樫原弘志 Waterside Laboratory LLC

経済ジャーナリスト 日本記者クラブ会員 ウォーターサイドラボラトリー代表社員 早…

樫原弘志 Waterside Laboratory LLC

経済ジャーナリスト 日本記者クラブ会員 ウォーターサイドラボラトリー代表社員 早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社でシンガポール、大分、千葉の各支局長及び編集委員、日経グローカル研究員など。国際開発高等教育機構リーダーシップアカデミー修了 広島県尾道市出身

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生鮮クロマグロ水揚げ日本一・塩釜魚市場で架空名義取引、税務署調査で確認、漁獲報告漏れを指摘する情報も

 宮城県塩釜市の水産卸売市場営会社「みなと塩釜魚市場」が架空の名義による水産業者からの出荷を受け付け、販売していたことが明らかになった。税務署による税務調査で発覚し、実在しない業者の名義で出荷した地元の大手魚問屋も税務署から事情を聴かれているもようだ。   塩釜は生鮮クロマグロの水揚げ量が日本一の漁港で、水産庁は今年3月、クロマグロ漁獲報告体制が適切かどうか現地を調査したことがある。かねてうわさされていた実在しない業者名での取引が判明したことで、水産庁は塩釜市場でヤミの水揚

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    • 暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ③

       ◆PFIによる広島県動物愛護センター開業、譲渡活動を推進  ところで、8月1日から広島県動物愛護センターが広島空港脇に移転しました。死亡動物の焼却炉などがある旧施設を残したまま、新しい施設を流行のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)で建設したものです。設計、建設、そして15年間の維持管理運営費としておよそ14億円(うち維持管理運営費は5.5億円)を投じたそうです。  移転後の最大の使命は譲渡活動の促進です。そのために移転先として交通アクセスがよい広島空港

      • 暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ②リンチを放置してはならない

         ◆千葉のドーベルマン連れ去り事件、裁判官は「動機が独善的」と断罪  最近の動物虐待をめぐる事件にも鯨肉を盗み出したグリーンピースのような間違った英雄主義のニオイを感じています。  昨年5月には、千葉県木更津市では、動物愛護活動家が飼い主をだましてドーベルマン2匹を盗み出し、逮捕・起訴された事件がありました。  飼い主のもとから逃げ出したドーベルマンの捜索活動に加わった際、飼育環境に問題があると思った活動家たちは、発見されたドーベルマンが飼い主のもとに戻った後、そこから

        • 暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ①「意識高い」人たちの勘違い

           ◆勘違い、錯覚に陥りやすい「意識高い系」の人々にご用心  正義感あふれるひとたち、または、少しばかり「意識高い系」のひとたちは、強い調子で相手を非難したり、自分たちを特別扱いされてしかるべき存在だと勝手に思い込んだりすることがあるようです。  2008年に起きた環境保護団体グリーンピースによる鯨肉窃盗事件はその典型例です。調査捕鯨に反対していたグリーンピースは調査捕鯨船の乗組員が鯨肉を横領しているという情報を掴んで、荷物の追跡調査を進めていました。  それは社会正義と

        生鮮クロマグロ水揚げ日本一・塩釜魚市場で架空名義取引、税務署調査で確認、漁獲報告漏れを指摘する情報も

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          資源急回復で海に溢れんばかりのクロマグロ②定置網の混獲を国別上限の別枠に~韓国政府がWCPFCに働きかけ

           クロマグロがあふれかえっているのは日本の海だけではありません。お隣の韓国でも同様です。 「最近盈徳郡でマグロが1日500~1000匹ほど漁獲される。定置網にかかったマグロが死に、漁民は死んだ状態のマグロを海に放流するほかない」  2022年7月28日夕、韓国の朝鮮日報オンライン版は慶尚北道盈徳(キョンサンブクド・ヨンドク)の海岸に数万匹の死んだマグロが見つかり行政当局が回収に乗り出した、という記事を掲載しました。  それによると、韓国海洋漁業部が慶尚北道の定置網漁業に

