”座談会” kurashi023 花巻のサトウさんのくらしを振り返る
先月12月、岩手県花巻のゲストハウス女将・サトウさんの記事を公開しました。
この記事制作に関わったkatootto、katoyome、ミウラヒサコの3人でサトウさんのインタビューで感じたことを語り合う座談会を決行。
3人がサトウさんのくらしで発見した・感じたこととは?
※サトウさんの記事はこちら↓↓
都会と違う、地方のシェアハウスの意味
katootto:では、みなさんよろしくお願いします。
まずこの写真が気になるんだけど、サトウさんは今はゲストハウスの一室に住んでいるけど、ゆくゆくはこの写真のDIY中のシェアハウスに住むんだよね?
僕も上京してきたときは友達とシェアハウスしたり、不動産会社のシェアハウスとかにもいたんだけど、仮住まいとしか思ってなくて早く出たいとしか思っていなかった。
地方の人たちはシェアハウスをどういう風に捉えているのかな。
ずっとシェアハウスに住み続けたいの?
ミウラ:私のまわりだと、住む人によりけりで1年くらいでシェアハウスを出る人もいれば、ずっと住む人もいるみたい。
でもこの辺り(陸前高田)ではシェアハウスは基本的に一軒家が多くて、一人のスペースが襖でしか区切られてないことが多いから、一人の時間を持ちたい人だとずっと住むのは難しいかもしれない。
katoyome:襖1枚っていうのは厳しい…。なんでみんなシェアハウスするの?
ミウラ:安いっていうのと、家に帰ると人がいる安心感とか、助け合えるとか…。
katootto:きっと地域に入り込む最初のステップのような意味合いもあるよね。
ミウラ:そうですね、一人で来るとつながりがないから、つながりが持てるというのはあるかも。全然つながりが無いまま移住しにきて、この地域のことがわかっていない人がシェアハウスにいる先輩移住者経由で教わったりしてネットワークを張るというのはありますね。
katootto:そういう意味だと、都会のシェアハウスとは違う意味があるのかも。
katoyome:北海道大沼のオオノさんも、しばらく大沼に通ってネットワークを作って移住したらしいんだけど、それが移住成功のカギだったって話していて。それがシェアハウスだと移住してすぐにでも一気にできる気がするよね。
katootto:とはいえ、襖1枚でプライバシーが薄かったり、一人の時間が作りにくいっていうのは難しいところだよね。マンション型の都会のシェアハウスみたいにプライバシーがある程度守られているわけではないし。メリットもデメリットもあるよね。
”このまち、好きだな”の濃さ
katootto:この写真なんとなく好きなんだよね。秘密基地っていうのもわかるし。自分の町にこういうところがあったら、遠回りしても行ってみると思う。
ミウラ:陸前高田とは全然違う町感がある、歴史もあって古い町だし。
katoyome:この風景みて”私、花巻が好きだな”って思っちゃうんだよ。風景の力ってすごいよね。
katootto:…僕、今住んでる場所でそう思う風景あるかな…いや、ないな。そう思える場所があってうらやましい。ミウラさん、陸前高田だとそういうところある?
ミウラ:通勤で海を見ながら下る坂道とか好きだし、陸前高田の半島に向かう空と海と陸とが全部見える道があって、そこを通っていると”いい所に住んでいるな”っていつも思いますよ。
katootto:そういう場所があるのが、まちを好きになるポイントなんじゃないかな?
katoyome:都会の人は”このまち好きだな”って思えるエリアに住むより、利便性とかで住む場所を選んじゃうよね。○○駅徒歩何分みたいな。
katootto:地方に行くと”このまち好きだな”感が濃くなるのかもね。
まちを案内するハブの人の重要性
katoyome:この写真のエピソードで思うのは、サトウさんのように、まちを案内するハブの人って重要だなって。
最近、引っ越そうと思って気になる町があれば歩いたりしているんだけど、町のことを教えてくれるハブの人がいるのといないとでは、全然町の印象が違う。
いくらポテンシャルの高い地方でも、その町をふらっと訪れた人がその町の魅力的なところまでなかなかたどり着けない。
だから、その町の魅力を伝えてくれる人に出会えることがファーストインプレッションとして、すごく大事だなと。特に、熱量を持ってその街の魅力を教えてくれる人と出会えると。
ミウラ:地方に観光するときにどこに行くのがいいかって調べればわかるけど、正直ネットの情報だけだとよくわからない。
そういうときに町の人がおすすめしてくれるマップなり、場所なりがあるとありがたいよね。
katootto:地方を旅するとき、ただ美味しいものを食べる、ただきれいなものを見るではなく、その土地にある味を知ったり、土地ならではの景色を見に行ったり、その地方に関わりに行こうとしてる。そこが感じられないと、ただ”よかったね”で終わっちゃう。またこの町に来たいってなかなかならない。
ミウラ:その町に関わりどころが欲しくなる。旅するときって宿の人が一番そのエリアでの距離感が近くないですか?
ゲストハウスは特にその距離感が近い。
katoyome:旅して接点を持つと、たぶんリピートするよね。もう一度行きたくなる。
ミウラ:でもその接点って”人”ですよね、風景とかではなく。そこで人と仲良くなって、その人を通してそのエリアを体験するから、そこが好きになる。
katootto:たしかにそうかも。それ面白いね。
katoyome:そこに気が付いたら、インスタ以上の何かになりそうだよね。
ミウラ:っていうのも、私も花巻行くようになったのは友達であるサトウさんがいるからで。私だけでなく、ゲストハウスにサトウさんがきっかけで様々な人が来るようになっているっていう状況を見ると、やっぱりポイントは”人”だなって思うんですよね。
自由さのある岩手の距離感
katootto:サトウさんのくらしをみていると、実家の気仙沼にも2時間あれば行けたり、陸前高田にも1時間とかで行けたり、岩手は広いと思ったけど意外にほどよい距離感に町があるなっていう印象があるんだよね。
ミウラ:都会だったら1、2時間離れているってかなり遠いけど、岩手の人はみんなそのくらいの距離を移動することに慣れているのではないかな。私も神奈川から移住した当初は長距離運転するの怖かったけど、慣れちゃった。車の長距離運転技術の有無でその感覚は変わるかもしれない。
katootto:都会だと地下鉄とか輸送されている感じで、自分が雑多な扱いをされている感覚になることがある。なんか尊厳がない感じ。時間通りで利便性は高いけど、自分の意のままにならないから、窮屈なんだよね。
katoyome:そういう意味だと、岩手とか地方の車社会の方が距離や所要時間もあるけど、自由なのかも。都会にいると自分も”大衆の中の一人”って感じで、システムの中で動いているみたいだからね。
あとがき
サトウさんの記事から、都会と地方でのシェアハウスや距離感の違いや、地方に行くときの”人”との接点の重要性まで、地方を考える上でのヒントになるキーワードが出てきて、話しながら色々と考えさせられました。
Instagramで風景が有名になって来る人の数は増やせても、先細ることは目にみえている。たぶん”体験を消費すること”にしか寄与しないのかなと。
そう思うと、どうやって地方の人との接点を作っていくのか、みたいなことは今後重要になっていくんだろうなと感じました。
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