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春遠からじ

    • 【読書感想文】石川拓治『奇跡のリンゴ』

      りんごは林檎と漢字で書くのが好みだったが 林檎は日本古来の観賞用であって、 私たちが普段食べているのは リンゴと書くのだと知った。 「絶対不可能」と言われた 無農薬のリンゴ栽培。 「自然の中には害虫も益虫もない。 それどころか、生物と無生物の境目すらも 曖昧なのだ。土、水、空気、太陽の光に風。 命を持たぬものと、細菌や微生物、昆虫に 雑草、樹木から獣にいたるまで、生きとし 生ける命が絡み合って自然は成り立っている。 その自然の全体とつきあっていこうと木村は 思った。自然が織

      • 【読書感想文】一穂ミチ『ツミデミック』(その2)

        「祝福の歌」 親になる事 親でいる事 産む事、産まない事 出世の秘密 テーマがシビアなので 自分に照らし合わせることくらいしか 感想が思い浮かばず…。 今となっては遥か昔になるが 自分が親になって初めて 親のありがたみをしみじみ 感じたので 私としては親となって良かった と思っている。 子供を育てると言うより 教えられ、考えさせられるばかり だったけれど。 子供達は成人したが 育て上げたと言える程の事は していない気もする。 50歳の達郎が 高校生の娘の妊娠に悩み 自ら

        • 【読書感想文】一穂ミチ『ツミデミック』

          6つの哀しい短編から成る 人生を考えさせられる一冊でした。 おそらくパンデミックを文字って ツミデミック。 罪と罰のツミなのか 人生詰んでるのそれなのか…。 コロナ禍に巻き込まれる人達や 何をやっても上手くいかなくなる人達を 容易く想像出来て そう言えば自分もそうだったと…。 2回転職して どちらからも必要とされてない気がして 空回って、焦って。 足りないピースを探し回って 失った場所に無理矢理 違うピースを埋め込もうと 踠けば踠くほど 悪い方に転がるっていう…。 人生って何

        春遠からじ

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          テレビドラマ「きのう何食べた?season2」の感想

          今年の秋は「きのう何食べた?season2」で 涙腺崩壊でした。 安達奈緒子さんの安定の脚本に寄り添うように 三人の監督がそれぞれの目線で シロさんとケンジの世界線を深く甘く優しく 伝えてくれた。 平田大輔監督がありふれた日常のあちこちに シロさんを想うケンジの優しさが 溢れている毎日を撮ってくれた。 松本佳奈監督が、シビアだけど 自分だけの愛の矜持がある玲子さんの視点に なって間違いを許せる様になる為に別れる事も あるってことを、 人は自分の知らないところで誰かを 傷つけて

          テレビドラマ「きのう何食べた?season2」の感想

          ふと、人生って赦すを知るって ことなのかなと思いました。 ずっと恨んだままってのは 辛いですよね。 でも赦されるを待つって言うのは 違う気がして、ままならないものです。

          ふと、人生って赦すを知るって ことなのかなと思いました。 ずっと恨んだままってのは 辛いですよね。 でも赦されるを待つって言うのは 違う気がして、ままならないものです。

          【読書感想文】凪良ゆう『わたしの美しい庭』(あの稲妻)

          けれど  歳月だけではないでしょう   たった一日っきりの  稲妻のような真実を  抱きしめて生き抜いている人もいますもの          茨木のり子「歳月」より 39歳の女性が18歳の時に亡くした恋人を 想い続けていることを自覚し、忘れられない のなら忘れずに生きていくことを覚悟する。 いつまでも褪せない思い出を抱えているのは どんなだろう。 他の誰にも埋められない穴があることを 認識してしまってはもう諦めるしかない のか。 残りの人生は余生ではないのか。 寂しくても、

          【読書感想文】凪良ゆう『わたしの美しい庭』(あの稲妻)

          身近に居る人を一番大事にするって なかなか難しい🤨 愛もあるし感謝もしてる。 あと必要なのは覚悟かしら。

          身近に居る人を一番大事にするって なかなか難しい🤨 愛もあるし感謝もしてる。 あと必要なのは覚悟かしら。

          【読書感想文】奥田英朗『マドンナ』

          結婚15年42歳のサラリーマン 異動してきた25歳女子社員に 恋するってリアルにある? ありよりのあり?なし? 一日中モヤモヤ、そわそわ 奥さんにも気付かれ ライバル視してた後輩と 取り合いの取っ組み合い え〜。これって純愛なのか。 男子の世界は分からん。 それでも毎日楽しそうだ。 気を引くための新しいスーツも 嫉妬からの牽制の電話も。 〝中学生かっ〟とツッコミたくなる 場面も、ニヤニヤ😁してしまう。 こんな恋なら私も、って イヤイヤかなり面倒くさい。 遠巻きに笑って見てるく

