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JF天草の深い闇~逮捕された監事は「役員就任辞退」を条件に和解し、釈放されていた!

 理解に苦しむ展開でした。6月12日に熊本県警天草署に名誉棄損の疑いで逮捕された天草漁協(JF天草)監事はおよそ一週間の取り調べを受けた後、6月18日に釈放されました。

 容疑者逮捕について報道機関に積極的に情報提供した天草署は今回、問い合わせに対しても「警察はコメントする立場にない」として釈放について一切言及しません。

 県警は地方検察庁の指揮のもとで捜査をしているだけなので「捜査の結果を検察に報告した後は、検察が判断するので、警察の出番ではない」ということのようです。

 しかし、これでは「逮捕」という事実だけが永遠に記録として残り、被疑者本人にとっては極めて不都合だろうと思います。

 こうした慣行がまかり通って、それ自体では前科でも何でもない「逮捕歴」だけが公の情報として放置され、それに悩まされている人はきっと多いことでしょう。司法の世界は一般世間の常識からずれています。

 私が得た情報によると、名誉棄損容疑での捜査は被害者である若い女性からの告訴を受けて始まりました。今年4月、JF天草の理事会でこの女性に関して報道した地元新聞の記事をもとに、逮捕されたJF天草監事が親族とされる漁協役員の道義的な責任を追及したことが原因です。

 そして、発言からわずか1カ月半後というスピード逮捕です。

 しかし、そもそも逮捕して身柄を拘束する必要があったのか疑問に思います。名誉棄損に問われたのはJF天草の監事による理事会での発言です。おそらく録音を含めて会議の発言記録は残されているし、二十人以上の役員らが現場でのやり取りを記憶しているはずです。

 そうした状況では、被疑者による証拠隠滅は困難です。逮捕された監事(当時)も発言内容を認めています。警察にとって証拠集めは簡単です。身柄を拘束する必要などどこにもありません。

 監事が釈放されたのは、告訴した側と監事の側とで水面下で話し合いが行われ、監事がJF天草の役員を辞退するということを条件に告訴を取り下げるという和解が成立したものといわれています。 

 JF天草関係者によると、逮捕された監事は6月末の総代会で「理事」に就任することが内定していて、6月末の総代会での承認を待つばかりの身でした。

 そうした背景を念頭にいれて振り返れば、県警による被疑者の逮捕は、監事の存在を煙たがる人々にとっては好都合でした。

 監事は役員による出張経費の二重請求など不正や、上司によるパワハラがあったのではないかといわれている牛深支所長の自殺の調査にも熱心に取り組んでいました。

 監事逮捕は本当に必要だったのでしょうか?

 警察は本当に捜査上の必要に迫られた身柄を拘束したのでしょうか?

 誰かが警察の捜査に介入したのではないかと思われるほど、経済記者の私にとっては、理解しがたい一週間の出来事でした。

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