見出し画像

この夏に読んでほしい!桂書房の本 Part1

学生はそろそろ夏休みが始まっています。大人が夏休みを迎えるのはまだ先かもしれませんが、夏休みはゆっくり読書ができるチャンスです。
暑い日に涼しい部屋で、旅行や帰省の移動中に、ぜひ読んでほしい桂書房の本を紹介します。

今回は、桂書房代表のおすすめする5冊を紹介!

風の匂いを嗅ぐという経験は、とりわけ夏に多かった。涼しい夜明けか、足元がようやく見える早晩、外へ出ましょう。風の匂いに包まれて家へ帰り、読みたくなる本は、というイメージで選びました。



□ 『もう一つの飛騨街道』 (宮村光治著)   2022年3月刊

越中八尾から旧野積谷(野積・仁歩・大長谷)を歩き飛騨へ通じた旧街道の道筋と、街道沿いの主な歴史や見どころを分かりやすく記す。旧野積谷は八尾商人たちを裏で支えたが、近年は超過疎化に伴う諸問題を抱える。     


□ 『前田普羅 季語別句集』 (辛夷社編集)   2022年9月刊

本句集は『定本普羅句集』および未収録句を精選し、季語別に編集。
春・夏・秋・冬の部に分け、月別に季語を収録。巻頭に月別の目次、巻末に音訓索引が付く。
手のひらサイズで作句の参考に手元に置くのに最適です。


□ 『ためされた地方自治』 (山秋真著)  2007年5月(初版)、2024年2月(再々版)刊

原発の代理戦争にゆれた 能登半島・珠洲市民の13年
買収、 外人攻撃…国策や電力会社の攻勢、 地方政治の泥仕合を、 都会の若い女性がルポしながら生き方をゆさぶられていく記録。 いつの間にか巨悪に加担させられている私たちの魂も揺さぶらずにいない。
上野千鶴子教授、 激賞!  荒井なみ子賞/やよりジャーナリスト賞


□ 『元禄の「グラミン銀行」』 (勝山敏一著)   2023年11月刊

元禄10(1697)年、貧民に無担保で金を貸す仕法を開始、日用人たちの米の共同購入、米価高騰期に移出船が港町に米の一部を置いていく仕法と三つの実践が200年維持された加賀藩新川郡の〈社会的連帯経済〉を初報告。

小さな漁具さえあれば猟師ができる。原綿を買う金さえあれば綿替え屋になれる。それなのに、質草を持たず質屋にいけない貧民は、渡世の元手を手に入れる術がない。日雇い仕事を綱渡り的につないで困窮していく――自由経済が進むにつれ、そうした貧民への対策が求められた加賀藩は、無担保で融資する仕法を元禄11(1698)年に打ち出す。

原資は藩が用意(長年賦で要返済)、毎日一文を積み立てることだけを条件に、貧民に無担保で融資、低利で十か月後に返済させる。また、町の上位商人に必要がなくても「地域通貨」で金を借りてもらい、その利足を「根金」に入れてもらって融資機構をささえる。富裕者が間接的に貧民に贈与するこの仕組みは、社倉を核に採り込んだアイデアと思われる。越中新川郡が日本一の木綿布産地になるその下支えが元手を得た彼らであったことを初めて描く。

バングラデシュで創始された無担保の貧民融資・グラミン銀行はノーベル平和賞を受賞したが、それより300年も前、藩がアイデアを出し、広域の町と村の役人たちが運営する加賀藩新川郡に行われた仕法は、明治期まで200年、持続された。

ほかに、日用人たちの米の共同購入、米価高騰期に移出船が港町に米の一部を置いていく仕法が、町役人と貧民たちの闘いの中から誕生、現代なら「連帯経済」と呼ばれる地域社会中心主義が展開したことを報告する。

山森亮氏(同志社大学経済学部教授)は「江戸期の港町にSDGsなどで話題の〈社会的連帯経済〉を再発見!―と推薦の辞。


□ 翁久允叢書2 『日本人の罪 メリー・クリスマス』 翁久允戯曲集1(翁久允著)   2023年12月刊

翁久允(1888-1973)が、自ら主宰した郷土研究誌『高志人』(こしびと)に1947年5月から1948年4月までに発表した戯曲三作。第二次世界大戦後の混乱が収まらない時期の富山市や近郊の町を舞台に、地元のことばである「富山弁」が、当時の世相描写にリアルな臨場感を与えて物語が展開する秀作である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?