【読書感想文】凪良ゆう『わたしの美しい庭』(あの稲妻)
けれど 歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの 稲妻のような真実を 抱きしめて生き抜いている人もいますもの
茨木のり子「歳月」より
39歳の女性が18歳の時に亡くした恋人を
想い続けていることを自覚し、忘れられない
のなら忘れずに生きていくことを覚悟する。
いつまでも褪せない思い出を抱えているのは
どんなだろう。
他の誰にも埋められない穴があることを
認識してしまってはもう諦めるしかない
のか。
残りの人生は余生ではないのか。
寂しくても、退屈でも、毎日は続く。
孤独は降り積もる雪のようではないのか。
凍える手は自分で細やかな息を吹きかけて
温めるだけだとしても
独りで歩くと決めたその道が
せめて日陰の道ではない様にと
ひっそりと願いたくなる。
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