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愛鐔紹介

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#刀装具

鏡師鐔② 鶴亀紋 外形について

鏡師鐔② 鶴亀紋 外形について

前回のブログの課題として残していた事の1つに鏡そのものが作られた時代を推定する、がある。
この事を考えるにあたり、形状(サイズ)、紋様、材質、の3点を調べていく事で大まかな時代を推定できるのではないかと仮説を立てている。
しかし和鏡については知識が現時点で皆無であり、暗中模索、まさに海の中をもがいているような状態で何から手を付けて良いかわからない。
全く同じような紋様、サイズの鏡が見つかれば良かっ

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鏡師鐔① 鶴亀紋

鏡師鐔① 鶴亀紋

少し前に以下のブログを書いたのだが、無事海外から取り寄せる事が出来た。円安もあり想像しているよりも高くついてしまったが、里帰りさせることが出来たとでもいうべきか。

白銅地の古鏡に茎孔と櫃孔をあけ、茎孔は鉛が埋め込まれている。
紋様は鶴と亀、亀甲紋に菊と思われる。
横76.5mm×縦75.9mm×耳厚6.6mm(切羽台厚4.3mm)

銀布目象嵌鐔

銀布目象嵌鐔

一見小汚いがよく見ると全体が銀の布目象嵌で華やかに彩られている鐔を鑑賞。
覆輪部には唐草模様がデザインされている。
素材は特定が難しいが、鉄などの素材に思えるが匂いから山銅かもしれない。いまいち自信がない。
横72.7㎜×縦74.6㎜×耳厚6.3㎜、切羽台厚5.3㎜

布目象嵌部の拡大。耳部も縁まで丁寧に象嵌が施されており、錦布を触っているような感触が鐔から得られる。

素銅家紋散雁透鐔

素銅家紋散雁透鐔

以前この鐔について軽く触れたものの、単体ではまとめてはいなかったので久々に取り出して鑑賞。
阿弥陀鑢の掛けられた素銅地に五三桐紋、十五菊紋、三巴紋の刻印が押され、雁(ガン)の透かしが入っている。
横79.2㎜×縦84.1㎜×耳厚3.3㎜(切羽台厚2.1㎜)

成木鐔㉔ 伝村上義輝所用鐔写

成木鐔㉔ 伝村上義輝所用鐔写

重要文化財に指定されている伝村上義輝所用と伝わる鐔を成木一成氏が写した作。本歌は以下の作。

同図を船田一琴も写している。
こちらは独自の文字を刻んだり、耳に桜の象嵌を施すなどオリジナリティを加えている。

さて以下が成木氏の製作した同図の鐔。
こちらは本歌を忠実に写している。
横95.9㎜×縦96.2㎜×厚1.8㎜

ペラペラだが手で曲げる事は出来ない。
薄い板材を買ってきてそのまま使って作って

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練革鐔?

練革鐔?

軽くて頑丈な鐔で、表には漆がかけられている。
2枚を合わせているように見受けられる。切羽台から耳にかけて徐々に薄くなる。
横77.9×縦87.1×耳厚4.6㎜、切羽台厚5.8㎜、重さは30gと通常このサイズの鉄鐔であれば120g位はあるので4分の1位の重さとなっている。

茎孔部を拡大したのが以下。
材質の特定がいまいち難しいものの、けば立っている所も見られ革っぽさはある。

耳は以下のように2枚

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成木鐔㉓ 山吉兵写

成木鐔㉓ 山吉兵写

今回鑑賞記録を残すのは山吉兵写の成木鐔。
横82.4㎜×縦85㎜×厚5.3㎜。

地鉄が常に見る成木鐔とは異なり、赤茶けている。
以下左の柳生鐔写しはよく見る成木鐔の艶のある少し白みのある黒色、右は今回の山吉兵写しである。赤茶けている様子が伝わるだろうか。

拡大して見ると、明らかに異質な地鉄が露わになっている部分が見られる。

肌触りも独特で全体的にカサカサしたような触り心地。
成木氏なりに山吉

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成木鐔㉑ 四分一地の牡丹獅子図大小鐔

成木鐔㉑ 四分一地の牡丹獅子図大小鐔

鉄鐔作りで有名な成木一成氏による四分一地の牡丹獅子図の大小鐔。
この鐔を手にしたのは2022年の大刀剣市であるが、まさかこのような四分一の成木鐔が存在しているとは思わず、目にした瞬間に衝撃が走ったのは記憶に新しい。
成木一成氏の作ではその殆どが鉄鐔である事は図録を見ても分かり非常に珍しい作に思う。
他に色金だと真鍮の安親写しなどが存在しているようである。
(本鐔については以前こちらのブログで触れた

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成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。
それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。

表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。

同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。

上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に

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古金工鐔(花弁虫散図)①

古金工鐔(花弁虫散図)①

最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。
古金工極めの花弁虫散図鐔である。
縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。
材質は鑑定書では四分一とある。

縦に魚々子が入り古色が感じられる。
「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。
一方で描かれた草花は多い。

草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。

更に鐔全体を駆け抜けるように

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成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。
箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。
縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。

こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。
爪ではじくとカ

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成木鐔⑮ 赤坂初代忠正  鉢木透写

成木鐔⑮ 赤坂初代忠正 鉢木透写

好きすぎる成木鐔の紹介が止まりませんが、手元にある成木鐔でまだ紹介していない物がいくつかあるので気が向いた時に載せていきます。
今回は有名な赤坂鐔の鉢木透写の鐔になります。
謡曲の「鉢木」の物語を比喩した図柄です。

箱書きは無いのですが、鉄の質感や銘の書体から平成頃の作と思われます。

成木さんの作は高温で熱する為か側面に鍛割れが出ているのが多いのですが、こちらの作も出ています。
むしろこれがあ

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古正阿弥鐔①

古正阿弥鐔①

少し前に購入してみた古正阿弥鐔。
室町時代頃の作と見られており、この時代は応仁鐔や平安城象嵌鐔など装飾性に富んだ鐔が製作されている、と見られている。

尚、室町時代から江戸後期まで埋忠派と並び長く繁栄した正阿弥派。
室町~桃山の物は古正阿弥と呼ばれている。
江戸期以降は全国各地に移り住み、京正阿弥、伊予正阿弥、阿波正阿弥、会津正阿弥、秋田正阿弥、庄内正阿弥、などなど派生。

葵の葉もしくは河骨葉か

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