績もそれを雄弁に物語っている。というのも今日まで約1万ヶ所の城で発掘調査が実施されてきたが、ただの1ヶ所も埋蔵金は出てこなかったからである。これでは埋蔵金伝説はほぼウソと言われても仕方なかろう。幻の白川郷帰雲城(岐阜県)の埋蔵金は、数百億円とも言われ、探し始めて60年以上経過しているが、見つかる気配すらない。興味は尽きないが、週刊誌向けのネタでしかなく

佐伯哲也のお城てくてく物語 #4

第4回 織田軍は飛び道具がお好き? 戦国中期の天文12年(1543)、ポルトガル人によって種子島に2挺の鉄砲が持ち込まれた。この鉄砲という飛び道具、「戦国」という時代の要請もあってアッという間に普及し、慶長5年(1600)の関ヶ原合戦には6万挺の鉄砲が集まったとされている。  鉄砲を最も着目し、最も大々的に使用したのは周知の如く織田信長である。ただし、各地の小大名といえども早くから鉄砲の存在を知っており、必要性も痛感していた。永禄7年(1564)に、飛騨国高原郷の江馬輝盛が鉄

佐伯哲也のお城てくてく物語 #3

第3回 敵前逃亡は当たり前? 世の中は史上空前の城ブームである。特に山城の人気は絶大で、「城ガール」という造語すら生まれている。  この影響を受けて、テレビでも落城シーンを見ることが多くなった。燃え盛る紅蓮の炎の中で、城主が切腹する、といったお馴染みのシーンである。しかし実際は余程違っていたようである。というのもこのような落城は、史料上ほとんど確認できないからである。城主が戦死して落城する確実な事例は、富山県の場合、魚津城(魚津市)でしか確認できない。天正10年(1582)織

自分自身をひたむきに生きること。——回転しつづける思考と試行。うまくいくこと、いかないこと。 『老いは突然やってくる』 真山美幸

不自由さとは、老いることなのか?  抗いたいのは、この足の痛みなのか?  タイトルに共鳴してこの本を開いてみようと思った人は、おそらく「年齢」というものを意識する機会を度々感じている人かもしれない。だがそれはきっかけの一つに過ぎないことに、ある時ふと気づくだろう。  物語は70歳を過ぎた主人公の「岬」が、ある日突然左足のつけ根の痛みに襲われ、もがき苦しむ場面から始まる。  ところで老いることは、生きていれば必ず直面する事実である。それは体の痛みや体力の衰えだったり、見た

富山廃県の危機!幻の「28道府県」——「山野河海」越中の史的考察 『越中史の探求』城岡朋洋

明治時代に「府県廃置法律案」という法案が作成されていたことをご存じだろうか?  明治時代に、日本を「28道府県」に再編する計画が持ち上がりました。 富山廃県の危機に富山県民はどうしたのか?その行動と考え方を、新刊『越中史の探求』からお届けします。  明治36年(1903)に1道3府43県を1道3府24府県にしようという法案が、第一次桂太郎内閣で閣議決定され、帝国議会に上程されることとなった。  本書で取り上げる富山県(越中)は三度廃県の危機に直面している。  「府県廃

佐伯哲也のお城てくてく物語 #2

第2回 城兵はヒマだった? 全国で毎年100ヶ所以上の中世城郭が発掘されている。ご存知のように中世城郭、特に山城の多くは純軍事施設で、短期間籠城するだけなので、発掘しても茶碗のカケラが多少出土する程度で、ほとんど何も出てこない(大判小判が出てくると思ったら大間違いである。)  そんな中、比較的出土割合が高く、山城とは無縁と思われがちなのが、土錘(ドスイ)、つまり土で作った錘(おもり)である。  富山県内では飯久保城(氷見市)から2点出土している。飯久保城は標高約70mの山城で

佐伯哲也のお城てくてく物語 #1

お城歩きは本当に楽しい  私は約40年間にわたって日本全国の城郭を2000城以上調査してきた。約60才になった現在もお城歩きは非常に楽しく、少年(?)のように目を輝かせ、城跡を飛び回っている。  このコーナーでは、お城の意外な一面や興味深い新事実を紹介し、お城の魅力を読者の皆様方にお伝えしたいと思う。 第1回 お城のトイレはどうなっていた? 私は教育委員会から城跡の現地説明会を依頼されることがしばしばある。そんな中、とある城の説明会で小学生から、「お城の御姫様はどこでオシ

《本》という小さな宇宙に繋ぐ魂。——最初の棟方志功装画本図録 『棟方志功 装画本の世界 —山本コレクションを中心に』 山本正敏

 今年で生誕120年をむかえる棟方志功。全国各地で関連展覧会が開催され、棟方の功績をあらためて振り返る機会が増えている。  棟方志功といえばダイナミックで力強い版画や倭画でよく知られているが、彼の創作宇宙に「装画本」という領域があったのはご存じだろうか。  本書は蒐集家・考古学者の山本正敏氏がおよそ20年かけて集めた棟方志功の装画本を約900点収める、世界初の棟方志功の装画に特化した図録である。  単行本約500点・逐次刊行物約400点を、基本番号、『書名』、著者名もしく