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商品開発のちょっとしたテクニック

ご無沙汰しております。

さて、もはやいくつやっているのか自分でもわからない自治体のアドバイザー業務が10個になり、いろいろバタバタしています。

その中の一つで、北陸地方のとある市で新しく道の駅を作るにあたり、核となる「目玉商品」を作りたいということで、アドバイザーに就任して業務をしております。

そのなかで、今回重要なポイントとして現場の方や行政の人にお伝えしたことがあります。

①地元の人も食べるということを大切に考える事
②季節ごとに、曜日ごとにターゲット(≒観光客)は異なる。それにどう対応した商品を充てるか
③提供オペレーションを考慮する

ということです

①地元の人も食べるということを大切に考える事



コロナ対応ということもありますが、観光客が始終ひっきりなしに訪れる施設というものはめったにありません。USJとは違うのです。
であれば、飲食部門の売上も物販部門の売上も、中心となるのは地域住民の方々です。
その方が、たまに食べたくなる、何ならいつも行きたくなる商品というものも大切。そして、その人たちがその施設に愛着を持ち、その目玉商品を人に勧めたり、お土産として他の市域に行くときに買ってくれたりするようになることが肝心です。

商品開発の始まる段階からクラウドファンディングなどの活用や、地域住民を巻き込んだ仕掛けづくりを行っていく予定です。


②季節ごとに、曜日ごとにターゲット(≒観光客)は異なる。それにどう対応した商品を充てるか

この場所は、平日でもゴルフ客の一定の誘導が見込めます。週末は、20キロ以内にある大きな家族で楽しめる施設からの誘導も可能です。

ということは、平日と週末でMDを変える必要があるということです。

商品開発としてのターゲット設定も大切ですし、そのターゲットごとの修正や客数見込みの詳細な分析、現場での製造バランスなど、オペレーションまで含めたうえで商品開発を考える必要があります。

③提供オペレーションを考慮する

地方活性化でよくある失敗の一つに、目玉商品を作ろうとして、それが売れても、かえって赤字になるということがあります。
その赤字の原因の一つは「人件費」です。拘った商品を作ろうとなると、その地元にはなかなかいない「職人」「スキルの高いパティシエ」「盛り付けをするスタッフ」などがどうしても多くなります。

しかし、こういう体制で作っていると、コロナの影響で客数が落ちたりすると途端に大赤字になります。また、こういった「こだわり商品」は往々にして原価が高く(フルーツ類などは年・気候によって価格が大きく変動します)、利益もぎりぎりだったりします。しかし、うかつにテレビなどで取り上げられてしまうもので、そういった場合作り続けなければならない。そうなると、厨房は大混乱。提供スピードが遅くなり、結果クレームにもなります。そうなると施設全体の評判に響きます。
道の駅に行くとどこもかしこもソフトクリームとコロッケとか揚げ物ばかりだったりするのは、提供が簡単で、かつ保存性もある程度ある(冷凍庫さえあれば)というものが多いのはこれが理由です。しかしこれでは差別化は図れません。

こういう問題をどう解決するかという問いの答えが鳴門市にある6次産業化複合施設NARUTO BASEだったりします。

この会社、鳴門市に工場兼レストランと、徳島駅の施設に居酒屋を経営していますが、徳島駅の居酒屋はシェフの立場の人間がいません。なんならレストランにも常勤してなかったりします。

その代わり、工場では、日々徳島県内の様々な産品を調理し、急速冷凍して美味しさそのまま居酒屋などにストックします。
注文を受けたら流水解凍や電子レンジで解凍し、あしらいの葉っぱなどを盛り付けたら終わりです。アルバイトのみで居酒屋が運営できるほか、仕込みや片付けの時間も恐ろしく速いです。22時閉店でも、22時半までにはすべてのスタッフが帰ることができます。

こういった会社の手法を取り入れ、半調理品(アヒージョやアクアパッツァ)をターゲットの好みに合わせた味付けや内容、そして地域の未利用品なども活用して製造し、提供していくことが大切です。お客様が来ないことで生じる食材の廃棄=食品ロスは、お店にとっては利益の減少以外の何物でもないです。その「利益ロス」を減らす方法を徹底的に考えることがこういった施設の経営力を高めます。

秋冬に向けて、さらに仕事が忙しくなりますが、来年春ごろには、『地域おこしはなぜ失敗するのか』~成功のカギとポイントは失敗から学べる~という題名で本を出すことになりました。

執筆しながら、noteもぼちぼち頑張ってまいります。


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