          資源急回復で海に溢れんばかりのクロマグロ②定置網の混獲を国別上限の別枠に~韓国政府がWCPFCに働きかけ

          資源急回復で海に溢れんばかりのクロマグロ①沿岸漁業者による放流の記録1906枚

           青森県から行政文書一部開示決定通知書が届きました。令和4年度(2022年度)まで直近5年以内の沿岸漁業者による太平洋クロマグロの放流状況を記載した行政文書の情報公開を請求していたのです。    開示されるのは7つの文書で、合計枚数は1906枚でした。定置網漁業によるクロマグロ放流の記録は令和元年度(2019年度)から4年分、漁船漁業による記録は令和2年度(2020年度)から3年分ということです。  漁協名や漁船・定置網名は個人情報保護等のために開示されませんが、一度は針に

          資源急回復で海に溢れんばかりのクロマグロ①沿岸漁業者による放流の記録1906枚

          コロナ前は国会議員2442人が外遊、外務省の在外公館便宜供与集計

          批判渦巻く自民党女性局フランス研修  自民党女性局のフランス研修への批判がおさまりません。内閣改造で入閣も予想されていたという松川るい局長(参院議員)が子連れで参加し、大使館に預けていたことも明らかになって、地元大阪では自民党支部長交代を求める声も出ています。  消費者問題の取材で私もお世話になったことがある弁護士の紀藤正樹さんは、Twitterで「国会議員の海外視察時に付きそう大使館員の給与も税金です。私人の旅行と違います」とコメントしました。  いったいどのくらいの

          コロナ前は国会議員2442人が外遊、外務省の在外公館便宜供与集計

          謎解き「大間まぐろ」⑥水産庁、尻屋崎など疑わしい港を訪問せず~TAC報告実態調査は「任意」で疑義情報扱わず

           大間漁協などで判明した大量の漁獲未報告問題をうけて、水産庁は今年3月から全国の主要な港で漁獲可能量(TAC)制度に基づく漁獲成績の報告がどのように行われているかの実態調査を進めています。  全国およそ20の漁港が対象になると言われています。水産庁への情報公開請求で入手した行政文書によると、最初に訪問したのは宮城県の塩釜(3月3日)、次いで青森県の大間(3月8、9日)、千葉県の銚子(3月10日)となっています。  実態調査の要領をまとめたメモによると、調査事項は①陸揚げか

          謎解き「大間まぐろ」⑥水産庁、尻屋崎など疑わしい港を訪問せず~TAC報告実態調査は「任意」で疑義情報扱わず

          「接待要求」「癒着」を廃絶する環境づくりが必要~利権・裁量が広がる水産庁

           「漁協幹部が水産庁職員から接待を要求された」――そんな情報提供をもとに人事院は2022年度のある時期、水産庁に事実関係の調査を指示しました。 水産庁は関係者の事情聴取を進めたものの、国家公務員倫理規程に違反する職員による接待要求事実は確認できなかったもようです。その結果が分かったのは、つい最近のことです。  漁協は、東日本大震災被災地の水揚げ回復を目指す「がんばる漁業復興支援事業」を利用して、組合所属の漁業者による大型漁船を更新するプロジェクトを推進していました。接待を要

          「接待要求」「癒着」を廃絶する環境づくりが必要~利権・裁量が広がる水産庁

          謎解き「大間まぐろ」⑤報告徴求権を行使すれば事実解明はすんなり進む~2年前、農相は静岡市長に漁獲未報告分の調査を指示していた!

           法令に違反して漁獲された水産物を卸売業者が扱っている疑いがある場合、卸売市場を監督する農林水産省はどのようなアクションを起こすでしょう?  筆者が情報公開制度を利用して静岡市から入手した行政文書によると、静岡市中央卸売市場に漁獲報告をしていない青森県大間産のクロマグロを同市場の卸売会社が扱っている疑いを抱いたとき、農林水産省は市場開設者である静岡市に疑義内容を伝えたうえで、市が調査をして結果を報告するよう報告徴求を命令しました。  報告徴求という手段は金融監督を含めて様

          謎解き「大間まぐろ」⑤報告徴求権を行使すれば事実解明はすんなり進む~2年前、農相は静岡市長に漁獲未報告分の調査を指示していた!

          異種交配規制検討へ実態調査、ペットパーク流通協会

           犬や猫を取引する市場、ペットオークションを運営する企業の団体、一般社団法人ペットパーク流通協会(埼玉県上里町、上原勝三会長)がミックス犬、デザイン犬などとも呼ばれているハーフ犬、ハーフ猫に関するアンケート調査を初めて行い、その結果を機関誌の「ペットパーク通信」第12号に掲載しました。  異種交配によるトラブルが増えているためで、異種交配の現状を検証し、問題を解決するためのルール作りの参考にするということです。  今年4月中旬に実施した調査の対象は協会会員と会員の取引先ブ

          異種交配規制検討へ実態調査、ペットパーク流通協会

          謎解き「大間まぐろ」④漁業法違反の出荷業者は川崎北部市場にも出荷していた!