          【読書感想文】奥田英朗『マドンナ』

          昨夜歌番組を久々に観て ちょっと泣いた🤏 懐かしくて(もはや懐メロなのか)疼いた 歌詞を書きたいと思った(書いた事ないけど)歌詞ってどーやったら書けるの? ってアホな質問です。

          昨夜歌番組を久々に観て ちょっと泣いた🤏 懐かしくて(もはや懐メロなのか)疼いた 歌詞を書きたいと思った(書いた事ないけど)歌詞ってどーやったら書けるの? ってアホな質問です。

          【読書感想文】凪良ゆう『星を編む』

          決して光り輝く星にはなれないけど それを愛して、編んで、 物語を必要としている人たちへと つなげようと踏ん張る 二人の編集者の物語。 二階堂絵里は 青埜櫂の最初で最後の小説 「汝、星のごとく」を刊行すべく 奮闘する薫風社の女性編集長。 気が強く簡単に頭は下げないけど それはぶれない矜持があるからで 単に高飛車なだけではないようだ。 一方、植木渋柿 柊光社ヤングラッシュ編集長 青埜櫂と久住尚人の絶版となってる 漫画の復刊と完結編の刊行の為 こちらもやはり駆けずり回っている。

          【読書感想文】凪良ゆう『星を編む』

          【映画感想文】街の上で

          大昔一度行ったきりの下北沢。 本多劇場で唐十郎を観た。 全然分からなくて、情けない気がして それから舞台観るのがちょっとこわい。 『街の上で』で青と行き交う女の娘たち。 誰一人共感出来なくてww 友達(友人)にはなれそうにないけど 下北沢のどこかでちゃんと生活してそうで 強かだけど「寂しさをコントロール出来ず」に 誰かと関わって居る気がした。 青が弾き語る『チーズケーキの唄』が沁みた。 心持ってかれた。 下北沢の昼の空と夜の街を見た気がした。 もう一度下北沢に行くことが

          【映画感想文】街の上で

          【映画感想文】『エゴイスト』

          〝与えることで満たされてゆく、    この愛は身勝手ですか?〟 この映画のキャッチコピーとして 謳われていました。 「天国」を信じない。 目に見える物しか信じないと 言っていたおとこ。 いつの間にか他の事が手につかない程 同性の彼に惹かれてしまう。 お金も車も 与えられる物は何でも与える。 これはエゴだったのだろうか。 愛って何なのか。 ただ浩輔の眼差しが 龍太の笑顔が 私の記憶の中で優しく微睡む。 最後は龍太の母の手を 愛しく摩る浩輔。 私にも愛は何なのかは 分からないけど

          【映画感想文】『エゴイスト』

          [読書感想文]一穂ミチ『うたかたモザイク』

          あっという間に読み終わってしまった。 何度も読み返すとは思いますが 特に思い入れが強く残った 〝神さまはそない優しない〟の感想をば。 とん、ってな。 そんだけ。 から始まる短い物語。 電車のホームから落っこちて 電車が来て轢かれて 「うちの子になる?」って拾ったのが奥さんで そこで初めて自分は死んで猫に生まれ変わったことを知る 春に拾われたから春男(めっちゃださいやんけ は本人いや本猫の台詞です) 記憶を残したまま猫になった春男は 猫生活を満喫している。 〝寝て起きてめし食

          [読書感想文]一穂ミチ『うたかたモザイク』

          記憶の糸

          古い記憶を呼び起こそうとする時 まず音が甦る。 パコンパコンと軽快なリズムで 球が行き交うその音。 そして当時の食べ物。 部活の帰り、駅前で立ち食いした みかんチョというアイスバーと 瓶入りチェリオ。 それから映像に辿り着く。 ペアで乱打をしてるときの空の高さ。 纏わりつく湿った空気。 気の合うメンバーと過ごし 他愛ない会話で笑い転げた日々。 七分袖のシャツブラウスの袖を更に 浜折り(当時ちょっと流行ってた)にし スカートは裾を長めに下ろす。 教科書も入らないような薄い学生鞄

          記憶の糸

          慕情

          年子の兄と作ったばかりの雪だるま⛄️ の後ろでバンザイをする。 着ているのは兄のお下がりのオールインワン ミトンに包まれた二歳の小さな手。 かかって来た電話には『じぶんが、じぶんが』と 急いで出て『お前は誰だ』と凄み電話相手を 絶句させる。 噛みついたり、引っ掻いたり 保育園で兄は線路くんとあだ名を つけられていた。 しょっちゅう妹に引っ掻かれては 額に二重線の傷を作っていたからだ。 気が強く我儘で乱暴。 同級生の男子には避けられていたのかも 知れない。 それから幾年 大人に