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ノーコード開発は、地方中小企業におけるDXの第一歩

今回のテーマは、ノーコード開発について。

ノーコード、ローコードとは、プログラミング言語を使ったコーディングを全く、あるいはほとんどすること無くアプリケーションの開発を行うことを指します。

特にここ1~2年でよく聞くようになりました。わたし自身、以前はほとんど知らず、加藤工務店で働くようになってから知った領域です。(もしかしたら、よく聞くというより、自ら調べてきたからそう思うだけなのかもしれません…)

情報システム部門を持たない、システムの専門家がいない中小零細企業にとっては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進においてとっても良いツールです。

『システム開発が専門外であるユーザーが自らシステムをつくれる』

そんなことができるようになったら、地域建設業のDXも進んでいきそうですよね。そこで今回は、ノーコード・ロ―コード開発について書いてみたいと思います。

ノーコード開発にはどんなツールがあるの?

ノーコード・ロ―コードで開発できるものとしては、Webサイト、ECサイト、モバイルアプリ、業務アプリなど様々あり、開発ベンダー/ツールによってそれぞれできることが異なります。

国内よりも海外発のツールが多い印象で、GoogleやMicrosoftといったITジャイアントも、この領域のスタートアップの買収を行うなど、開発を強化しており、これからますます進展していくものだと考えています。

海外のものが中心ですが、一つひとつのツールの概要は、例えばこちらのQiitaの記事にて丁寧にまとめられています。

地域建設業ではどのように活用できるの

さまざまなツールがある中、地域建設企業が導入を検討すべきものは、業務アプリ(システム)のノーコード開発ツールです。

地域建設企業といっても企業規模は大小さまざまなので一概には言えませんが、施工管理や図面作成(CAD)などの場面においては、それを支援する専用のツール(ソフトウェア)が使われている一方、案件管理⇒調達⇒原価管理⇒会計⇒請求・支払といった一連の事務業務においては、まだまだエクセルや紙を使っている企業が多いのではないかと思います。

建設業の特徴として、社員数に応じて工事案件や仕入先との取引が増えていき、同時にエクセルファイルや紙ファイルも増えるため、ある程度の企業規模になってくると、社内にある情報を一元的に管理したいという考えが出てきます。

エクセルは計算・集計操作が簡単で、見た目も自由自在に調整できるので最強なのですが、情報を保存・管理するデータベースとしての機能はおまけなので、どうしても限界があります。

そんな企業の悩みを解決すべく、パッケージ製品の業務アプリ(システム)が数多く市販されているわけですが、パッケージ製品はカスタマイズできないことが多く、相応のシステム利用料や社内に浸透させるための労力もかかりますので、これまで慣れ親しんできたやり方を変えてまで導入する踏ん切りがつかず、システム化を断念するというケースも多いのではないのでしょうか。

一方、せっかくシステム化するなら、フルスクラッチで自前でつくりたい!と思うところですが、それは遥かにコストがかかりますし、サーバーを調達・管理する必要もあるなど、システムに詳しい人材がいない地域建設業ではかなり難しいでしょう。たとえコストメリットを度外視したとしても、システムベンダーに依存するかたちとなってしまい、それはそれで大きな事業リスクです。

そんななか、業務アプリ(システム)のノーコード開発ツールを活用すれば、開発費や外注費をかなり低い水準に抑えたうえで、自らの手で自分たちにとって都合の良いシステムをつくることができます。もちろん、現時点では、いっさいがっさい自由につくれるというわけではありませんが、今後、開発の自由度はどんどん増していくと見ています。

エクセル・紙ファイルの管理から脱却し、データベースやクラウドを活用していくことは、DXの専門家からすれば基礎中の基礎かもしれませんが、地域建設業の組織力・経営力を高めていくうえで、とても大事なファーストステップだと考えています。

地域建設企業にオススメの開発ツールは?

まずはじめに着目したのは、MicrosoftのPowerAppsというツールです。

私が勤める加藤工務店は、メールやWeb会議などを使うために、Microsoft365(Office365)を契約しています。PowerAppsはMicrosoft365のユーザ企業であれば追加課金ナシで使うことができるため、多くの中小企業にとって最初に選択肢に入ってくると思います。

追加課金ナシの無料版では、データベースに格納できるデータの量や処理機能・速度に制限があり、それらはあまり実用的なレベルではありませんでしたが、有料版を契約すれば、そこまでお金をかけずに、ある程度本格的な業務アプリ(システム)をつくることが可能です。

ただ結論として、地域建設企業にとっては、PowerAppsはハードルが高いと感じました。

プログラミング不要のノーコード開発とは言え、アプリ開発の際には設定方法や独自の関数などを事前に学ぶ必要があります。Microsoftのチュートリアル動画を見たり、参考書を買ったりするなど色々と調べましたが、結構大変で時間がかかりました。おそらく、地域建設企業の人が片手間でやると頓挫してしまうと思います。

なんだか否定的な内容になってしまいましたが、PowerAppsも素晴らしいツールです。あくまで地域建設業には向かないだろうと思っている次第です。

そこで、その他にも世の中にあるツールをいくつかトライアルで使ってみたところ、結論として、

地域建設企業にオススメしたい開発ツールは、サイボウズのkintoneです。

正直、これ一択だと思います。

kintoneは、システム開発が専門ではない人でも、簡単に業務システムをつくれます。サイボウズ社による日本語のチュートリアルや解説がしっかりしている点も素晴らしく、中小企業への導入事例が豊富にあるため、色々と参考にすることができます。価格もお手頃です。

kintoneの標準機能で何でもつくれるというわけではないですが、「プラグイン」といって、kintoneをカスタマイズしたり機能拡張をするためのプログラムが、様々なシステム会社によって開発されていることも良い点です。

プラグインを駆使すれば、地域建設業に相応しい業務システムの殆どの要求をカバーできるのではないでしょうか。ユーザ企業は、システムにかけられる予算と相談しながら、プラグインを活用してまでこだわるか、妥協するか、都度判断しながら作っていくことになります。

つくりやすくて、すぐつくれるからこそ、作ってみて直してということを繰り返せる。まずは一度作ってみて、それを社内の人達に見せたり、操作してもらいながら、ここはああしたい!こうできない?とみんなで議論しやすい。それを繰り返していくうちに、より良いものに仕上がっていきます。

業務システムをあまり使い慣れていない地域建設企業においては、システムを新たに開発したり、パッケージ製品を買ってきたりしても、それを皆がストレスなく使いこなせるようになるまで、相応の労力と時間が掛かります。

そしてそれがネックとなって、DXの進展を妨げてしまいます。

そんななか、開発する段階から、それを使うことになる人たちで意見を出し合い、自分たちの使いやすいように作り、いつでも作り直すことができたら、何だかうまくいくような気がしませんか?

今後またどこかで、当社への導入を決めたkintoneをどのように活用しているか、noteを書きたいと思います。

最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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