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動物愛護

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記事一覧

暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ③

暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ③

 ◆PFIによる広島県動物愛護センター開業、譲渡活動を推進

 ところで、8月1日から広島県動物愛護センターが広島空港脇に移転しました。死亡動物の焼却炉などがある旧施設を残したまま、新しい施設を流行のPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)で建設したものです。設計、建設、そして15年間の維持管理運営費としておよそ14億円(うち維持管理運営費は5.5億円)を投じたそうです。

 移転後の

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暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ②リンチを放置してはならない

暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ②リンチを放置してはならない

 ◆千葉のドーベルマン連れ去り事件、裁判官は「動機が独善的」と断罪

 最近の動物虐待をめぐる事件にも鯨肉を盗み出したグリーンピースのような間違った英雄主義のニオイを感じています。

 昨年5月には、千葉県木更津市では、動物愛護活動家が飼い主をだましてドーベルマン2匹を盗み出し、逮捕・起訴された事件がありました。

 飼い主のもとから逃げ出したドーベルマンの捜索活動に加わった際、飼育環境に問題があ

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暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ①「意識高い」人たちの勘違い

暴走する「社会正義」に一定の歯止めが必要 ①「意識高い」人たちの勘違い

 ◆勘違い、錯覚に陥りやすい「意識高い系」の人々にご用心

 正義感あふれるひとたち、または、少しばかり「意識高い系」のひとたちは、強い調子で相手を非難したり、自分たちを特別扱いされてしかるべき存在だと勝手に思い込んだりすることがあるようです。

 2008年に起きた環境保護団体グリーンピースによる鯨肉窃盗事件はその典型例です。調査捕鯨に反対していたグリーンピースは調査捕鯨船の乗組員が鯨肉を横領し

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異種交配規制検討へ実態調査、ペットパーク流通協会

異種交配規制検討へ実態調査、ペットパーク流通協会

 犬や猫を取引する市場、ペットオークションを運営する企業の団体、一般社団法人ペットパーク流通協会(埼玉県上里町、上原勝三会長)がミックス犬、デザイン犬などとも呼ばれているハーフ犬、ハーフ猫に関するアンケート調査を初めて行い、その結果を機関誌の「ペットパーク通信」第12号に掲載しました。

 異種交配によるトラブルが増えているためで、異種交配の現状を検証し、問題を解決するためのルール作りの参考にする

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あいさわ一郎氏が超党派・殺処分ゼロ動物愛護議連会長に就任

あいさわ一郎氏が超党派・殺処分ゼロ動物愛護議連会長に就任

 12月14日に犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟の第17回総会が衆院第一議員会館内で開催され、傍聴しました。主な議題は会長の選出、動物愛護管理法改正後の施行状況、来年度予算要求などについてです。日本獣医師会からもマイクロチップ装着義務化について報告と要望がありました。

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アニマルウェルフェアはみんなの利益になる〜ペットパーク通信寄稿

アニマルウェルフェアはみんなの利益になる〜ペットパーク通信寄稿

◆殺処分ゼロの美談のウラ側~過密収容施設での咬傷死亡事故

 犬猫の殺処分問題と行政の役割などについて少し考えてみたいと思います。 今年夏のある日、動 物愛護・啓発活動 に取り組んでいる 知り合いから「茨城県動物指導センターで犬がかみ殺される事故が起きた」という連絡をもらいました。

 そんな事故が数年前に広島の動物愛護団体のシェルタ ーでも発生したことがあったなあと思いながら話を聞いてみると

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動物への感謝の気持ちを忘れずに~佐良直美さんに聞く(8月20日発行「ペットパーク通信第9号」から抜粋・転載) 

動物への感謝の気持ちを忘れずに~佐良直美さんに聞く(8月20日発行「ペットパーク通信第9号」から抜粋・転載) 

 若いころ歌手・俳優として活躍された佐良直美(さがら・なおみ)さんは動物好きで知られ、1993年から栃木県・那須塩原でしつけ教室などを運営するアニマルファンスィアーズクラブ(A・F・C)を主宰しています。犬猫を中心に動物の保護活動にも取り組んでいます。A・F・Cを訪ね、ご自身のペットとのかかわりや最近のペット業界についての意見などをうかがいました。(聞き手 : 経済ジャーナリスト・樫原弘志)

