御伽怪談第二集・第三話「抜け首の悪事」
一
昔から、世に〈ろくろ首〉なるものが語り継がれているが、ハッキリ見たと言う者もない。『太平広記』、『酉陽雑俎』、『異物志』などにも書いてあり、また、『本草綱目』には飛頭蛮と呼ばれる抜け首だと書いてある。
ろくろ首の者は頭に傷跡があって、夜になると傷が疼くようになり、首が抜けると言う。体から離れた首は川岸などへ飛んで、蟹やミミズなどを喰い、やがて明け方には元の体に帰る。多くは女のなる病とされている。しかし、まさしくろくろ首を見たと言う者が聞き伝える話はそれとは少し違