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カルロス・モスカルディーニ来日、茨城公演を終えて。

この夏は本当に貴重な経験をさせていただきました。カルロス・モスカルディーニ、本当に素晴らしい人でした。これに尽きます。

今回はお1人で日本に25年ぶりの来日をし、過去の既存の曲はほぼやらず、自分のギターと自分の作品、そして日本の若手ミュージシャンとの共演で全公演を行い、それを通してアルゼンチンの空気や風景を聴衆に伝えるその姿、本当に音楽家のあるべき姿であり素晴らしい芸術家だなと感動しました。

カルロスを描いたプログラム用イラスト(小林作)
茨城公演プログラム
急遽1曲モスカルディーニの出身地を歌ったタンゴの作品
Temperleyを小林、大柴、カルロスの3人で演奏しました。

アンコールはA los tilingosを全員で。


少し遡った話ですが、私自身、昨年は自主的に8,9月にアルゼンチンを旅して沢山の人と出会いタンゴを中心に演奏し、その後12,1月とコスキンフェスティバルのためにしばらくアルゼンチンに滞在した時は、各地に残るフォルクローレを中心に皆さんと演奏したり踊ったり、モスカルディーニにもBAでお会いすることができ、その時にアルゼンチンにおけるフォルクローレのあり方、タンゴのあり方をしっかりと知ることができました!

ブエノスアイレスにて、Carlosと娘さんのJuliaと。

きっと、日本でも同じなのだろうと思いますが、どの土地にも祭礼や土着の音楽があり、地域住民はそれを風習として続けていたり、お囃子や盆踊り、神楽として残ってたりと、きっとアルゼンチンのフォルクローレと同じように昔から続けられてるものは多くあるし、無意識のうちに私たちはそれを取り入れているのだろうと思います。

Tangoがブエノスアイレスの音楽と言われるように、アルゼンチン各地にその土地その土地の音楽があり、各地方に行くと、この辺はChamame、この辺はChacarera、この辺はTonada、Zamba、Cuecaといった感じに、各地その土地の人達が自分達の音楽を大切にしており、それが古かろうが新しかろうが、そのリズム形態で歌い、踊り、盛り上がっている場が沢山あり、根底に流れる柱のリズムは彼らの血肉に刷り込まれた音楽で、そこにどんどんと新しいものが積み重なっていき、伝統の揺るぎなさと、そこに今の人たちのアイデアが追加されて皆が楽しむものとなっていく過程を沢山見せていただきました。

モスカルディーニは、大阪、岡山、所沢、笠間、宮代、東京と6公演を回り、トモアでは4人の日本人演奏家と共演しました。常にどの公演もアルゼンチンのリズムをベースとした、彼自身のオリジナル音楽を解説付きで全編演奏し、そのオリジナル音楽から自分の祖国アルゼンチンを日本の皆さんにしっかりと伝えてくださいました。その風景が、聴きにきた人の心に映るような音楽って本当に素敵だなと、私自身こういうアルゼンチン音楽の伝え方もあるのだなと、音楽の伝え方は誰でも同じではないし、みんなが同じ方法であるはずもなく、決して1つではなく、もっともっと沢山あって音楽の海は広いなと、多くの発見がありました。

そして、各公演様々なゲストがいるようですが、今回他と大きく違ったのは大柴さんのエレキギターがいたことです。どんなふうになるかは当日まで未知でしたが、カルロス自身がかつてエレキも弾いていたことがあるため、リハではカルロスがエレキ貸して〜っと言って交代して弾いてるシーンも。ピアソラのアディオス・ノニーノを弾いてくれました。

音楽の鮮度を大切にする演奏は、最近になってとても思う事がありますが、練習したり作ってきたものの上に、未知の領域など当日に任せる余白がどれだけあるかで、その当日の演奏の新鮮さがお客さんに伝わるのかなと思ったりします。カルロスと大柴さんは、初共演であり、初対面であり、どうなるかわからない未知のままリハが進んでましたが、大柴さんのキレキレなギターでどう攻めていっても、カルロスが全て受けて止め、もっと来いとしながら、一緒にその船に乗ってく感じが、これぞ真のミュージシャンであり、懐の広さであり、巨匠だなと、その姿に感激しました。

それは間違いです、それはダメです、それはできない、ついていけない、なんてことは0で、一緒に乗っかって面白い方向に向かうことだけを考える演奏からはかなりの刺激を受けましたし、それは確実にお客様に伝わるものだと確信した日となりました☀️

ここまで3公演してきた清水さんと森井さんとはアンサンブルがさらに深くなっていて、森井さんと歌でハモってる姿にはなんだか胸がジーンとなりました。

私自身は、デュオで、モスカルディーニの娘さんであるJuliaに向けて書かれた作品を演奏しましたが、私もまたアーティストの父がいるので、なんだか自分の家のことを見てるみたいで、演奏しながらそのあたたかさと深さを感じることができて、感慨深い共演となりました😊

また、笠間市長はじめ市役所の方々、トモアの方々、告知にご協力いただきました茨城新聞、エリート情報、広報かさま、トモア通信、音響をやってくださった中山さんと新岡さん、CD販売をしてくださったPaPiTa MuSiCaさん、マエストロのギターを製作して遠く茨城公演にもきてくださったEchizen Guitarさん、ご飯を食べにいった時に対応してくださったさりょうの方々、ケータリングのチッチーナさんなど、多くの笠間の方々やサポートの皆さんにお世話になり、皆さんあたたかくお迎えしてくださり感謝でした。すぐに皆さんと仲良くなっているカルロスの姿を見ていて、国とか言葉とか関係ないな、そのひとのお人柄に尽きるなと改めて感じました。

カルロス直筆のカタカナ
朝のお見送り

この公演を通して、もちろん音楽を演奏する確かな技術や表現力、研究する気持ちがあること、音楽を作るイメージや引き出しを沢山持っていることなど、音楽性があることはとても大切ですが、何よりも人であるということ、人間性がとてつもなくどこの国でも大切だなと改めて感じました。その人そのものが音楽の演奏にも出ますし、共演者でもスタッフでもお客さんでも、すべての人にあたたかく、優しく、そして明るく接してくれたカルロスの人間性をみんな好きになったのだろうなと思います。

そういう人なので、音楽の演奏にもとても奥行きがありますし、深いところで分かり合えた気がしますし、その人柄が音楽に出ることで、持っていらっしゃる優しさやアルゼンチンの自然の風景や、時にタンゴなどの住んでる都会の風景といった、彼の見てきたり体験してきたすべての出来事や想い出が詰まっていて、それがちゃんと届いてみんなが幸せな気持ちになったのだろうなと思います。

全てがなんとなく流れ作業のように流れていってしまうことなく、一つ一つ立ち止まって話したり、笑い合ったりする時間があったこと、準備までにすべての演奏家といろんな話をしながら進める事ができた事、みんながカルロスを大切に思い、またカルロスも日本の人達を大切に思って一緒に公演作りをしてくれた事、そういった思いやりやお互いのリスペクトが形となって、音楽となり、皆さんにお届けできた公演だったのではないかなと思います!

またいつか、こういう素敵な公演ができたら嬉しいですし、日々こういった公演づくりをこの先も心がけて頑張りたいと思います!!

ご協力いただいたすべての皆様に感謝です!
ありがとうございました😊


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