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「殺処分」のもとを断つ〜野良猫が多いまち尾道のNPOに支援を

「殺処分」のもとを断つ〜野良猫が多いまち尾道のNPOに支援を

 広島県尾道市の島嶼部、因島に本部を置くNPO法人西日本アニマルアシスト(NAA)が運営する不妊去勢手術専門の動物病院「ストレイキャットクリニック」を見学してきました。

 獣医師は2人いて、見学当日の手術予定は20匹。担当は川崎市の開業獣医師の相澤先生で、月1、2回の頻度で手伝いに駆けつけているそうです。メス猫の不妊手術中でしたが、猫に負担をかけないよう切開部は最小限にとどめ、翌日退院させること

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環境省、ペット業界からの接待で中堅幹部を厳重注意処分〜数値規制導入めぐる意見交換か

環境省、ペット業界からの接待で中堅幹部を厳重注意処分〜数値規制導入めぐる意見交換か

国家公務員倫理審査会に調査報告

 ペット業界や動物愛護団体を指導、監督する立場にある環境省幹部が利害関係者から接待を受けたことで、今年6月2日、事務次官から厳重注意されたことが同省に対する情報公開請求で判明しました。

 環境省が山口壮大臣名で国家公務員倫理審査会の秋吉淳一郎会長宛に提出した調査結果報告では、氏名や役職は非公開扱いとなっています。

 情報公開請求に先立って筆者が入手していた情報

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動物は人間の大切なパートナー〜変わる愛護・福祉の意識、ペット業界も改革のリーダーに脱皮を

動物は人間の大切なパートナー〜変わる愛護・福祉の意識、ペット業界も改革のリーダーに脱皮を

 この20年で2頭のボーダーコリー(愛子と太郎)を育て、見送りました。犬との暮らしを通して学ぶこと、考えることがたくさんありました。しつけのこと、医療・福祉のこと、ビジネスや専門家たちのこと。和牛やクロマグロといった食べものになる動物や魚とは、全く違うようでいて共通する問題もありました。ペットの業者間流通を扱う団体の依頼を受け、外側からみたペット業界について私なりの分析や意見を書きました。この機関

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「記録が一切ないとは通常考え難い」~町が犬保護団体に作成を指示した「危機管理マニュアル」の記録を残さぬ神石高原町に審査会が苦言

「記録が一切ないとは通常考え難い」~町が犬保護団体に作成を指示した「危機管理マニュアル」の記録を残さぬ神石高原町に審査会が苦言

あって当然のものが存在しない「文書管理上問題はあるが、不存在と認められるため、妥当である」

 広島県神石高原町の情報公開審査会(会長・折橋洋介広島大学教授)は、ピースワンコという事業名で巨大な犬保護施設(シェルター)を運営する同町のNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、大西健丞代表理事)が町役場の指示を受けて作成した「危機管理マニュアル」に関する行政文書を「非開示」とした町役場の決定を妥当

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まぼろしの優良ペット業者認定制度⑤環境省、政治家らとの面談記録を保存せず

まぼろしの優良ペット業者認定制度⑤環境省、政治家らとの面談記録を保存せず

第二種業者の猶予期間は2年
 今年6月から実施されている犬猫適正飼養を促す環境省令、いわゆる数値規制は既存業者への適用を一定期間猶予する措置も講じています。

 従業員1人あたりの飼養頭数上限規定の場合、ペット店や繁殖業者など第一種動物取扱業者は1年間、譲渡活動を行う動物愛護団体など第二種動物取扱業者は2年間、適用を免除され、さらに猶予期間後も段階的に適用されることとなっています。(別表参照)

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まぼろしの優良ペット業者認定制度④京都市でも反対され「お蔵入り」の先例

まぼろしの優良ペット業者認定制度④京都市でも反対され「お蔵入り」の先例

検討前から「難しい」と環境省 「優良事業者への上限値緩和は必要ではない。20頭、30頭認めてしまうと、優良な飼い主は5頭とか6頭がせいぜいだと皆さんおっしゃっているときに上限値規制の意味がなくなってしまう」

 2020年9月4日、国会議員会館内で開催された超党派の動物愛護議員連盟のプロジェクトチーム会合で、そんな意見が飛び出しました。塩村あやか参院議員の発言だったと記憶します。

 環境省の「動

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