           ヤミ漁獲されたクロマグロを大量出荷して漁業法違反で逮捕、起訴されている青森県大間町の仲買業者2社のうち最北水産が、神奈川県の川崎市中央卸売市場北部市場にクロマグロを出荷していたことが明らかになりました。  販売を取り扱った川崎北部市場の卸売業者はこのクロマグロは国が設定した漁獲枠内のものかどうかを「確認はしておりません」(横浜魚類川崎北部支社)ということです。卸売会社としてとても残念な対応です。  大間産クロマグロの不正流通量として青森県農林水産部は昨年8月、2021年

          謎解き「大間まぐろ」④漁業法違反の出荷業者は川崎北部市場にも出荷していた!

          大間マグロ販売業者逮捕~過剰漁獲知りながら放置してTAC(漁獲可能量)制限を強行した水産庁に責任はないのか?

           青森県警は7日、漁業法違反の疑いで青森県大間町の水産物販売会社の経営者2人を逮捕しました。筆者が2022年6月、日刊水産経済新聞の紙面を借りて紹介した静岡市中央卸売市場に「ブリ」などと偽ってこの2人の会社2社がクロマグロを出荷したことが容疑事実の中核をなしています。報告義務を負う漁業者のみならず販売業者もその果たした役割次第で漁業法違反の罪に問われることを示した事件です。  こうしたヤミ漁獲自体、大間では以前から横行していて、私は2017年から水産庁、青森県、大間漁業協同

          大間マグロ販売業者逮捕~過剰漁獲知りながら放置してTAC(漁獲可能量)制限を強行した水産庁に責任はないのか?

          TAC対象のクロマグロ管理「投棄・自家消費分も漁獲報告は義務」と水産庁

           太平洋クロマグロのように国が漁獲可能量(TAC)を設定している魚種のことを特定水産資源といい、漁業法では漁業者に漁獲報告を義務付けています。水揚げして魚市場で売ったものはもちろん、漁業者が自分で販売したもの、自家消費したものを含めて漁獲報告をしなければならないのです。  昨年7月、気仙沼市魚市場で計量後に漁獲上限を超えたことがわかって船にクロマグロを持ち帰ったことが水産関係者に目撃された大目流し網漁船の所属会社は「それを船員のまかないなどに使ってなぜ悪いのか?」という認識

          TAC対象のクロマグロ管理「投棄・自家消費分も漁獲報告は義務」と水産庁

          謎解き「大間まぐろ」③2021年12月下旬、第56新栄丸は「大船渡」に停泊 ※

           2021年12月26日昼のことです。筆者は東京都中央卸売市場の卸会社の一つ、築地魚市場に行き、役員らと面談しました。同社が売場に並べた「大間まぐろ」のうち第56新栄丸が大間漁協から出荷したクロマグロの水揚げ地を確認したほうがよいのではないかと思ったからです。  その日、私のところには「大間で水揚げしたものではないマグロが売り場に並んでいる」という噂が豊洲市場関係者から寄せられました。  また、豊洲に十数本のクロマグロを出荷した第56新栄丸が岩手県大船渡港に停泊していると

          謎解き「大間まぐろ」③2021年12月下旬、第56新栄丸は「大船渡」に停泊 ※

          クロマグロ「船主引き取り分」は魚市場の「報告対象外」と気仙沼漁協回答

           大目流し網漁船が混獲したクロマグロを宮城県の気仙沼市魚市場での計量後に漁船に持ち帰り、解体処理して消費している事実について市場を運営している気仙沼漁業協同組合に問い合わせたところ、市場でクロマグロを計量した後に漁船が持ち帰ることを認めていることを明らかにしたうえで、「お卸売業者は、漁獲報告を代行しているのではなく、水揚げ販売したものを報告しています」とし、船主引き取り分は魚市場での水揚げ報告に計上していないことを明らかにしました。  魚市場は漁船の水揚げ状況を必要に応じて

          クロマグロ「船主引き取り分」は魚市場の「報告対象外」と気仙沼漁協回答